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2008.01.10

vol.55 肌のかゆみの原因と解消法

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かゆみの原因はさまざま

Vol.55 肌のかゆみの原因と解消法 冬になると肌がかさつき、かゆくなるという人は多いでしょう。そんなとき、ポリポリとかいていませんか。かゆいときにはかくのは当たり前・・・そう思っていたら、大間違いです。
肌をかくと表皮が荒れて、ちょっとした刺激にも過敏になり、悪循環を起こすことが最近の研究からわかってきています。
とくにアトピー肌のような慢性の肌荒れ状態になると、「かゆみを感じる神経」が表皮の近くまで伸びてきて、かゆみを強く感じるようになります(※1)。
そんな状態のときに肌をかくと、かゆみの原因となるヒスタミンを誘発する物質(神経ペプチド)が出て、かゆみをさらに増強します(※2)。つまり、かくと一層かゆくなってしまうのです。
したがって、気持ちいいからといって、かきむしるのは禁物です。保湿剤を塗ったり、抗ヒスタミン薬のような「かゆみ止めの薬」を使い、できるだけ刺激しないようにすることが大切です。
ただし、かゆみによっては、抗ヒスタミン薬が効かないタイプもあります。アトピー性皮膚炎のような免疫異常や、内臓疾患が原因となる中枢性のかゆみです。こうしたかゆみは、放置していると繰り返したり、悪化することになりかねません。
かゆみにもいろいろなタイプがあることを知って、きちんとした対処法、解消法を覚えておきましょう。

(※1)アトピー肌とは皮脂や汗の分泌が少なく、セラミドなどの保湿成分も減少し、わずかな刺激でもかゆみを起こしやすい状態のことです。かゆみを感じる神経(知覚神経C線維)は本来、表皮とその奥の真皮との境付近にあります。慢性の肌荒れ状態になると、この神経が肌の表面近くまで伸びてくることがわかっています。

(※2)高森建二・順天堂大学皮膚科教授らの研究による。

乾燥肌を悪化させないために

かゆみの原因で最も多いのが、乾燥によるものです。中高年になると肌の保湿性が低下し、いわゆる「乾燥肌」になりやすいので、予防のためには日常のスキンケアが必要になります。
一般に皮脂が少ない場所ほど乾燥しやすく、例えば「すね(脛)がかさつく、ソックスがすぐに下がる」といったサインが出たら要注意です。顔では、「目元、口元がかさつく場合」は、乾燥している証拠です。乾燥状態を放置していると、肌の老化が進み、シワやたるみも出やすくなります。
日常生活で最も注意したいのは、意外に思われるかもしれませんが「入浴時」です。シャワーを浴びたり、お湯につかったりすると、肌が潤っているような気分になります。ところが実際には、最も肌を傷めやすいのです。例えば、40℃以上の熱いお湯につかっていませんか。お湯の温度が高いと、肌から皮脂がうばわれ、乾燥しやすくなります。
また肌を洗うときに、ナイロンタオルなどにせっけんを付けて、ゴシゴシこすっていませんか。せっけんの成分が皮脂をうばうだけでなく、こすることで肌を荒らしてしまいます。さらにお風呂上がりに、バスタオルでゴシゴシと拭くのは最悪です。とくに男性にはタオルで強くこする人が多いのですが、乾燥と肌荒れの大きな要因となるので気を付けましょう。

<入浴時に心がけたいこと>
(1) お湯の温度を高くしない(つかる場合は40℃以下に)。
(2) からだを洗うタオルなどは、肌にやさしい材質のものを選ぶ(肌荒れを起こしている場合は、手でそっと洗う)。
(3) せっけん類(ボディシャンプー)は肌を刺激しないものを使う(肌荒れがひどいときは、せっけん類は使わない)。
(4) せっけん類を使うときはよく泡立て、泡で肌をなでるように洗う。
(5) 入浴後は、バスタオルを肌に軽く押し当てるようにして拭く(こすらない)。
(6) 肌がしっとりしているうちに、保湿剤(クリームなど)を塗る。

