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2006.12.08

vol.42 風邪とインフルエンザは、どう違う?

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違いを知って適切な対応を

Vol.42 風邪とインフルエンザは、どう違う? 12月から2月にかけての厳冬期は、風邪やインフルエンザが流行しやすい季節です。日本人は平均すると年に5~6回も風邪をひくといわれますが、冬には爆発的に流行することがあるので、とくに注意が必要です。
ところで、普通の風邪とインフルエンザの違いを、ご存じでしょうか。インフルエンザがウイルス感染によって起こることは、よく知られています。でも実は風邪の大半も、ウイルス感染によって起こります(※1)。その点では似ていますが、インフルエンザ・ウイルスは、風邪のウイルスと比較すると、非常に感染力が強いのです。
風邪のウイルスは鼻水や唾液などから接触感染しますが、インフルエンザ・ウイルスは空気感染もします。インフルエンザにかかった人が咳やくしゃみをすると、ウイルスが空気中に飛散し、それを吸うことで感染するため、次々にうつりやすいのです。
また、インフルエンザは高熱が出るなど、一般に風邪よりも症状が重くなります。さらに、肺炎などさまざまな合併症を起こしやすいのも、特徴のひとつです。とくに高齢者の場合には、生命に危険が及ぶこともあるので、早めに治療を受ける必要があります(※2)。
こうした風邪とインフルエンザの違いを知った上で、それぞれに合った適切な対処法をとることが大切です。

(※1)風邪のウイルスには、ロタウイルス、ライノウイルス、RSウイルス、アデノウイルスなど、さまざまな種類があります。インフルエンザ・ウイルスにも、Aソ連型、A香港型、B型などがあります。年に何度も風邪をひくのは、別のウイルスに感染するためとも考えられています。

(※2)厚生労働省の「人口動態統計」によると、日本では平成7年、11年、15年にインフルエンザが大流行し、その折には1000人以上の人が亡くなっていますが、大半は65歳以上の高齢者です。それ以外の年でも、数百人が亡くなっています。

症状からみた風邪とインフルエンザ

風邪の症状は、「咳、くしゃみ、鼻水、のどの痛み、痰」などと、「38℃以下の発熱」が中心です。若い人や体力がある人なら、市販の風邪薬で治ることもありますが、2~3日しても治らない場合には受診しましょう。
インフルエンザの場合には、一般に「38℃以上の高熱」が出て、「悪寒、だるさ、頭痛、関節痛、筋肉痛」などの全身症状がみられます。その後、「咳、のどの痛み、鼻水」などのほか、人によっては「吐き気や腹痛、めまい」などを起こすこともあります。
風邪と症状が似ていても、インフルエンザの場合には市販の風邪薬ではなかなか治りません。熱を下げようと、解熱鎮痛薬を続けて飲むと、胃痛などを起こすことにもなりかねません。
インフルエンザかどうかは、病院へ行くと診断キット(迅速診断法)によって15分から30分ほどでわかります。また48時間以内なら、インフルエンザに有効な薬もあります(※3)。それだけに急に高熱が出て、だるさや頭痛、関節痛などがみられたら、早めに受診しましょう。

(※3)インフルエンザ治療薬の代表的なものに、ノイラミニダーゼ阻害薬があります。副作用の少ない薬ですが、人によって吐き気、下痢などがみられることもあるので、医師や薬剤師からよく話を聞いた上で使用しましょう。

インフルエンザは合併症にも注意を

インフルエンザの場合、合併症にも注意が必要です。とくに気を付けたいのは肺炎で、インフルエンザによる死亡の最大の原因となっています。
高熱がなかなか引かず、呼吸困難やチアノーゼ(呼吸機能が低下し、皮膚や唇が紫色に変色する状態)などの症状がみられたら、肺炎や気管支炎を起こしている可能性があります。また、症状が一度軽くなって安心していたら、再び発熱して呼吸困難などに陥ることもあります(二次性肺炎)。いずれの場合も、すぐに受診する必要があります。
中高年の場合には、心臓の病気にも注意が必要です。インフルエンザをきっかけに、心不全や心筋炎などを起こす例もあるからです。不整脈や心臓の痛みなどがあったら、早めに受診してください。
そのほか胃痛を起こしたり(急性胃腸炎)、関節炎が悪化したり、中耳炎を起こしたりすることもあります。
合併症は「高齢者や幼児(※4)」に多くみられますが、中年でも「呼吸器疾患や心臓病のある人」は気を付ける必要があります。また、「糖尿病や腎臓病などの生活習慣病」があると、合併症を起こしやすいだけでなく、持病の症状も悪化しやすい傾向がみられます。それだけに、血圧や血糖値などの自己管理をきちんと行うことが大切です。

