vol.2 生活習慣病を改善するための運動療法とはどんなものですか

生活習慣病Q&A
生活習慣病を改善するための運動療法とはどんなものですか
決まった方法はありませんが、基本は無理のない全身運動を続けることです。
生活習慣病を改善するために運動を行うことはとても重要です。なぜかと言うと、運動を続けることで

1) 中性脂肪が分解され、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を生産しやすくなる
2) エネルギー代謝がよくなり、肥満が減少する
3) インスリンの働きがよくなり、ブドウ糖代謝が改善される
4) 運動によるストレス解消ができる

など、生活習慣病の改善にとってよい効果があるからです。
生活習慣病の運動療法に決まった形があるわけではありません。運動療法の基本は「軽い運動を毎日続ける」ことです。ウォーキング、水泳など、全身を使う運動は生活習慣病の改善に効果的です。運動の強度は軽く息が上がる程度が目安です。一方でウエイトトレーニングのように瞬発力を必要とするスポーツは運動療法には向いていません。運動をする時間がないという忙しい人でも、基本的には基礎代謝を上げ、消費するエネルギーを増やすことが目的なので、階段の上り下りを増やす、通勤電車で座らない、昼休みに会社の周りを散歩するなど、自分にあう運動を積み重ねていくことが重要なのです。 しかし、生活習慣病の人はもともと運動習慣のない人が多いので、急に運動をはじめると、怪我をしたり、無理をして長続きしないことがあります。運動療法の効果が出るまでには3~6ヶ月程かかると考えてください。あくまでも健康のための運動ですので、無理をせずじっくり続けて行きましょう。準備運動や運動後の給水も忘れないように。
運動療法は効果的な治療法の一つですが、心臓の病気がある人や動脈硬化が進んでいる人は、運動することで心臓に大きな負担をかけてしまいます。特に心筋梗塞や脳卒中を患ったことのある人や合併症のある生活習慣病と診断されている人は、医師と相談の上、運動内容を決めるようにしましょう。

先生のプロフィール

島本 和明先生

島本 和明 先生

日本医療大学総長
略歴
昭和46年 札幌医科大学卒業
昭和47年 札幌医科大学第二内科入局
昭和48年 東京大学医学部第三内科研究生
昭和53年 米国サウスカロライナ医科大学 留学
昭和55年 札幌医科大学第二内科講師
昭和59年 札幌医科大学第二内科助教授
平成8年 札幌医科大学第二内科教授
平成16年 札幌医科大学附属病院長
平成22年 札幌医科大学理事長・学長
平成28年 日本医療大学総長
ご専門
内科学全般、循環器、高血圧、腎臓、内分泌、糖尿病

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