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2010.02.10

vol.80 長引く「慢性副鼻腔炎」に注意を

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知っておきたい慢性副鼻腔炎

Vol.80 長引く「慢性副鼻腔炎」に注意を 風邪をひいたあとにいつまでも鼻汁が出たり、鼻がつまる。あるいは、鼻炎か花粉症と思っていたら粘り気のある鼻汁になって、ノドにひっかかる感じがする…もし、そんな症状がみられたら、慢性副鼻腔炎(ふくびくうえん)の可能性があります。
副鼻腔というのは、鼻の穴(鼻腔)の周囲にある計4対の空洞のこと(※1)。そこになんらかの原因で細菌などが入ると、炎症を起こし、鼻汁や鼻づまりなどの不快な症状をくり返すことがあります。それが副鼻腔炎という病気で、急性と慢性を合わせると毎年 1000万~1500万人もの人がかかっています。
ところがほとんどの人は、自分では気づいていません。「風邪が長引いている」と思っている人が多く、軽度なら症状が自然に治まってしまうこともあるからです。
しかし、放置していて慢性副鼻腔炎になると、いつも鼻がつまった状態になったり、膿(うみ)のような鼻汁がたまったり(蓄膿症)、さらには頭重感や倦怠感がしたり、においがわからない嗅覚障害になったりして、日常生活にも支障を及ぼすようになります。
また最近、慢性副鼻腔炎にも非常に治りにくいタイプのものがあることや、アレルギー性鼻炎や気管支喘息(ぜんそく)を併発しやすいことなどがわかってきました。
鼻汁などの症状が長引いているときには、早めに受診することが大切ですが、まず慢性副鼻腔炎について知っておきましょう。

(※1)副鼻腔には、上顎洞(じょうがくどう=鼻の両側)、篩骨洞(しこつどう=両目の間の奥)、前頭洞(ぜんとうどう=眉間の近く)、蝶形骨洞(ちょうけいこつどう=目の奥)があります。副鼻腔という空洞がなぜあるのかはよくわかっていませんが、いずれも鼻の穴(鼻腔)とつながっているため、細菌などが入ることがあります。

急性と慢性の違い

副鼻腔炎の原因でもっとも多いのが、風邪やインフルエンザのウイルスや細菌による感染です。
風邪などのときに鼻の穴(鼻腔)の粘膜がはれると、その奥にある副鼻腔の入口がふさがり、空気の流れが悪くなります。そうなると副鼻腔の中の圧力が変化し、痛みを生じることがあります。さらに、副鼻腔内に細菌感染が生じると、濃い鼻汁が出たり、発熱したりして、さらに痛みが増します。こうした段階を「急性副鼻腔炎」といいます(※2)。
急性副鼻腔炎が目に近い副鼻腔で起こると、少数ですが視覚異常を生じることもあります。もし鼻汁だけでなく、目になんらかの異常を感じたときは、すぐに受診する必要があります。
一方、慢性副鼻腔炎では痛みはほとんどなく、鼻汁が出る、鼻がつまる、においがわかりにくい、からだがだるいといった症状が続きます。そのため風邪やアレルギー性鼻炎などと間違えやすいのですが、こうした症状が1カ月以上続くときは、耳鼻咽喉科などを受診して検査を受け、まず原因(細菌感染、アレルギー、その他)を特定し、適切な治療を受けることが大切です。
細菌などの感染による慢性副鼻腔炎の場合、軽症のうちなら通常は抗生物質の服用や膿の吸引、副鼻腔の洗浄などによって改善されます。症状の程度によって異なりますが、治るまでに3カ月程度はかかるので、医師の指示にしたがってきちんと治療を続けるようにしましょう。
放置していたり、勝手に治療を中断したりして悪化させると、鼻タケ(粘膜がはれてキノコ状の良性のポリープになったもの)ができることがあります。そうなると、治るまでに時間がかかり、鼻タケが増えると除去手術が必要になることもあります。

