vol.123 糖尿病の治療をしています。血糖コントロールはわりとよくなってきたのですが、足の裏の痛みがおさまりません。痛みを軽減する方法はないでしょうか?
生活習慣病Q&A
- 糖尿病の治療をしています。血糖コントロールはわりとよくなってきたのですが、足の裏の痛みがおさまりません。痛みを軽減する方法はないでしょうか?
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そのまま血糖コントロールの改善を続けてください。あわせて薬物療法を行うことで、症状の軽減が期待できます。糖尿病の合併症の1つである「糖尿病神経障害」は、糖尿病の患者さんが自覚症状として比較的早いうちに訴える症状で、糖尿病の合併症では最も多い病気です。手足のほてり、冷え、さらに「ぴりぴり」「じんじん」といった痛み、しびれ、感覚の鈍さなどの感覚神経障害のほか、自律神経障害といわれる立ちくらみ、便秘、下痢など、さまざまな症状があります。そのなかでも足の感覚神経障害が最もよくおこる症状です。
治療は、血糖コントロールを改善することが第一で、これにより痛みなどの症状が消えたり改善したりしますが、1~2年かかることもあります。患者さんよっては、血糖コントロールが改善してから一時的に症状が悪化することもあります。このとき、症状がよくならないからといって血糖コントロールをおろそかにすると、結局、症状も悪化してしまいます。ですから、そのまま血糖コントロールの改善を続けてください。あわせて症状を軽減するために、薬物療法を中心とした治療を行います。神経障害による痛みに対する新しい薬も登場していますので、医師に相談するとよいでしょう。
神経障害の症状は、悪化すると感覚が麻痺して、足の場合だとケガをしても気づかずに放置してしまい、傷口から細菌が入り壊疽(えそ)にまで進んでしまうこともあります。したがって、血糖のコントロールとともに、入浴のときなどに足をよく見ることと、清潔に保つことが大切です。
先生のプロフィール

山田 信博 先生
筑波大学学長
- 略歴
- 昭和51年 東京大学医学部医学科卒業
昭和53年 東京大学医学部附属病院 第三内科医員
昭和58年 カルフォルニア大学サンフランシスコ校留学
昭和61年 東京大学医学部第三内科助手
平成6年 東京大学医学部第三内科講師
平成7年 東京大学医学部第三内科助教授
平成10年 東京大学大学院医学系研究科糖尿病代謝内科助教授
平成11年 筑波大学臨床医学系内科(内分泌代謝)教授
平成21年 筑波大学学長 - ご専門
- 糖尿病、内分泌、動脈硬化