パルスオキシメータとは・正しい使い方
SpO2 を測定するための「医療機器」。
正しく選び、正しく使用しましょう。
パルスオキシメータとは
指先などに光を当て、採血することなく、皮膚を通して動脈血のSpO2(機能的酸素飽和度)を測定するための医療機器です。ヘモグロビンは酸素と結合すると赤くなるという性質を利用し、血液の赤色度合いからSpO2を測定しています。また、パルスオキシメータでは、脈拍数も同時に測定しています。
SpO2の変化がわずかであっても脈拍数が少ない場合は、その他の要因で脈拍数が少なくなっていることがあります。医師の指導のもと使用し、測定結果は個人で安易に判断せずにかかりつけ医や医療機関へ相談しましょう。
使用シーン
パルスオキシメータを利用することで、十分な酸素が体内に供給されているかをリアルタイムで確認できます。
指先で測定するタイプのパルスオキシメータなら、指先に挟むだけで採血することなく簡単にSpO2がわかるので、手術中やICU(集中治療室)等の重篤患者の管理、在宅医療の現場、また呼吸器疾患を持つ患者の症状悪化のリスクマネジメントに利用されます。医師の指導のもとで呼吸器疾患などの慢性疾患患者や高齢者の体調管理に家庭で使う場合は、SpO2を測定することで症状悪化時の受診アクションを促すこともできます。
SpO2(機能的酸素飽和度)とは
肺から取り込まれた酸素は、肺に流れ込んでいる血液(赤血球)の中のヘモグロビンと結合して心臓に戻り、全身に運ばれます。
SpO2とは、心臓から全身に運ばれる血液(動脈血)の中を流れている赤血球に含まれるヘモグロビンの何%が酸素と結合しているかという割合を、皮膚を通して測定した値のことをいいます。
SpO2でわかること
SpO2の測定によって、体内へ十分な酸素が供給されているかどうかがわかります。
健康な人のSpO2の標準値は96~99%です。通常、この標準値内であれば、十分体内に酸素が供給されている状態といえます。しかし、呼吸器疾患や心疾患などによって呼吸機能や心機能が低下し、正常に酸素を供給できなくなるとSpO2は低下します。
例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や気管支喘息では、風邪や気管支炎などにより気道感染を起こし、症状が悪化すると酸素の取り込みが不十分になります。この場合、命に関わることがありますので、SpO2が普段の値から3~4%低下したときには、早めの受診が必要です。また、90%を下回った場合は、呼吸不全の状態になっている可能性があります。この場合、心臓や脳など重要な臓器への酸素供給が不十分となり、障害を起こすことがありますので、速やかにかかりつけ医に報告・受診するなどの適切な対応が必要です。
ただし、普段のSpO2の値は測定の状態によっても様々ですので、症状が安定した状態で安静にしている時の値や、体を動かした時に値が低下するかどうか、またその低下の程度などをあらかじめ把握しておき、測定した値と比較することが大切です。
また、測定値を安易に自己判断することは大変危険です。他の要因により測定結果からは見えないリスクも潜んでいる可能性もあることから、気になる症状がある場合などは早めにかかりつけ医を受診する、または専門医へ相談することが重要です。
パルスオキシメータの正しい選び方
パルスオキシメータは医療機器です。現在、様々な機種が販売されていますが、測定精度が開示され、医療機器認証を受けている機器を正しく選びましょう。また、購入に際しても高度管理医療機器販売業許可を持った販売業者から購入しましょう。
パルスオキシメータの使い方と注意点
一般的に多い、指先で測るクリップタイプのパルスオキシメータの場合、指の爪を上に向けて装置(プロープ) の奥までしっかり挿入することで、簡単にSpO2を測定できます。
ただし、正しくSpO2を測定するには、取扱説明書を必ず確認しましょう。また、機器の操作方法以外にも、測定時に次の注意が必要です。
測定時の注意点
- 指先で測定するため、マニキュア(ジェルネイル含む)やつけ爪をしている場合は、測定結果に影響する可能性があります。できるだけ、装飾のない状態で測定しましょう。
- できるだけ安静な状態で測りましょう。
- プローブを正しく装着しましょう。
- すぐに測らず、呼吸状態が安定してから測定しましょう。
- 太陽光の赤色光や赤外光の干渉を受けるため、屋外で測定する際には、直射日光を避け、日陰で行うようにしましょう。
また、照明灯、蛍光灯など、周囲の光の影響を強く受ける環境を避けましょう。 - 寒冷で手指が冷たくなっている場合は、動脈の拍動が弱くなり正しいSpO2が測定できません。冷たい時は手を温めてから測定しましょう。
- 測定中は手を動かしたり、指を振ったりしないようにしましょう。
- 測定値を安易に自己判断しないようにしましょう。
- 喫煙や一酸化炭素中毒直後の測定は避けましょう。
参考資料
一般社団法人日本呼吸器学会「よくわかるパルスオキシメータ」
一般社団法人日本呼吸器学会「Q&Aパルスオキシメータハンドブック」
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き 第5.1版」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構ホームページ(https://www.pmda.go.jp/)
一般社団法人 電子情報技術産業協会「パルスオキシメータ みんなの安心手引き ~パルスオキシメータを正しく安全にお使いいただくために~」