肌の保湿をしっかりと

肌の乾燥によるかゆみを防ぐ、3つの原則を知っておきましょう。

(1) 自分に合った保湿剤でケアをする

女性の場合には、クリームなどの保湿剤を使っている人は多いでしょう。でも本当に、自分の肌に合っていますか。
保湿剤には製品によって、セラミド、コラーゲン、ヒアルロン酸、尿素、ワセリン、ビタミンCなど、さまざまな成分が含まれています。肌の状態によっては、尿素などの成分や製品中の保存剤が、肌を刺激し、かえってかゆみを引き起こすこともあります。またコラーゲンやヒアルロン酸のように、もともと肌にある成分であっても、クリームなどからの吸収率や効果は、人によって異なります。
肌の状態は一人ひとり違うので、流行の保湿剤にとらわれず、自分に合ったものを選び、入浴後などにこまめにケアをすることが大切です。肌荒れがひどい場合は、まず皮膚科で相談してから、保湿剤を選ぶようにしましょう。

(2) 肌の代謝をよくする食事を心がける

食事面では、ビタミン類を豊富にとることが大切です。ビタミン類には肌の代謝を促進し、潤いを保つ働きがあります。
とくにビタミンAとCは、その効果が高い栄養素です。また、ビタミンCはコラーゲンの生成を助けるほか、シミやシワを防ぐ抗酸化作用もあります。

<多くとりたい食べ物>
ビタミンA :レバー、ウナギ、ニンジンやカボチャなど緑黄色野菜
ビタミンE :ナッツ類、植物油、アボカド、カブやダイコンの葉など
ビタミンC:キウイ、イチゴ、赤・黄ピーマン、サツマイモ、芽キャベツなど

(3) からだにストレスをためない

ストレスはステロイドホルモンの分泌を高め、肌の代謝バランスを悪化させます(※3)。
とくに睡眠不足は、からだには大きなストレスとなります。また辛い食べ物やたばこも、かゆみがあるときはやめましょう。

(※3)私たちのからだはストレスを受けると、対抗するために副腎皮質から抗ストレスホルモンともいわれるステロイドホルモンを分泌します。このホルモンは、脳の活動にもかかわる重要なものですが、必要以上に分泌量が増えると、記憶機能の障害やインスリンの機能低下、皮膚代謝の乱れなど、さまざまな悪影響をもたらすことが知られています。

中枢性のかゆみにも注意を

かゆみがなかなか治らない場合や、何度も繰り返す場合には、乾燥以外の原因を疑ってみる必要があります。
かゆみに加え、皮膚に赤い盛り上がりがみられる場合には、じんましんの可能性があります。じんましんには、アレルギー性のもの(全体の約5%)と、機械性のもの(約20%)、原因不明のもの(70%以上)とがあります。
アレルギー性とは、特定の食べ物や化粧品、植物、ダニなどが原因となるタイプです。機械性は、お湯につかったり(温熱じんましん)、冷たい空気に触れたり(寒冷じんましん)して起こるタイプです。肌をかいたときに、その刺激でじんましんが起こることもあります。
じんましんの多くは、抗ヒスタミン薬で治まります。ただし、体質的にじんましんを起こしやすい人もいるので、病院で原因となるものを特定してもらい、生活の中でその原因物質を避けるようにする必要があります。
抗ヒスタミン薬などを使っても、かゆみがなかなか治らない場合には、アトピー性皮膚炎や内臓疾患などを疑って、早めに受診することが大切です。こうした病気に伴う中枢性のかゆみは、ヒスタミン以外の物質(神経ペプチドの一種など)が関係していることがあるからです(※4)。
とくに注意したいのは、内臓疾患によるかゆみです。気付きにくいため、単純なかゆみと思って放置していると、症状を繰り返し、病気そのものも悪化しやすいからです。原因となる病気として、糖尿病、腎不全、肝硬変の一種(原発性胆汁性肝硬変)などが知られています。
内臓疾患による中枢性のかゆみは、抗ヒスタミン薬が効きにくいというほかに、肌には目立つ異常はなくてもかゆみがしつこく、肌をかいても白い線が残りにくいなどの特徴がみられます(ただし、すべての人に共通するわけではありません)。かゆみの受診から、これらの病気が発見されることもあるので、検査を受けましょう。

(※4)オピオイドペプチドといって、脳内モルヒネともいわれるβ-エンドルフィンなどが関係しています。この物質は、免疫力を高めたり、人の気持ちを快適にすることで知られる半面、分泌量が多いとかゆみを誘発します。


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