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2011.01.07

vol.91 花粉症...初期療法と注意点

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初期療法って何?

Vol.91 花粉症...初期療法と注意点 年が明けると、そろそろあの季節…花粉症に悩まされている方には、つらい時期が近づいてきます。花粉症にはいろいろな対策がありますが、近年広まりつつあるのが「初期療法」です。
病気の治療は症状が出てからおこなうのが原則ですが、花粉症の場合には症状が出る前から治療が認められています。その1つが初期療法で、薬を使った予防治療のことです。
予防といっても花粉症にならないわけではありませんが、「症状を軽くする、症状が出る期間を短くする、最盛期に使用する薬の量を減らす」などの効果が期待されています。実績についてはまだ正式のデータはありませんが、約半数の方に症状の軽減がみられ、およそ70%の方になんらかのプラス効果(症状の短期化など)がみられます(※1)。
初期療法の特徴は、花粉が飛ぶ少し前(2週間程度前)から薬による治療をはじめる点です。花粉の飛散開始日はその年によって、また、地域によっても異なるので、テレビやインターネットなどの花粉情報をチェックして、早めに対応する必要があります(※2)。
初期療法にはプラス面が多いのですが、その一方で誤解されている点も少なくありません。初めて初期療法を受ける方も、以前一度失敗したという方も、初期療法についてきちんと知っておくことが大切です。

(※1)複数の民間調査より。

(※2)患者数のもっとも多いスギ花粉の場合、飛散開始の目安は太平洋沿いの暖かい地方で2月初旬、瀬戸内や山陰・中部地方で2月中旬~下旬、東北地方で3月初旬~中旬、北海道で3月下旬となります。ただし、飛散量が多い年だと、温暖な地方では1月下旬から飛散することもあるので、注意が必要です。

薬の特徴を知っておく

初期療法は薬による治療法なので、まず使用される薬の特徴を知っておきましょう。
初期療法の中心となる薬は「抗アレルギー薬」で、「第2世代抗ヒスタミン薬」とも呼ばれます。花粉症の症状(くしゃみ、鼻水、目のかゆみなど)の多くは、ヒスタミンという体内物質によって引き起こされます。そのヒスタミンの働きを早い段階からおさえるのが、初期療法の目的です。
ヒスタミンを抑制するには、大別すると2つの方法があります。1つはヒスタミン受容体をブロックして、分泌をおさえる方法(ヒスタミン受容体拮抗作用)。もう1つは、マスト(肥満)細胞からヒスタミンが放出されるのを防ぐ方法(ヒスタミン遊離抑制作用)です。初期療法で使われる抗アレルギー薬には、2つの作用をあわせもつタイプと、1つだけ(遊離抑制作用)のタイプとがあり、さらにそれぞれに数種類の薬があります。どれを使うかは医師の判断によります(※3)。
薬には、患者さんの体質などとの相性もあり、初期療法を試したが効果がなかったという場合でも、薬のタイプや種類を変えると効果がみられることもあります。また、よく効いた場合は、来年も同じ薬を処方してもらう必要があります。したがっていずれの場合も、処方された薬名や効果を記録しておきましょう。
薬についてもう1つ知っておきたいのは、副作用のことです。もともと第一世代抗ヒスタミン薬には眠気やだるさといった副作用があり、その点を改善したのが抗アレルギー薬(第2世代抗ヒスタミン薬)です。
ただし、抗アレルギー薬は以前より副作用が少ないとはいえ、眠気やだるさの感じ方には個人差が大きいのが実情です。「眠くならない」と思い込んで車の運転をすると、思わぬ判断力の低下から事故を起こしかねません。できれば最初に薬を飲んだ日は運転などをせず、自分にどれくらいの影響があるかを確認してください。
強い眠気などがある場合には、医師と相談して薬を変えてもらうなどの方法で、仕事や家事に支障のないようにすることも大切です。

(※3)ヒスタミン受容体拮抗作用と遊離抑制作用の両方をもつタイプを塩基性抗アレルギー薬、遊離抑制作用だけを持つタイプを酸性抗アレルギー薬と呼ぶこともあります。

効果を上げるために守りたいこと

初期療法は最盛期の治療につながる重要な前段階です。初期療法の効果を上げるためには、次のことを守りましょう。

(1)受診時に症状を正確に伝える

花粉症には、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの典型的な症状がありますが、どの症状が強いかは人によって違います。抗アレルギー薬にもいろいろあるので、自分の症状に合った薬を処方してもらう必要があります。受診時には、自分の症状の特徴を医師にきちんと伝えるようにしましょう。
また、毎年の症状の出はじめが比較的遅い方(温暖な地域で2月後半や3月)は、その点も医師に伝え、初期療法の適切な開始時期を決めることも大切です。

(2)薬をきちんと飲む

初期療法の段階では症状がまだ出ていないので、つい油断して薬を飲まなかったりしがちです。初期療法は、最盛期の症状や使用する薬の量にも影響するので、決められたとおりに薬を飲むようにしましょう。

(3)市販薬と併用しない

花粉症の治療薬(抗アレルギー薬など)には、市販されていて自分の判断で使用できるものもあります。初期療法を受けるとき、自己判断で市販薬を一緒に使うと危険なこともあり、反対に効果が出ないこともあるので、かならず医師に相談してください。
また、市販の点鼻薬を使う方も多いのですが、血管収縮作用をもつ成分をふくむものが少なくありません。長期間使用すると、血圧などに影響を与える可能性もあるので注意が必要です(※4)。

(4)日常のケアを忘れずに

初期療法と一緒に、花粉症を軽減する日常のケアもはじめると効果的です。
症状の程度にもよりますが、外出時には「マスクや帽子を着用する、コートなどは花粉の付きにくいポリエステルやナイロン素材にする」、また、帰宅時には「コートなどにブラシをかけてから家に入る、目や鼻、ノドを洗う、スチーム吸入などで鼻やノドの粘膜をケアする」、さらに自宅では「掃除をこまめにしてほこりをためない(花粉はほこりと一緒に室内にたまりやすい)」などの予防対策をとりましょう。
ストレスも治療の妨げになります。睡眠時間をきちんととる、疲労をためないようにする、風邪をひかないようにする、タバコやアルコールはひかえるなど、初期療法を受けるときには生活習慣も見直し、最盛期にそなえることが大切です。

(※4)一部ですが血管収縮作用のない点鼻薬もあるので、必要な場合には薬局で薬剤師に確認してください。また、高血圧の治療を受けている場合には、点鼻薬の使用そのものについて医師に相談してください。


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