(※2)アレルギー性鼻炎などで鼻腔の粘膜がはれた場合にも、副鼻腔の入口がふさがり、よく似た症状を起こすことがあります。

治りにくいタイプの慢性副鼻腔炎

最近、いままでのタイプ(細菌感染)とは異なる、治りにくい慢性副鼻腔炎が増えていて、注目されています。それは好酸球性副鼻腔炎です。
白血球の一種の好酸球が副鼻腔の粘膜に集まり、慢性副鼻腔炎が悪化した状態と同じような症状を起こします(※3)。特徴的な症状は、鼻タケがたくさんできること、ドロッとした固い感じの鼻汁が出ること、ひどい鼻づまりを起こしやすいことなどです。
従来の抗生物質(マクロライド系)が効きにくいため、内視鏡手術で鼻タケなどを除去し、副鼻腔内をきれいにしてから、好酸球をおさえる薬などで治療をおこないます。鼻タケが少ないほうが手術も軽く済むので、濃い鼻汁やひどい鼻づまりの場合には早めに受診して治療を受けるようにしましょう。また、再発しやすいので、医師の指導にしたがって気長に治療に取り組むことも大切です。
一方、アレルギー性鼻炎や気管支喘息の人が、慢性副鼻腔炎を併発するケースも増えています(その逆に、慢性副鼻腔炎の人が気管支喘息などを併発するケースもあります)。どちらもアレルギーがなんらかの悪影響をもたらしていると考えられていますが、こうしたケースでは片方の治療だけでは完治しにくいので、耳鼻咽喉科、呼吸器科、内科などが連携して治療を進める必要があります。アレルギー性鼻炎などがある場合には、医師にその旨を伝えるようにしましょう。
また、虫歯による細菌感染や歯の治療(インプラントなど)がきっかけで、慢性副鼻腔炎を起こすケースもみられます。上の奥歯に虫歯があったり、インプラントをおこなったあとに、副鼻腔炎と同じ症状がみられた場合には、歯が原因の可能性もあります。

(※3)本来は細菌などを死滅させる白血球の一種である好酸球が、なぜ副鼻腔に集まって悪影響を与えるのかは、まだ明らかになっていません。

日常の予防と注意

風邪をきっかけに慢性副鼻腔炎を起こしやすいので、予防の基本はまず、できるだけ風邪をひかないこと、また、風邪をひいても長引かせないことです。
とくに、鼻風邪には要注意。鼻の穴に鼻汁をためないようにし、薄めの食塩水(生理食塩水)で鼻洗浄をして、鼻粘膜をいつも清潔にしておくことが大切です(※4)。
鼻の穴だけでなく副鼻腔内にも鼻汁がたまり、ひどい鼻づまりが続くようになると、自分では除去しにくくなります。その場合には、耳鼻咽喉科で副鼻腔洗浄をしてもらい、鼻汁をきれいに取り除くと悪化を防ぐことができます。放置していて鼻タケが増えてしまうと治るまでに通常は6カ月以上かかるので、症状が軽いうちに対処するほうが賢明です。
アレルギーが原因の鼻炎や花粉症などがある人は、すでに紹介したように慢性副鼻腔炎を併発しやすい傾向がみられます。また、鼻タケなどができて悪化しやすいので、早めの受診を心がけましょう。
鼻づまりを起こしたときに、市販の点鼻薬(スプレー式など)を使うと、一時的に症状が改善されます。しかし、使い続けていると、薬の効き目が薄れたときにかえって鼻づまりを強く感じたり、症状を悪化させてしまうこともあります。
市販の点鼻薬は原因(細菌感染、アレルギーなど)を除去するものではないので、長期間の使用はやめて受診しましょう(※5)。

(※4)鼻洗浄は、慣れないと鼻粘膜を刺激したり、咳き込んだりすることもあります。耳鼻咽喉科を受診したときに医師に指導してもらうか、市販の鼻洗浄器を使ってみるのもいい方法です。

(※5)市販の風邪薬でも、鼻汁や鼻づまりが一時的に改善されます。しかし、風邪薬にはほかの成分も入っているため、胃痛、倦怠感、眠気、便秘などをひき起こす可能性があります。鼻汁や鼻づまりの解消のために風邪薬を使い続けるのはやめましょう。


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