vol.201 1型糖尿病は生まれつきの病気なのでしょうか。大人になってから発症することはありますか。
生活習慣病Q&A
- 1型糖尿病は生まれつきの病気なのでしょうか。大人になってから発症することはありますか。
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1型糖尿病は、生まれつき(先天性)の病気ではありません。大人になってから、また、高齢者でもなることがあります。どの世代でもなり得る病気です。糖尿病は1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病、その他の糖尿病と4つに分類されています。日本人は1型糖尿病になる人が北欧やカナダに比べて10分の1以下と、少ないことはよく知られています。それでも、1年間に10万人に1人か2人が1型糖尿病(0-14歳発症)を発症しています。この民族間の差は1型糖尿病になりやすい体質と環境要因の違いによると考えられています。
1型糖尿病は、膵臓にあるインスリンを分泌する細胞(膵β細胞)が壊されてしまい、インスリンが分泌できなくなることによって血糖値が高くなる病気です。膵β細胞が壊されてしまう原因として、免疫が誤って自分の体を攻撃してしまうためだと考えられています。 1型糖尿病は自分で自分を攻撃してしまう「自己免疫疾患」に分類される病気ですので、生活習慣とは関係ありません。また、生まれつき発症する先天性の病気でもありません。
さらに、1型糖尿病の中にもいくつかのタイプがあることが分かっています。糖尿病と診断されてすぐにインスリンが必要となる急性発症型、発症1週間以内にケトーシスとなる劇症型に加えて、すぐにインスリンが必要とならない緩徐進行型があります。大人になってから発症する1型糖尿病では緩徐進行型が多いことが知られています。発症時期もまちまちで、小児で発症する人、若年期に発症する人、中年期に発症する人、中には高齢期に発症する人もいます。以上のように、1型糖尿病はどの世代でもなり得る病気なのです。
参考
https://www.shouman.jp/disease/details/07_01_001/
先生のプロフィール

坂根 直樹 先生
独立行政法人国立病院機構京都医療センター
臨床研究センター 予防医学研究室室長
臨床研究センター 予防医学研究室室長
- 略歴
- 昭和64年 自治医科大学医学部卒業
昭和64年 京都府立医科大学附属病院(第1内科)研修医
平成3年 大江町国保大江病院内科
平成5年 弥栄町国保病院内科
平成6年 京都府保健福祉部医療・国保課
平成7年 綾部市立病院(内分泌科)
平成10年 大宮町国保直営大宮診療所
平成11年 京都府立医科大学附属病院修練医(第1内科)
平成13年 神戸大学大学院医学系研究科分子疫学分野(旧衛生学)助手
平成15年 独立行政法人国立病院機構京都医療センター(旧国立京都病院)
臨床研究センター 予防医学研究室室長 - ご専門
- 糖尿病、糖尿病教育、内分泌