vol.135 生活習慣病予防のため、運動を始めようと思います。ダンベルなどを使った筋力トレーニングでも、効果はあるのでしょうか?
生活習慣病Q&A
- 生活習慣病予防のため、運動を始めようと思います。ダンベルなどを使った筋力トレーニングでも、効果はあるのでしょうか?
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有酸素運動だけでなく、ダンベルやマシンを使った筋力トレーニングも糖尿病を予防します。生活習慣病の代表として、2型糖尿病があります。糖尿病は遺伝と環境(身体活動、肥満、食事など)が相互に複雑にからみあって発症すると言われています。 2型糖尿病の発症リスクは、仕事中や通勤中、余暇や日中の定期的な運動・身体活動の増加により、15~60%低下します。特に、ウォーキングや自転車こぎなどの有酸素運動(週に150分以上が目標。30分を週に5回、50分を週に3回など)が糖尿病予防に有効であることは、米国、フィンランド、日本などの糖尿病予防研究で明らかになっています。
最近では、糖尿病予防に筋力トレーニングが有効ではないかということが話題となっており、腕立て伏せ、腹筋、スクワットなどの一般的な筋力トレーニングも糖尿病予防効果があることが報告されました。男性では、筋力トレーニングをしている人の糖尿病発症リスクは、何もしない人に比べて低下することがわかっています。週に60分未満の筋力トレーニングで12%、週に60~149分の筋力トレーニングで25%、週に150分以上の筋力トレーニング、つまり1回30分のトレーニングを週に5回以上継続している人では34%も低下していました。
筋肉は「遅筋(赤筋)」と「速筋(白筋)」に大別されます。有酸素運動では遅筋が主に使用され、筋力トレーニングでは速筋が主に使用されます。大海を長時間泳ぐマグロなどの赤身の魚は遅筋が多く、ふだんは海底にいて、餌がくると素早く動くカレイなどの白身の魚は速筋が多いと言われています。これら2つの筋肉を上手に使うことが、生活習慣病の予防につながると考えられます。 家でダンベルを用いて筋力トレーニングを始めるのもよいのですが、なかなか長続きしない人も多いことでしょう。それには理由がいくつかあるようです。しっかり筋力トレーニングを行うと、次の日が辛かったり、筋肉痛が起こるもの。ただし、これは筋力トレーニングの効果が出ている証拠ですから、プラスに考えるようにしましょう。筋力トレーニングには休養が大切です。この休養の間に筋肉が修復され、いい筋肉ができあがります。毎日トレーニングするのではなく、週3回、たとえば月曜・水曜・金曜など休みを入れながら始めてみるようにしてください。 また、最初はやる気があっても、3日坊主で長続きしないこともあります。筋力トレーニングを習慣化するには、近くのフィットネスクラブを利用したりするのも一案です。周囲でがんばってトレーニングしている人をみると、やる気が出てきます。また、筋力トレーニングをしている人に、続けるコツを尋ねてみてはいかがでしょうか。
先生のプロフィール

坂根 直樹 先生
独立行政法人国立病院機構京都医療センター
臨床研究センター 予防医学研究室室長
臨床研究センター 予防医学研究室室長
- 略歴
- 昭和64年 自治医科大学医学部卒業
昭和64年 京都府立医科大学附属病院(第1内科)研修医
平成3年 大江町国保大江病院内科
平成5年 弥栄町国保病院内科
平成6年 京都府保健福祉部医療・国保課
平成7年 綾部市立病院(内分泌科)
平成10年 大宮町国保直営大宮診療所
平成11年 京都府立医科大学附属病院修練医(第1内科)
平成13年 神戸大学大学院医学系研究科分子疫学分野(旧衛生学)助手
平成15年 独立行政法人国立病院機構京都医療センター(旧国立京都病院)
臨床研究センター 予防医学研究室室長 - ご専門
- 糖尿病、糖尿病教育、内分泌