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2005.11.09

vol.29 関節痛...原因を知って早めの予防と対策を

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関節痛にはさまざまな原因がある

Vol.29 関節痛...原因を知って早めの予防と対策を 朝起きたときや長時間同じ姿勢でいたあと、あるいは歩いたあとなどに、ひざやひじ、指などの関節が動きにくかったり、痛みを感じたことはないでしょうか。とくに寒い時期には、関節の痛みもいっそう感じやすくなります。こうしたこわばりや腫れ、痛みがあったら、関節に炎症が起きている可能性があります。
関節痛(関節炎)は、さまざまな原因から起こります(※1)。その代表的なものが、変形性関節症と関節リウマチです。また最近は、中高年からスポーツを始める人に、過度の運動による関節障害が増えています。実はこの3つは、同じように関節痛を伴いますが、まったく違う病気でそれぞれ対処の仕方も異なります。
そういったことを知らないで、ただ湿布薬などで自己治療をしていると、一時的には痛みが軽くなっても、かえって症状を悪化させかねません。関節にこわばりや腫れ、痛みを感じたら、その原因を知ったうえで、きちんとした予防や治療を行うことが大切です。

(※1)関節痛の原因には、ここに挙げた変形性関節症、関節リウマチ、運動障害のほか、関節に細菌が入って起こる化膿性関節炎および、肩関節周辺の腱などの老化による四十肩・五十肩や尿酸値が高くなる痛風などがあります。

関節痛1 変形性関節症って何?

関節痛の原因で、いちばん多いのが関節の老化ともいえる変形性関節症です。私たちの関節は、軟骨がクッションとなってスムーズに動くようにできています。その軟骨が加齢とともにもろくなり、欠けたりすり減ったりして、周囲に炎症を起こすのです。
変形性関節症がもっとも起こりやすいのは、ひざです。ひざは、立っているだけで全体重のほとんどを支えています。座ったり立ち上がったりするときにも、大きな力が加わります。さらに加齢によって足の筋肉が衰えると、ひざへの負担がいっそう大きくなるため、ひざ痛を起こす人が多いのです。
変形性関節症の痛みは、初期には湿布薬などを貼ると治まってしまいます。ところが関節の軟骨は欠けたり、すり減ったりすると元に戻らないため、症状は少しずつ悪化していきます。やがて立ったり座ったりの動作がしにくくなり、少し歩くと痛むような状態になります。そうするとだんだん歩かなくなるため筋肉がさらに衰え、症状も進むという悪循環におちいりやすいのです。
そのため関節に違和感をおぼえたら、早めに予防をするか、痛みがある場合には受診することが大切です。

こんな人が変形性関節症になりやすい

変形性関節症は、老化が主な要因だけに、加齢とともにだれにでも起こりえます。ただし、次のような人にはとくに起こりやすいので、注意しましょう。

  • 肥満気味の人
    肥満になるとひざにかかる負担も大きくなります。
  • 運動不足の人
    肩やひじ、ひざなどの関節が固くなり、筋肉も衰えて関節への負担が増えます。
  • O(オー)脚気味の人
    ひざが外側に曲がっていると、内側の軟骨がすり減りやすくなります(靴底の外側が減る人は、O脚の傾向があります)。

変形性関節症を予防しよう

変形性関節症の予防のポイントは、次の2つです。

1.関節に負担をかけない生活をする
2.運動で関節を柔軟にし、さらに周辺の筋肉を強化する

関節に負担をかけない生活とは

  • 肥満気味の人は体重を減らす
  • 肩や腰、ひじ、ひざなどを冷やさない
  • 同じ姿勢を続けない(ときどきからだを動かし、リラックスさせる)
  • 外出時にはクッション性のよい靴をはく
  • 正しい歩き方(ひざを伸ばしかかとから着地し、つま先で後ろへ蹴る)をする
  • O脚の人は、靴のインソールなどで補正する
  • 足元に不安がある場合は、ステッキを使う

こんなトレーニングで予防を

  • ストレッチ運動をする
    1.首を前後左右に曲げ、首筋を伸ばす、
    2.両手を前に伸ばして組み、腕全体を伸ばしながら上方向や左右に交互に引っ張る、
    3.足を前後に開き、前傾姿勢で後ろ足のひざ裏や腱を伸ばすなど。いずれも無理をせずに、ゆっくりと行います。
  • 浅い屈伸運動を朝晩数十回して筋力を高める女優の森光子さん(85歳)は、「背筋を伸ばした姿勢で、ひざを少し曲げては伸ばす屈伸運動を朝晩75回ずつ実行している」とテレビや雑誌で紹介されています。屈伸は、ひざを深く曲げると負担が大きいので、森さんのように浅めの屈伸を繰り返し行うほうが安全かつ効果的です。
  • ひざを軽く曲げた姿勢でゆっくり歩く(モンキーウォーク)これもひざの筋力を高めるのに役立ちますが、長くやるとかなり大きな負担となるので、少しずつ続けるようにしましょう。 これらの運動は、関節にはっきりした痛みがある場合や、関節が腫れて熱をもっている場合は、いきなりやってはいけません。まず病院を受診し、医師や専門家の指導を受けてください。

