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2004.12.10

vol.18 大いびきは生活習慣病の一因

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いびきは呼吸障害のひとつ

Vol.18 大いびきは生活習慣病の一因 いびきをかいていると、よく寝ていると思いがち。でも、じつはその逆だということを知っていますか。
いびきは、睡眠中にのど(上気道)が狭くなったとき、そこを通る空気が発する振動音です。寝ると、舌のつけ根が奥へ下がり、周辺の筋肉もゆるむため、だれでも少しはのどが狭くなります。
健康な人の場合、極端に狭くなることはないので、寝息といった程度の音しかしません。ところが何らかの異常があると、のどの狭まりもひどくなり、いびきとなるのです。
お酒をたくさん飲んだときや疲れているとき、風邪をひいたときなどにも、いびきをよくかきます。こうした一時的ないびきは異常なものではありません。けれども、慢性的にいびきをかくような場合には、注意が必要です。
いびきは空気の振動音といいましたが、なぜ大きな音がするのでしょうか。のどが狭くなると、空気(とくに酸素)がうまく取り込めないため、睡眠中でも苦しく感じます。つまり、呼吸がうまくできないのと同じ状態です。
そうなると無意識に、必死で空気を取り入れようとします。それがのどの振動をうながし、大きな音=いびきとなるのです。そのためいびきには、「睡眠時呼吸障害」という病名がつけられています。
いびきをかく人は、睡眠時の血液中の酸素量が低下しています。人によって、またいびきの程度によっても違いますが、健康な人と比べて30%も低下する人もいます。こうした呼吸障害が、日常生活に支障をきたしたり、生活習慣病の原因やリスクとなっていることがわかり、注目されています。

睡眠時無呼吸症候群と居眠り

山陽新幹線の運転手が走行中に数分間も居眠りをしていた、というニュースを覚えている人は多いでしょう。その原因として指摘されているのが、睡眠時無呼吸症候群です(*1)。
この病気は、睡眠時呼吸障害のうちもっとも症状が重いもので、睡眠中に何回も呼吸が止まってしまいます(*2)。
睡眠時無呼吸症候群になっている人の多くが、大いびきをかきます。大いびきをかいていて、急に音が消えるので、一緒に寝ている人は静かになったと思います。ところがそのとき、のどがふさがって、呼吸が止まっているのです。
こうした状態をくり返していると、寝ていても脳やからだの疲れがとれないため、翌日の仕事や家事にも影響します。その典型が居眠り運転で、交通事故の大きな原因となっています。
また事故にはならないまでも、大切な会議中につい寝込んでしまったり、仕事上でもぼんやりミスを重ねたりすることになりかねません。
大いびきをかく、あるいは昼間我慢できないほどの眠気におそわれる…こうした症状が続くときは、睡眠時無呼吸症候群を疑って受診したほうがいいでしょう。

<睡眠時無呼吸症候群にみられる主な自覚症状>

  • 睡眠中に大いびきをかく(家族から指摘されることが多い)。
  • 睡眠時間は十分なのに、朝起きたときに熟睡感がない。
  • 朝起きたときに頭痛や頭重がある。
  • 日中に強い眠気が起こる。
  • 仕事中の集中力が低下し、うっかりミスが多い。