(※4)幼児や子どもの場合、注意したいのはインフルエンザ脳炎・脳症です。発症率は低いものの死亡率が高いので、意識障害を起こしたり、嘔吐やけいれんがみられたら、すぐに受診してください。インフルエンザが治って1週間以内に急に嘔吐したり、意識を失った場合は、ライ症候群の可能性もあるので、この場合もすぐに受診する必要があります。

インフルエンザ・ワクチンの予防効果は?

インフルエンザを予防するには、「ワクチン接種」が最も効果的です。インフルエンザ・ワクチンは効果がないとか、副作用が怖いと思っている人もいるかもしれません。
ワクチンの効果については、厚生労働省やCDC(米国疾病管理センター)などの調査によって、発症率が20%くらいに抑えられることがわかっています。とくに高齢者の場合は、ワクチン接種によって重症化や合併症が抑えられ、死亡率が80%も減るとされています。
副作用については、接種した場所に腫れや少しの痛みが出ることはありますが、たいていはその程度で済みます。ただし、ワクチンは製造過程で鶏卵が使われるため、卵アレルギーのある人は事前に医師に相談するようにしましょう。
高熱が出ている場合や、過去にインフルエンザ・ワクチンでアレルギーを起こしたことがある人は、接種を受けられません。体調がよくないときにも、無理に受けないほうがいいでしょう。
ワクチン接種をしても、効果が出るまでに約2週間かかります。高齢者や幼児はもちろんですが、仕事などで不特定多数の人に接する人や、心臓病や呼吸器疾患、糖尿病などの持病があって合併症を起こしやすい人は、シーズンに先駆けて早めに接種を受けるようにしましょう。持病があって薬を使用している場合は、事前に医師に告げることを忘れずに(ほとんどのケースは心配ありませんが、念のため)。

自分でできる予防と対策

自分でできる予防法は、風邪もインフルエンザも基本は同じ…ウイルスを寄せ付けないことです。
冬に流行する風邪やインフルエンザのウイルスは、寒さや乾燥を好む傾向があります。そのため予防には、その反対の環境をつくることを心がけましょう。 例えばマスクも、そのひとつ。マスクをしても無意味だ、と思っていませんか。確かに普通のマスクで、ウイルスをシャットアウトすることはできません。でも、マスクをするとのどや鼻の粘膜を冷えや乾燥から守り、ウイルスが繁殖しにくくなります。マスクの内側に、湿らせたガーゼなどを当てておくと、一層予防効果が高くなります。
自分がインフルエンザにかかった場合には、ほかの人への空気感染を防ぐためにも、マスクは効果があります。家族や同僚などにうつさない心がけも大切です。のどなどの炎症を和らげる効果もあるので、ぜひマスクを使うようにしましょう。
加湿器などで、部屋の湿度を上げることも効果的です。ただし、加湿器は手入れがよくないと、内部でカビなどが発生することがあるので注意しましょう。 濡れタオルを吊るしたり、花瓶に生花を生けたり、鉢植えの観葉植物を置いておくだけでも、部屋の湿度を上げるのに役立ちます。

生活面で気を付けたいこと

外出から帰ったときは、手洗いとうがいをすることも基本です。手洗いは、自分では洗ったつもりでも、手のひらのくぼみ、指と指の間、指先、手の甲、手首など、けっこう洗い残しが少なくありません。手についたウイルスから感染することも多いので、きちんと洗いましょう。
うがいには、のどの炎症を抑え、粘膜を潤す効果があります。お茶に含まれるカテキンは殺菌効果が高いので、お茶でのうがいを試してみましょう(出かける前に湯飲みなどにお茶を入れ、冷やしておくと使いやすくなります)。
家族のだれかが風邪をひくと、全員がひきやすいという家庭の場合、食事の仕方などを見直してみましょう。風邪をひいている子どもや孫の食べ残しを食べたり、鍋やひとつ盛りの煮物をみんなが自分の箸でつつく食べ方をすると、感染しやすくなります。取り箸やレンゲなどを用意する、風邪をひいている人は別盛りにするなどの注意が大切です。
また、洗面所やトイレの手拭き(タオル)は別々にするなど、ちょっとした気遣いが、家族内の感染を防ぐことにつながります。


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