vol.127 「低血糖」とはなんですか? どのような症状が出るのでしょうか?
生活習慣病Q&A
- 「低血糖」とはなんですか? どのような症状が出るのでしょうか?
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低血糖とは、血糖(血液の中の糖分)が異常に低くなることです。強い空腹感、冷や汗、ふるえ、動悸などが起こり、重症になると意識がなくなります。糖尿病薬を飲んでいる人やインスリン治療をしている人では、いつもより食事量(特に、炭水化物)が少ない場合に低血糖を起こすことがあります。これは血糖を上げる炭水化物量が少ないために、血糖を下げる薬が効きすぎて、低血糖になるわけです。いつもより強い長時間の運動の最中あるいは運動後、運動した日の夜間などに低血糖を起こすことがありますが、これは運動中に筋肉の糖分(グリコーゲン)が枯渇し、補充しようとして血液の中の糖分を使うからです。たくさんアルコールを飲んだ後やその翌日の午前中に低血糖を起こす人もいます。
低血糖の典型的な症状は、強い空腹感などの副交感刺激症状、冷や汗やふるえ、動悸などの交感神経刺激症状、眼のかすみや眠気(生あくび)などの中枢神経症状です。重症になると、脳のブドウ糖が枯渇し、意識がもうろうとなり、異常な行動やけいれんなどがでて、昏睡に陥ります。「は・腹が減り、ひ・冷や汗、ふ・ふるえ、へ・へんにどきどき、ほ・放置しておくと意識がなくなる」と、ハ行(はひふへほ)で低血糖の症状を覚えておくとよいでしょう。
しかし、低血糖の症状の出方には個人差が大きいことも知られています。血糖が低くなると、血糖を上げようと副腎からアドレナリンが出るため、攻撃的になり、子どもに当たり散らす人もいます。また、自律神経が障害されると、血糖が低くなってもわかりにくくなることがあります(無自覚低血糖)。
症状が出たときに、早めに対処できるようにするためにも、自分の低血糖症状をよく知ることが大切です。
先生のプロフィール

坂根 直樹 先生
独立行政法人国立病院機構京都医療センター
臨床研究センター 予防医学研究室室長
臨床研究センター 予防医学研究室室長
- 略歴
- 昭和64年 自治医科大学医学部卒業
昭和64年 京都府立医科大学附属病院(第1内科)研修医
平成3年 大江町国保大江病院内科
平成5年 弥栄町国保病院内科
平成6年 京都府保健福祉部医療・国保課
平成7年 綾部市立病院(内分泌科)
平成10年 大宮町国保直営大宮診療所
平成11年 京都府立医科大学附属病院修練医(第1内科)
平成13年 神戸大学大学院医学系研究科分子疫学分野(旧衛生学)助手
平成15年 独立行政法人国立病院機構京都医療センター(旧国立京都病院)
臨床研究センター 予防医学研究室室長 - ご専門
- 糖尿病、糖尿病教育、内分泌