(*1)海外では、アメリカのスリーマイル島の原発事故、ロシアのチェルノブイリの原発事故なども、睡眠時無呼吸症候群による係員のミスから生じたものといわれています。

(*2)病院では、「7時間の睡眠中に10秒以上の呼吸停止が30回以上、もしくは1時間に5回以上の呼吸停止がある状態」を睡眠時無呼吸症候群と診断します。

大いびきと生活習慣病の関連は

いびきをかくのは、全体の28%程度の人です。ところが男性に限定すると41.5%にものぼります。とくに中高年男性では、毎日のようにいびきをかく人が多くみられます(*3)。
中高年のいびきについて、最近注目されているのは生活習慣病との関連です。大いびきをかく人は、高血圧、狭心症、心筋梗塞、狭心症糖尿病などの合併症を起こしやすいのです。
どうして大いびきが、生活習慣病と関係あるのでしょうか。もっとも関連が深いとされる高血圧を例に説明しましょう。
大いびきをかくと酸素がうまく取り込めないため、血液中の酸素濃度が低下します。すると体内に酸素を補給するため、心臓が血液を多く送り出そうとし、心拍数が増えます。
これだけでも血圧上昇の原因となりますが、さらに血液中の酸素濃度が低下すると、二酸化炭素濃度が高くなります。それが引き金となって、血管の収縮が起こります。そのためさらに血圧の上昇を招くことになるのです。実際に高血圧症の人には、大いびきをかく人が多くみられます。
こうした血圧の上昇や血管の収縮をくり返すことが、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの原因ともなるわけです。
糖尿病との関連については、まず血液中の二酸化炭素濃度が上昇することで、血液が酸性化します。するとインスリンの分泌が抑えられ、血液中のブドウ糖のコントロールがうまくできなくなるためと考えられています。

(*3)いびきをかく人のうち、毎日のようにかくという男性は20代(46.7%)、30代(56.7%)、40代(83.4%)、50代(46.7%)、60代(70.0%)となっています(エスエス製薬による2001年調査)。

こんな人がいびきをかきやすい

いびきをよくかく人には、いくつか共通点があります。

  • 太っている
  • あお向けに寝る
  • 口を開けて寝る
  • 首が短く太い
  • お酒をよく飲む
  • あごが小さい(女性に多い)
  • 鼻炎やのどの病気がある

このうち中高年のいびきの原因で、もっともよくみられるのが肥満です
肥満になると、舌やのどの内側にも脂肪がつくため、のどが狭くなりやすいのです。
また、あお向けに寝ると舌の落ち込みが大きくなり、のどが狭くなります。さらに口が開き、口呼吸になると、よけいに大きないびきになります。とくに肥満体型の人は、寝るときに横向きになりにくく、あお向けで寝ることが多いので、いびきをかきやすくなってしまいます。
また前述のように、お酒によるいびきは一時的なものなら異常ではありませんが、慢性的にお酒を飲んでいると、いびきそのものも慢性化しやすいので注意が必要です。

いびきを解消して生活習慣病を予防する

いびきは軽いうちなら、自分で治すことができます。もっとも簡単な方法は、横向きに寝ることです
からだを横向きにすると、あお向けのときほど、のどが狭くなりません。横向き寝によっていびきが消えたり、軽くなったりする人は少なくありません。
ただし肥満の人は、先ほど述べたように横向き寝が苦手です。まず肥満を解消するようにしましょう。
寝入るときは横向きでも、すぐにあお向けになってしまう人もいます。夜中に何度も寝返りをうつので、ある程度は仕方ありませんが、まず横向きに寝るクセをつけるようにします。それには、抱き枕を使ったり、背中にまるめた毛布を当てておく方法もあります。
また睡眠薬を常用していると、いびきをかきやすくなります。そうした場合は薬をやめたり、病院で軽い薬に変えてもらうことも必要です。
最近はドラッグストアなどで、「いびき防止グッズ」も販売されています。その多くは口呼吸を防ぐためのもので、マウスピース型のものが多いようです。こうしたグッズを試してみるのもひとつの方法ですが、マウスピース型のグッズは自分の歯型などに合わないと意味がありません。歯科の中には、専用のマウスピースを製作してくれるところもあります。受診し、効果や価格などをたずねてみましょう。
睡眠時無呼吸症候群のように、睡眠中に呼吸が何度も止まってしまう重症の場合は、横向き寝や市販のグッズではなかなか治せません。放っておくと突然死の危険もあるので、早めに受診してください(*4)。

(*4)いびきの治療には、呼吸器科や耳鼻咽喉科を受診します。最近は「いびき外来」のような睡眠障害専門の機関や部署も増えているので、受診前に病院にたずねてみるようにしましょう。


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