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2014.09.10

vol.135 ゲップやガスは「呑気症」のサイン!

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ゲップやガスに要注意

Vol.135 ゲップやガスは「呑気症」のサイン!

仕事中や人と話しているときなどに、急にゲップが出そうになったり、お腹が張ってガス(おなら)が出そうになったりして困ったという経験は、多くの方にあることでしょう。
胃や腸の調子が良くないときにも、似た症状がみられることがあります。でも、ふだんからゲップやお腹の膨満感が多いという場合は、「呑気症(どんきしょう)」を疑ってみる必要があります。

呑気症というのは、空気嚥下症ともいって、大量の空気を呑み込むことによって、胃や食道、腸に空気がたまり、引き起こされる症状のことです。その結果、ゲップや腹部膨満感、ガスなどだけでなく、胸焼けや上腹部痛などの症状がみられることもあります。
空気を呑み込んだだけで、なぜそんな症状が起こるのでしょうか。
私たちは、飲んだり食べたりするときに、飲食物と一緒に少量の空気を呑み込んでいます。その程度の空気量なら問題はありませんが、呑気症の場合は飲食時だけでなく、日常生活のなかで無意識に空気をたくさん呑み込んでしまっているのです。
たとえば、私たちは仕事や人間関係などで緊張したり、不安になったりしたとき、ゴクリと唾液を呑み込んだりしますが、そのときに空気も呑み込んでいます。そうしたストレス状態が慢性化すると、知らないうちに呑み込む空気の量が多くなって、胃や腸にたまり、ゲップやガスなどの症状が出やすくなります。

また、ゲップによって胃液や食べた物が逆流すると、胸焼けが生じ、逆流性食道炎になることがあります(※1)。ストレスから、上腹部痛を起こすことも少なくありません。
さらに、人前ではゲップなどがしづらいので、抑えようとすると、それがストレスになり、また空気を呑み込むという悪循環が生じ、人によっては不安症やうつ状態におちいることもあるほどです。
そのため、呑気症の第1の原因はストレスとされていて、ストレス社会の現代では、だれにでも起こる可能性がある症状だといえます。

(※1)逆流性食道炎は、酸性の胃液や消化中の食べ物が食道に逆流して、炎症や痛みを生じる病気です。呑気症の人には、逆流性食道炎による胸焼けなどの症状がみられることが少なくありません。

歯の噛みしめも原因に

呑気症にはもう1つ、ちょっと変わった原因も指摘されています。それは「歯の噛みしめ」によるものです。
私たちの上下の歯は、リラックスしているときには通常、数ミリ開いています。しかし、歯(とくに奥歯)を噛みしめると、舌が上あごに付き、唾液が奥へと流れやすくなります。それだけ唾液と一緒に、空気を呑み込むことが多くなるのです。
歯の噛みしめによる呑気症を、「噛みしめ・呑気症候群」といい、ゲップやガスだけでなく、頭痛や肩こり、目の痛み、ふらつきなどの原因にもなることが指摘されています。また、歯の摩耗やひび割れ、歯肉炎、あるいはアゴの痛みなどを起こしやすいことも分かってきています。

噛みしめるという動作は、食事のときには普通におこなっていますが、短時間なのでほとんど支障はありません。それよりも問題なのは、日常生活のなかで無意識に、かつ慢性的におこなっている噛みしめです。噛みしめるというと、食いしばるイメージをもたれる方もあるかもしれませんが、実際には上下の歯を閉じているという程度の意味です。
私たちは緊張や不安などがあると、知らずに歯を噛みしめています。また、スポーツをしたり、重い荷物を運んだり、仕事を頑張ろうとしたときなどにも、歯を噛みしめます。あるいはもっと軽い作業、たとえばパソコンや手仕事などのデスクワークで、姿勢がうつむきになると、軽く歯を噛みしめたり、舌を上あごに押し付けていることも少なくありません。
こうした慢性的な日常習慣が、呑気症や噛みしめ・呑気症候群のリスクとなっています。いまパソコンやスマートフォンなどでこのコラムを読んでいる方は、自分の姿勢と一緒に、歯がどのような状態になっているか、ぜひ確認してみてください。

原因を知って焦らずに治療を

呑気症は、次のような人に起こりやすいとされています。

  • 仕事や人間関係でストレスが多い人
  • 細かいことを気にして不安になりやすい人
  • 無意識に噛みしめるクセのある人
  • 歯の噛み合わせがよくない人
  • 早食いの人

