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血圧ラボ 血圧基礎知識編血圧の基本

高血圧のリスク

高血圧に特徴的な症状はある?

高血圧にはどんな症状がある?

高血圧に自覚症状はほとんどありません。血圧がかなり高いときは、頭痛、めまい、肩こりなどが起きやすくなりますが、それは血圧とは関係なくよく起こるものですので、高血圧が原因かどうか言い切れず、高血圧の自覚症状はあてにならないといえるでしょう。しかし、自覚症状がないからといってそのまま放置していれば、様々な合併症を引き起こします。症状がないままからだを蝕んでいくことから、高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれています。

血圧が高い状態が続くと危険な理由

血圧が高い状態が続くと、血管にいつも強い圧力がかかることで血管の壁は傷つき、次第に厚く硬くなります(動脈硬化)。この動脈硬化は、細い血管にも太い血管にも起こり、進行すると様々な合併症を引き起こし、脳卒中や心筋梗塞、腎臓病など命に関わる重大な病気の原因となります。

高血圧はさまざまな合併症(臓器障害)のリスクを上昇させる

至適血圧を超えて血圧が高くなるほど,全心血管病,脳卒中,心筋梗塞,慢性腎臓病などの罹患リスクおよび死亡リスクは高くなります。

脳・心臓

高血圧は脳心血管病(脳卒中および心疾患)の最大の危険因子といっても過言ではありません。全心血管病死亡の50%,脳卒中死亡の52%,冠動脈疾患死亡の59%が,至適血圧を超える血圧高値に起因する死亡と試算されています
(EPOCH-JAPANの試算1))

腎臓

高血圧は慢性腎臓病(CKD)、さらには末期腎障害の発症リスクを上昇させます。収縮期血圧10mmHg上昇あたり、将来の末期腎障害リスクが30%前後上昇することが研究で明らかになっています(沖縄におけるコホート研究2))。

このほか、高血圧は大動脈瘤や閉塞性動脈硬化症、眼底出血などの原因にもなります。

このように、高血圧はさまざまな病気(合併症)を起こしやすくします。脳、心臓、腎臓、眼(網膜)、など、血管がたくさんある所ほど血圧の影響を受けやすく、その影響は全身に及ぶのです。血圧と心血管病リスクとの関連を検討したほとんどの研究は診察室血圧や健診時血圧を用いたものですが、家庭で測定された家庭血圧のリスク予測能はさらに強いとされていますので3)、家庭での血圧測定は、合併症予防にとって非常に重要です。

症状がないからといって放置することなく、日々血圧を管理し、将来発症するかもしれない合併症を今のうちから防いでいきましょう。

※至適血圧:単に正常な血圧であるばかりでなく、理想的な血圧値のこと。至適血圧の理想値は、最高血圧(収縮期血圧)が120㎜Hg未満、最低血圧(拡張期血圧)が80㎜Hg未満で、正常血圧値より至適血圧のほうが若干低い値となります。

引用文献

1)Fujiyoshi A, et al; Observational Cohorts in Japan (EPOCH-JAPAN) Research Group. Hypertens Res. 2012; 35: 947-53
2)Tozawa M,et al. Hypertension 2003; 41: 1341-5
3)Ohkubo T, et al; Ohasama Study. J Hypertens 2004; 22: 1099-104

参照資料

日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2014」
一般社団法人 日本臨床内科医会「わかりやすい病気のはなしシリーズ 9 高血圧」
日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会 他:一般向け高血圧治療ガイドライン解説冊子
「高血圧の話」
国立循環器病研究センター「循環器病情報サービス」
一般社団法人日本生活習慣病予防協会

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