2004.02.10

vol.8 高血圧のリスクと食事による予防

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高血圧基準の見直し

Vol.8 高血圧のリスクと食事による予防 健康診断などで「血圧がちょっと高め」といわれたものの、そのまま放置している人はけっこう多いのではないでしょうか。 ところが最近の調査や研究から、血圧が高いと心筋梗塞や脳卒中のリスクも非常に高くなることがわかってきました。

<現在の高血圧の基準>

正常血圧
最高血圧130未満で、かつ最低血圧85未満
正常高値血圧
最高血圧130~139、または最低血圧85~89
高血圧
最高血圧140以上、または最低血圧90以上

※(単位はmmHg)

正常高値血圧というのは高血圧の予備軍ともいえる段階で、「そろそろ血圧に気をつけましょう」という目安です。そして一般的には高血圧の段階になって、本格的な治療が始まります。
これに対しアメリカでは、高血圧基準の見直しが始まっています。
2003年5月に報告された米国高血圧合同委員会の第7次ガイドラインでは、「最高血圧120~139、または最低血圧80~89」を高血圧前症と定めています。つまり高血圧の基準を厳しくし、「血圧がちょっと高め」の人たちにも、なんらかの対策(治療や生活改善指導)が必要であるとしています(*1)。

(*1)アメリカの心肺血液研究所でも、「最高血圧120~139、最低血圧80~89」の範囲を高血圧の予備軍とし、食事や運動による血圧のコントロールが必要であるとしています。

高血圧は心筋梗塞などの最大リスク

日本には現在、治療の必要な高血圧の人が3400万人もいるといわれています。とりわけ30歳以上では、男性の51.7%、女性の39.7%の人が高血圧と推定されています。
高血圧の怖さは、自覚症状がほとんどないにもかかわらず、ある日突然、心筋梗塞や脳卒中の発作を起こす可能性があることです。心筋梗塞や脳卒中の危険要因には、従来「高血圧、喫煙、糖尿病、高脂血症」などがありますが、最近の調査では、このうち高血圧が最大のリスクであることがわかってきました。たとえば心筋梗塞の場合、高血圧の人が発作を起こすリスクは正常血圧の人の4.8倍にもなるとされています(*2)。
そのため日本でも、心筋梗塞や脳卒中を起こす前の「血圧がちょっと高め」の段階でいかに血圧をコントロールするかが、大きなテーマとなっています。

(*2)急性心筋梗塞の患者1000人を対象とした熊本大学の調査では、リスクの高い順に、高血圧、喫煙、糖尿病、高コレステロールとなっています。

高血圧の主な原因は食生活に

高血圧の原因についても、見直しが始まっています。高血圧の原因には、大別すると「遺伝」と「生活習慣」とがあります。従来、この2つの影響度は半々とされてきました。
しかし最近は、生活習慣の影響度が60%とされています。親から受け継いだ体質などの遺伝要因よりも、生活習慣のほうが高血圧の原因になりやすいのです。
生活習慣のなかでも、とくに重視されているのは食生活です。高血圧との関係では以前から、塩分の取りすぎの影響が指摘されてきました。塩分には、体内で血圧を上げる作用があるからです。
それに加えて最近は肥満の影響が注目され、食べすぎ(カロリーオーバー)が高血圧の原因としてクローズアップされています。食べすぎによって肥満が進行すると、脂肪細胞にレプチンというホルモンが蓄積され、これが血圧を上げる作用をすることがわかってきたのです(*3)。
そのため塩分の取りすぎとカロリーオーバーを防ぐことが、食生活における高血圧の予防や改善の2本柱となっています。

(*3)レプチンは肥満細胞に由来する代表的なホルモンで、食欲をコントロールする働きがあります。最近の研究から、レプチンは肥満症のほか、高血圧や骨粗しょう症など多くの病気に関係していることが判明しています。

減塩や減量の効果は

減塩タイプの味噌やしょうゆなどの普及によって、昔と比べると日本人の塩分摂取量は減っているといわれます。それでも1人当たり1日平均約13gの塩分をとっていて、これはWHO(世界保健機関)が健康の目安として提唱する「1日6g」の倍以上にもなります。 では塩分を減らすと、高血圧の改善にどの程度の効果があるのでしょうか。個人差はありますが、すでに高血圧の人の場合、塩分の摂取量を1日7gにすると最高血圧が1週間で3mmHg程度下がり、1日5gにまで抑えると5mmHg程度下がるとされています。 一方、肥満についても、体重1kg減らすと最高血圧が1.5mmHg下がるとされています。 ですから塩分を控え、肥満気味の人なら5kgくらいダイエットをするだけで、高血圧の改善にはかなりの効果が期待できることになります。

外食と調理食品には注意を

現代の日本人が、塩分の取りすぎやカロリーオーバーにおちいりやすい原因のひとつとして、外食や調理食品(総菜・弁当など)の増加が指摘されています。たしかにどこの家庭でも、週に何度かは利用しているのではないでしょうか。
外食や調理食品には濃い味付けのものが多く、また揚げ物や動物性脂肪食品など高カロリーのものが多くみられます。
たとえば代表的な外食メニューの塩分量をみると、ラーメンやきつねうどんで5~6g、にぎり寿司で6g、カツ丼で7gくらい含まれています。どのひとつを食べても、WHOの基準(1日6g)にほぼ達してしまうことになります。
一方、カロリー面でもカツ丼900~1100cal、天丼800~900cal、チャーハン700~800calなど、やはり高カロリーのものが少なくありません。たいていはこれに味噌汁やスープ、漬物などが付きますから、それだけでほとんどの人にとって1日に必要なカロリーの半分か、それ以上を取ることになります。

こまめに食生活をチェックする

そうはいっても現代人の食生活は、外食や調理食品と切り離せないものとなっています。そこで食べ方やメニューの選び方が大切になってきます。
たとえばラーメンなどの麺類では、汁に多くの塩分が含まれています。またにぎり寿司では、ネタにしょうゆをつけることで塩分量がさらに増えます。ですから麺類の汁はあまり飲まない、にぎり寿司はしょうゆを少しにするといった食べ方で、塩分摂取量をかなり減らすことができます。
カロリーについても、たとえば「チャーハンと餃子」のセットを食べると、1100~1200calにもなります。しかし「サバの味噌煮、肉じゃが、ワカメの味噌汁」の組み合わせなら、600~650calと半分です。中華料理に限らず、高カロリーのものを食べたら、次の日は低カロリーのメニューにするといった工夫が大切なのです。
また、総菜や弁当でトンカツを食べることがありますが、ロースの550~600calに対して、ヒレは350~400calと低めです。こうしたこまめなチェックが、高血圧の予防や改善には欠かせません。
塩分やカロリーを気にしていたら、おいしい食事はできない…そう思う人もいるかもしれません。しかし、現代の食生活では、ふつうに食べているだけで塩分やカロリーの取りすぎになりやすいのです。だからこそ、毎日の食事でのちょっとした工夫や注意で心筋梗塞や脳卒中を防げるとしたら、それに越したことはありません。
  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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