こうした項目に思い当たる方で、日ごろからゲップやガスがよく出て悩んでいるという場合は、早めに受診して原因を調べてもらいましょう。ただし、呑気症の症状は、すでに紹介したように、とてもさまざまです。ゲップや腹部の膨満感、ガスなどの典型的な症状のほかに、胸焼け、頭痛、肩こり、目の痛み、ふらつき、歯肉炎、アゴの痛みなど、人によって症状に違いがみられます。
そのため、何科を受診したらよいのか、迷う方も多いでしょう。一般的な方法としては、ゲップなどの典型的症状がよくみられる場合には、まず内科や消化器科を受診し、胃や食道、腸などに異常がないかを調べるようにします。

ゲップやガスが頻繁に出ると、自己判断で市販の消化薬や制酸薬、整腸薬などを服用するケースが多くみられます。それで治まればいいのですが、呑気症や噛みしめ・呑気症候群の場合、消化器系が原因とは限らないので、かえって症状を長引かせることになりかねません。そのため、受診して消化器系が原因かどうかをまず確定し、もし異常がなければ、ほかの原因を探すことが大切です。
また、朝起きたときに歯やアゴの痛み、頭痛などを感じたり、日中もデスクワークなどでうつむき姿勢が多かったり、仕事などで緊張状態が多い人の場合は、歯を噛みしめることがクセになっている可能性があります。その場合は、歯科や口腔外科を受診してマウスピースを作ってもらい、噛みしめグセを是正することで症状を軽減させる方法もあります(※2)。さらに、仕事や人間関係などのストレスが原因になっていると思われる場合は、心療内科なども受診して、医師に相談してみましょう。
呑気症は、すぐに命にかかわる病気ではありませんが、人によって多様な症状がみられ、原因が特定しづらいケースも多く、治療に時間がかかることが多いので、焦らずに対処することが大切です。

(※2)軽症の場合は、市販のマウスピース(歯ぎしり、いびき防止用など)を使う方法もありますが、歯科や口腔外科で相談して、自分に合ったものを作ってもらうと安心です。

呑気症の予防対策

呑気症や噛みしめ・呑気症候群は、日常の生活習慣を見なおすことで、予防や症状の改善が可能です。次のことを心がけてみましょう。

  1. (1) 積極的にストレス解消を図る。

    呑気症の最大の原因とされているのが、ストレスです。ストレスが積み重なると、解消しようという気力もなくなりやすいので、毎日の生活の中で少しずつでもいいので積極的に解消に努めましょう。
    簡単なストレス解消のコツは、外出することです。散歩、ウォーキング、ジョギング、買い物、友人に会う、映画を観るなど、理由はなんでもかまわないので、外に出て気分転換をし、仕事や人間関係によるストレスを忘れる時間をもつことが大切です。
    反対に、家にこもって、ゲームを長時間やったり、お酒を飲み続けたりすると、かえってストレスが増すことがあるので、注意しましょう。

  2. (2) 噛みしめグセを改善する。

    パソコン、スマホ、読書、家事、工作などを続けていると、無意識に姿勢がうつむき加減になり、歯を噛みしめていることが少なくありません。そうした状態をくり返していると、噛みしめグセがつき、知らずに空気をたくさん呑み込むようになりがちです。自分で意識的に、噛みしめを改善することも大切です。
    たとえば、深呼吸をすると、口から息を吐くときに自然に歯の噛み合わせがゆるむので、噛みしめが解消されます。仕事中などに、ときどき意識的に深呼吸をする習慣をつけるのも、いい方法です。
    深呼吸には、からだと心をリラックスさせて、ストレスを解消する効果もあります。

  3. (3) 食事に気をつける。

    がつがつと早食いをすると、食べ物と一緒にたくさんの空気を呑み込むことになります。食事は、よく噛んで、ゆっくり食べることが大切です。また、飲み物やスープ、麺類の汁などを、ズルズルとすするように飲むと、やはり呑み込む空気の量が多くなります。汁類は、静かに飲むことを心がけましょう。
    食事のメニューでは、胃腸に負担のかかる揚げ物類や、ガス(二酸化炭素)を含む炭酸飲料は、控えめにすることも忘れずに。


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