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2009.07.10

vol.73 気をつけたい「薬の飲み合わせ」

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薬の飲み合わせとは

Vol.73 気をつけたい「薬の飲み合わせ」 薬は、逆から読むと「リスク(危険)」となります。薬は病気を治すために必要なものですが、飲み方を間違うと実際に危険なこともあるのです。
その典型といえるのが、複数の薬の飲み合わせです。例えば、病院で処方してもらった風邪薬を飲んでいるときに、頭が痛いからと市販の鎮痛薬を飲み足したことはないでしょうか。あるいは別々の病気(風邪と皮膚炎など)で複数の病院で治療を受けたとき、医師どうしが知らずに、よく似た薬を処方してしまうような場合もあります。
こうしたケースでは、複数の薬の成分どうしが反応して、予想外の強い作用が出たり、反対に薬が効きにくくなることがあります。 これを薬の「飲み合わせ(相互作用)」といいます。体調をくずしたり、場合によっては生命にかかわることがあります。反対に、薬が効かずに治療の効果があがらなくなることもあるので、注意が必要です(※1)。
市販の薬に限らず、漢方薬やハーブ、サプリメントでも、相互作用が起こることは少なくありません。中高年になると、高血圧などの慢性疾患や皮膚疾患などで薬を常用している方も多いので、からだに有害な薬の飲み合わせと予防法についてきちんと知っておきましょう。

(※1)病院で一人の医師から複数の薬を処方されることは、よくあります。風邪の治療で、解熱薬と咳止め薬、胃腸薬を一緒に処方されるような場合です。こうした場合は、医師が安全な組み合わせを考えて薬を処方します。また病気によっては、医師の判断で複数の薬を意図的に使用し、相互作用を利用して治療することもあります。この場合にも、医師が治療効果と安全性を考慮しています。心配な場合は、自己判断で薬をやめるのでなく、医師に相談してください。

注意したい相互作用

薬の飲み合わせには、いろいろなタイプがありますが、大別すると「薬の効き目が必要以上に強まる場合」と、「薬の効き目が弱まり、治療効果が上がらない場合」とがあります。

(1) 効き目が必要以上に強まる(過剰作用)

<似た成分の薬の飲み合わせ>
よく似た作用の薬を一緒に飲むと、効き目が強くなりすぎ、体調をくずしたり、内臓障害を起こしたりしかねません。例えば最初に例に挙げた、病院で処方してもらった風邪薬と一緒に、市販の鎮痛薬(アスピリンなど)や睡眠改善薬などを飲むようなケースです。また、風邪などで内科を受診している方が、同時に耳鼻科や歯科を受診し、消炎薬や鎮痛薬などを処方してもらうこともあります。
一般的に、解熱薬、鎮痛薬、消炎薬、咳止め薬、睡眠改善薬などには、よく似た成分が含まれているものが多くあります。重ねて飲むと、強い眠気やめまいを起こしたり、意識がもうろうとしたり、胃腸や肝臓の障害を起こしたりすることがあるので注意が必要です。

<分解を妨げる薬の飲み合わせ>
薬は肝臓で分解され、適度の濃度となって体内へ送られます。ところが、片方の薬の成分がもう一方の薬の成分の分解を妨げると、分解されない薬の成分の効き目が強くなり、過剰作用を起こすことがあります。
有名な例では、1990年代初めに起こった皮膚疾患の薬ソリブジンと、抗がん薬(フルオロウラシル系)の併用があります。ソリブジンが抗がん薬の分解を妨げ、必要以上の濃度の抗がん薬の成分が体内に入ったため、血液障害などの重篤な副作用が起こったものです(※2)。
このケースでは、患者さんの治療が皮膚科と内科に分かれ、医師が薬の情報を把握しにくかったことも、有害な相互作用の一因となりました。現在、同じ病院内では医師間の情報交換が改善されていますが、異なる病院にかかる場合や市販の薬を一緒に使用する場合には、十分な注意が必要です。

