vol.10 糖尿病の治療はどのように行われるのですか。自分で注射をするとも聞いたことがあるのですが。
生活習慣病Q&A
- 糖尿病の治療はどのように行われるのですか。自分で注射をするとも聞いたことがあるのですが。
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糖尿病治療の第一歩は血糖コントロールをすること。まず食事療法と運動療法を行ないますが、症状に応じて薬物療法も行います。糖尿病治療には、主に2つの目的があります。ひとつは血糖値をコントロールすること、もうひとつは合併症を防ぐことです。糖尿病と診断されて、最初に行う治療は食事療法と運動療法になります。これに加えて、血糖値が基準より大幅に高くなっている人、合併症をもつ人や一部の糖尿病患者さんには当初から薬物療法も行われます。また、合併症の予防には高脂血症・高血圧の治療や禁煙も大切です。
食事療法の原則としては、バランスの取れた適度なエネルギー量の食事を規則正しく取ること。極端に食事量を減らしたり、朝食を抜いた代わりに昼食で多く食べるなどの偏った食事はかえって血糖値のコントロールを難しくします。また、運動療法は消費エネルギーを増やすとともに、インスリンの効き目がよくなるという効果があります。それにはウォーキングなどの有酸素運動が適しています。
糖尿病の治療薬には、インスリンの分泌を活発にさせるタイプや、インスリンの効き目をよくすることで血糖値を低下させるタイプなどの数種類の経口薬と、インスリンそのものを自己注射する方法があります。近年では薬の種類も増え、糖尿病のタイプや血糖コントロールの状態に合わせて最適な薬を選ぶことができるようになっています。インスリン注射は、主に経口薬でも血糖値をコントロールできなくなった場合に使用しますが、主治医の指示に従って使用すれば安全です。また、現在では注射に伴う痛みもかなり少なくなってきていますので、主治医とよく相談してください。
先生のプロフィール

山田 信博 先生
筑波大学学長
- 略歴
- 昭和51年 東京大学医学部医学科卒業
昭和53年 東京大学医学部附属病院 第三内科医員
昭和58年 カルフォルニア大学サンフランシスコ校留学
昭和61年 東京大学医学部第三内科助手
平成6年 東京大学医学部第三内科講師
平成7年 東京大学医学部第三内科助教授
平成10年 東京大学大学院医学系研究科糖尿病代謝内科助教授
平成11年 筑波大学臨床医学系内科(内分泌代謝)教授
平成21年 筑波大学学長 - ご専門
- 糖尿病、内分泌、動脈硬化