関節痛2 スポーツ時の関節障害

最近、スポーツを始めた中高年の人に、関節痛を起こす人が増えています。ハードなスポーツでなくても、ウォーキング、ジョギング、ゴルフ、テニス、筋肉トレーニングなどを行うときにも注意が必要です。中高年になると関節の軟骨がすり減り、軽度の変形性関節症を起こしていることが少なくありません。それを考えず、つい無理をしてしまうのが、最大の原因です。
もっとも多いのは、ひざの関節障害です。スポーツをするとき、ひざには大きな力が加わります。歩くときには体重の2~3倍、走るときには5~10倍もの負荷がかかります(速さや走り方、靴の種類などによっても差があります)。いきなり走ったり跳んだりすると、ひざに過度の負担がかかり、半月板(軟骨)が割れたり、じん帯の断裂を起こすことも少なくありません。
また、足首のねんざやひじの脱臼なども、関節痛の原因となります。それほどひどい症状でなくても、つい夢中になってやり過ぎ、関節痛を起こす人も少なくありません。ジムなどでトレーナーの指導を受けている場合でも、ひざやひじの状態は把握しづらいので、自分でも注意しておく必要があります。
もしスポーツをしていて関節に違和感をおぼえたら、炎症を抑えるために数日は休んで、様子をみることが大切です。また予防のため、次のことを心がけましょう。

  • ストレッチなどの準備運動をきちんとする
  • ひざに負担がかかりにくいクッション性のよい靴をはく
  • 最初はゆっくりからだを動かし、徐々にペースを上げていく
  • 張り切り過ぎない(翌日に疲れが残らない程度に)
  • スポーツの後は軽い体操などでクールダウンする

関節痛3 関節リウマチって、どんな病気?

変形性関節症と並ぶ、関節痛の2大原因のひとつが関節リウマチです。同じように関節痛を伴いますが、大きな違いがあります。それは原因が、自己免疫疾患だという点です。
免疫は、体内への細菌などの侵入を防ぐ大切な機能ですが、過剰に働くと私たち自身のからだの一部を攻撃してしまうことがあります(免疫異常)。免疫異常は、全身にさまざまな影響を及ぼしますが、そのうちの関節に起こる症状が関節リウマチです。
最新の研究では、関節部分に炎症が起こると、特殊な化学物質が放出され、それを目当てに集まってきたマクロファージなどの免疫細胞(※2)と化学物質との反応をきっかけに、次々と過剰な免疫反応が起こることがわかってきています(※3)。
進行すると関節の組織が破壊され、痛みや腫れがひどくなり、指が変形するなどして日常生活に支障をきたすこともあります。それだけに早期発見と専門医による治療がポイントとなります。

(※2)免疫細胞の中心は白血球で、マクロファージやリンパ球、顆粒球などから構成されています。ウイルスや細菌などの異物をとらえるほか、がん細胞などとも闘うことが知られています。

(※3)2005年7月、東京大学大学院医学系の松島綱治教授らのチームにより、炎症部分から放出される化学物質と免疫細胞の複雑な反応を促進するタンパク質「フロント」の発見が報告されています。

こんな症状には注意したい

関節リウマチの患者は、女性が7~8割を占めています。理由については、女性ホルモンが関係していると考えられていますが、まだはっきりとは解明されていません。また年齢面でも、比較的若いころから発症する人が多く、30~50代の働き盛りに多くみられます。
症状には、次のような特徴があります。

  • 原因不明の微熱や倦怠感(だるさ)が続く
  • 初期には手や足の指にこわばりや腫れ、痛みを感じる人が多い
  • 体重が減少することもある
  • 進行すると貧血や腎臓障害などもみられる

これらのうち、朝起きたときなどに手足の指のこわばりや腫れなどから異常に気付く人が多いので、そうした症状にはとくに注意が必要です。鎮痛薬や湿布薬などで一時しのぎをしていると、関節の破壊が進み、悪化しかねません。変形性関節症などと区別し、適切な治療を受けるためにも、早めに関節リウマチの専門医を受診することが大切です(※4)。
治療面においては、症状を緩和する従来の薬(抗リウマチ薬)に加え、最近は関節の破壊を止め、炎症を抑える新しいタイプの薬も使用されるようになっています。
また、関節リウマチにはリハビリテーションが欠かせませんが、自己流で無理をすることは禁物です。治療の一環としてリウマチの患者さん向けに工夫されたリハビリの方法がありますので、病院の医師にご相談ください。

(※4)新しい治療薬の主流は遺伝子組み換え技術を応用した「生物学的製剤」で、日本では2003年から使用が始まっています。分子レベルで作用し、従来の薬では効かなかった患者の6割程度にも効果があるとされています。ただし、免疫機能を抑えるので、感染症などには気を付ける必要があります。


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