(2) 効き目が弱まり、治療の妨げになる

<相反する作用の薬の飲み合わせ>
反対の作用をもつ薬を一緒に飲むと、お互いに効き目を消し合ってしまい、治療効果がみられなくなることがあります。
また、薬の成分どうしが結びつき、からだに吸収されにくいものに変化し、期待される治療効果が出ないケースもあります。
例えば、抗菌薬(ニューキノロン系)を使用しているときに、胃酸を中和するタイプの胃腸薬を一緒に飲むと、抗菌薬の効果が弱まることが知られています。
また、非ステロイド系抗炎症薬(イブプロフェンなど)と利尿薬を一緒に使うと、利尿薬の効果が弱まることがあります。あるいは降圧薬(ベータ遮断薬)と喘息の治療薬(ベータ刺激薬)も、お互いの薬の効果を打ち消す作用を起こしやすいものです。
こうした飲み合わせは、過剰作用のような重大な副作用ではないものの、病気が治りにくくなるだけにかえって危険なこともあります。

(※2)ソリブジンは帯状疱疹などウイルス性皮膚疾患の薬ですが、販売中止になり、現在は使用されていません。

漢方薬やハーブにも注意を

漢方薬やハーブなどは、一般的に安全性が高いと思われていますが、強い成分を含むものも少なくありません。
例えば、風邪や咳止めに使用される麻黄湯(まおうとう)や葛根湯(かっこんとう)といった漢方薬には、麻黄(まおう)という成分が含まれています。この麻黄は、一般の咳止め薬や気管支拡張薬などに含まれているエフェドリンと同じものです。
それを知らずに併用してしまうと、エフェドリンの血液濃度が必要以上に高まります。エフェドリンには血管収縮作用があるため、取りすぎると心臓に悪影響を及ぼします。最近、エフェドリンを含むダイエット薬がインターネットなどで話題となっていますが、狭心症や心筋梗塞を起こす例がいくつも報告されています(※3)。このことからも、エフェドリン(=麻黄)の過剰摂取は非常に危険であることが分かるでしょう。
ハーブの例を紹介しますと、ハーブティによく使われるカモミールは、鎮静作用があるので気持ちを落ち着かせ、リラックスさせてくれます。その一方で、血栓を防ぐ薬ワルファリンと一緒にとると、血液が固まりにくくなり、出血しやすくなります。
中高年の方には、血栓予防のためにワルファリンを飲んでいる方が少なくありませんが、カモミールだけでなくガーリック(ニンニク)、ジンジャー(ショウガ)なども血流をよくする働きがあり、出血しやすくなるので注意が必要です(通常の食事から取る程度の量なら心配ないとされていますが、サプリメントで取る場合や、血栓の疑いがある方などは医師に相談してください)。

(※3)エフェドリンを含む薬がダイエットに効果があるという報告は、全くみられません。エフェドリンは胃腸障害や食欲不振を起こしやすく、そのため食事の摂取量が減り、結果としてダイエットになるといわれますが、こうした薬の使用法は非常に危険です。

有害な相互作用を予防するには

ここに挙げた例のほかにも、注意すべき薬の飲み合わせは数多くあります。患者さん自身ができる予防策として、次のような方法を知っておきましょう。

(1) いつも飲んでいる薬について知っておく

高血圧糖尿病、肝臓病などで毎日薬を飲んでいる場合、一緒に飲んではいけない薬の種類を、医師から聞いておきましょう。市販の風邪薬、鎮痛薬、胃腸薬など、普段何げなく使う薬やサプリメントへの注意を確認しておくことも大切です。

(2) 「お薬手帳」を上手に利用する

薬局で「お薬手帳」をもらって、自分が飲んでいる薬の記録をつくるのもいい方法です。薬名などが分からなくても、薬剤師が記録してくれます。いつも行く薬局(調剤薬局)を決めておき、薬剤師から併用してはいけない薬などについてアドバイスを受けるようにします。自分でよく使用するサプリメントなども記録しておくと便利です。
どの病院を受診する場合も、「お薬手帳」を持参して医師に見せれば、使用中の薬がすぐにわかります。

(3) 異なる病院を受診したら使用中の薬を告げる

「お薬手帳」がない場合には、異なる病院を受診したとき、使用中の薬について必ず医師に告げるようにします。
内科、外科、耳鼻科、歯科など診療科が違っても、よく似た成分の消炎薬や抗菌薬などが処方されることがあるので、自分が使用中の薬を告げるようにしてください。もし薬名が不明の場合は、薬そのものを持っていき見せるようにしましょう。


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