簡単に塩分の摂取状況が測定できる
研究用の尿中Na/K(ナトリウム/カリウム)比測定器
オムロン ヘルスケア株式会社(本社所在地:京都府向日市、代表取締役社長:宮田喜一郎)は、簡便に摂取塩分の状況を測定できる研究用の尿中Na/K(ナトリウム/カリウム:ナトカリ)比測定器「オムロン ナトカリ計 HEU-001F」(以下ナトカリ計)を開発しました。研究者向けに今秋発売予定です。
高血圧の主要要因の1つに塩分の過剰摂取がありますが、味噌汁や漬物など日本食文化には塩分の多いものも多く、1日の日本人の平均塩分摂取量は約10.6g*1と、高血圧学会が推奨する6g未満やWHOが推奨する1日5g未満を大きく上回っており、日本人で塩分摂取が1日6g未満である人の割合はわずか数パーセントといわれています*2。また、日本人の約半数は遺伝的に塩分感受性が高く*3、塩分過剰が原因の高血圧患者が多数存在すると言われています。さらに、日本人は塩分を体外に排出し、血圧上昇を抑制する作用がある野菜や果物(カリウム)の摂取量が不足がちだといわれています。
高血圧管理には、塩分やカリウムの摂取量の管理が重要ですが、これまで食事における塩分摂取計測には、1日分の尿をすべて溜めて医療機関で分析する24時間蓄尿検査が必要あり、簡便に計測することができませんでした。
そこで、当社では24時間蓄尿検査に代わる簡便な手法を開発する過程で、世界的な疫学研究「INTERSALT研究」*4にて、血圧との関連が示されている「尿中Na/K(ナトリウム/カリウム:ナトカリ)比」という指標に着目。滋賀医科大学との共同研究により、1日1回、1週間程度、尿をセンサーにかけるだけで計測した数値が、24時間蓄尿による従来手法とほぼ同等の数値となることが分かりました。これにより、日常生活におけるナトカリ比を高精度に簡単に把握することが可能になり、これまで把握が難しかった個人の日々の塩分・カリウム摂取の状況を手軽に数値で確認することができます。今後は、高血圧患者の食事指導による食事状況の変化を的確に捉えるなど、高血圧予防や管理ツールとして活用が期待されます。
この方法は、Hypertension Research誌よりオンラインにて発表されました。
現在、試作センサーを研究者中心に配布し、岩手県花巻市や広島県下などでの減塩を推進する活動にて使われています。それら研究結果の一部が5月24日~25日に開催される「第3回臨床高血圧フォーラム」(会場:広島市 広島国際会議場)にて発表されます。
共同研究者であり、日本高血圧学会減塩委員会の初代委員長を務められた
滋賀医科大学 名誉教授 上島弘嗣先生のコメント
高血圧の予防と治療にとって、食塩をいかに減らし、食塩の弊害を打ち消す果物や生野菜からのカリウムの摂取量をいかに増やすかが課題ですが、各人がどの程度摂取しているかを客観的に評価する簡便な方法がありませんでした。今回開発された尿のNa/K比計は、昼間の排尿時の尿を1日1回、合計6回程度計測器に垂らすことにより、簡便に個人の尿中のNa/K比を知ることができます。これにより、食塩を減らし、カリウム摂取を増やした効果を簡便に目で確かめることができ、食事療法の継続支援に大きな力となると思われます。家庭での血圧測定と併せ用いると、食事療法の効果が血圧低下に及ぼす影響も知ることができ、食生活改善の継続支援に役立つはずです。
*1 厚生労働省.平成24年国民健康・栄養調査結果の概要
*2 INTERMAP研究
*3 公益財団法人日本心臓財団より
*4 世界32ヶ国、1万人以上の塩分摂取と血圧の関係を調べた世界的な疫学研究
参考:ドクター上島の食塩無添加日記(http://ketsuatsu.net/wp)
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