vol.106 少し前に糖尿病の治療をはじめました。治療をはじめてから視力が低下したような気がします。眼底に網膜症はないのですが、なぜでしょうか?

生活習慣病Q&A
少し前に糖尿病の治療をはじめました。治療をはじめてから視力が低下したような気がします。眼底に網膜症はないのですが、なぜでしょうか?
治療により血糖値が急に下がった場合、からだ全体がその状態に慣れるまで、物がかすんで見えるなどの違和感が一時的に生じることがあります。
糖尿病の治療をはじめると、視力が落ちたり、物がかすんで見えるといった症状がでることがしばしばあります。これは血糖値が高かった状態から急に下がった場合におこる現象で、多くの場合は一過性の遠視です。高血糖の状態にあったときにはからだ全体がその状態に慣らされていたため、血糖値が低くなった状態に慣れるにはある程度の時間がかかります。具体的には、血糖値が下がると、眼の水晶体の内外でのグルコースとグルコースから変換された物質の濃度差に変化が生じて水晶体が膨むことで、物がかすんで見えるということがおこるのです。

2~3週間もすると、水晶体の内外でのこれらの物質の濃度差も解消され、見え方の違和感もなくなってきます。したがって、すぐに眼鏡やコンタクトレンズをつくらないで、血糖コントロールが安定するまで様子をみたほうがよいでしょう。

先生のプロフィール

山田 信博先生

山田 信博 先生

筑波大学学長
略歴
昭和51年 東京大学医学部医学科卒業
昭和53年 東京大学医学部附属病院 第三内科医員
昭和58年 カルフォルニア大学サンフランシスコ校留学
昭和61年 東京大学医学部第三内科助手
平成6年 東京大学医学部第三内科講師
平成7年 東京大学医学部第三内科助教授
平成10年 東京大学大学院医学系研究科糖尿病代謝内科助教授
平成11年 筑波大学臨床医学系内科(内分泌代謝)教授
平成21年 筑波大学学長
ご専門
糖尿病、内分泌、動脈硬化

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