vol.181 仕事の疲れなどからエナジードリンクを飲むことがあるのですが、糖尿病に影響はあるのでしょうか?

生活習慣病Q&A
仕事の疲れなどからエナジードリンクを飲むことがあるのですが、糖尿病に影響はあるのでしょうか?
エナジードリンクには糖分やカフェインが多く含まれています。その効果は一過性で、糖尿病だけでなく、心血管にも悪さをすることがあります。仕事の疲れに対してはエネジードリンクではなく、休養やストレッチなどで対処してみてはいかがでしょう。
「エナジードリンク」(Energy drink、栄養ドリンク)と呼ばれるカフェイン入りの清涼飲料水が、最近人気です。カフェインは、コーヒーや緑茶などに含まれる成分で、眠気や疲労感を抑える作用があることから、エナジードリンクを眠気覚ましとして、あるいは仕事中などに飲まれることが多いようです。しかし、エネジードリンクを飲むと、心拍数や血圧が増加し、不整脈を引き起こすので、心血管系に悪さをします1)。
カフェインの摂取量の目安として、欧州連合(EU)の欧州食品安全機関(EFSA)は、「成人では1日400㎎未満に抑え、1回の摂取量が200㎎を超えないようにするべき」との見解を発表しています。さらに、適量を超えてカフェインを摂取すると、血糖値を高めるホルモン分泌が促され、インスリンの作用を妨げる可能性があるという報告もあります。
一般的なコーヒー(200mL)に含まれているカフェインの量は約60~80㎎程度ですが、国内で販売されているエナジードリンクに含まれているカフェインの量は、100㎎~200㎎です。これらの数値を参考にしながら、1日の摂取量を守っていただけたらと思います。
また、エナジードリンクには糖分が100mLあたり約10g程度含まれていることが多いため、甘い飲料は糖尿病になるリスクを高める2)ので、エナジードリンクの摂取にも注意が必要です。
仕事の疲れに対しては、エネジードリンクではなく、休養やストレッチなどで対処してみてはいかがでしょう。
【参考】
糖尿病ネットワーク http://www.dm-net.co.jp/calendar/2016/024601.php
1) Wassef B, Kohansieh M, Makaryus AN. Effects of energy drinks on the cardiovascular system. World J Cardiol. 2017;9(11):796-806.
2) Sakurai M, Nakamura K, Miura K, et al: Sugar-sweetened beverage and diet soda consumption and the 7-year risk for type 2 diabetes mellitus in middle-aged Japanese men. Eur J Nutr. 2014;53(1):251-8.

先生のプロフィール

坂根 直樹先生

坂根 直樹 先生

独立行政法人国立病院機構京都医療センター
臨床研究センター 予防医学研究室室長
略歴
昭和64年 自治医科大学医学部卒業
昭和64年 京都府立医科大学附属病院(第1内科)研修医
平成3年 大江町国保大江病院内科
平成5年 弥栄町国保病院内科
平成6年 京都府保健福祉部医療・国保課
平成7年 綾部市立病院(内分泌科)
平成10年 大宮町国保直営大宮診療所
平成11年 京都府立医科大学附属病院修練医(第1内科)
平成13年 神戸大学大学院医学系研究科分子疫学分野(旧衛生学)助手
平成15年 独立行政法人国立病院機構京都医療センター(旧国立京都病院)
臨床研究センター 予防医学研究室室長
ご専門
糖尿病、糖尿病教育、内分泌

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