vol.203 自身が糖尿病であることは、オープンにしたほうがよいのでしょうか? 個人的にはオープンにしたくないのですが...。

生活習慣病Q&A
自身が糖尿病であることは、オープンにしたほうがよいのでしょうか? 個人的にはオープンにしたくないのですが...。
仕事や私生活に特に支障がなければ、自分が糖尿病であることをオープンする必要はありません。ただし、注意する点がいくつかあります。
あなたが職場に雇用される際には、自分が糖尿病であることは既に告知されていることと思いますが、同僚や知人などに個人的に自分が糖尿病であることを、オープンにする必要性は特にありません。周囲の人に糖尿病であることをオープンにすることにはメリットとデメリットがあります。

メリットとしては、周囲の人に自分が糖尿病であることをオープンにすることで、食前にインスリンを注射したり、血糖測定や低血糖の際に補食がしやすいことがあげられます。他人の助けを必要とする「重症低血糖」が起こった際には、早めに対処してくれる可能性が高まります。スポーツをしている1型糖尿病を持つ子どもの中には、チームの他のメンバーに低血糖になった時の対処法を伝えて、危機管理をしている場合もあります。糖尿病であることを隠そうとすると、インスリン注射ができなかったり、補食がしにくくなります。
逆に、デメリットとしては糖尿病があるから生活習慣が悪いのではないか、他の人と同じように仕事ができないのではないかと不当な扱いを受ける可能性があります。これは糖尿病という病気に対する誤解から生じたものです。血糖コントロールが良好で、特に合併症がなければ仕事には何ら支障はありません。事実、1型糖尿病を持ちながら野球やサッカーなどで活躍しているプロのスポーツ選手はたくさんいます。

自分の病気のことを正しく知ってほしい人には是非、病気のことをオープンにして下さい。そうすることで、仕事やプライベートがうまくいく場合も多くあります。また、糖尿病であることをオープンにしなくても、食前にインスリンを注射したり、血糖を測定したりを普通にしてみて下さい。「あなた、糖尿病なの?」と尋ねられた時に、「そうなの、1型糖尿病で注射が必要なの。」と答えてみて下さい。さらに、病気のことについて尋ねられたら、正しい知識を教えてあげて下さい。

先生のプロフィール

坂根 直樹先生

坂根 直樹 先生

独立行政法人国立病院機構京都医療センター
臨床研究センター 予防医学研究室室長
略歴
昭和64年 自治医科大学医学部卒業
昭和64年 京都府立医科大学附属病院(第1内科)研修医
平成3年 大江町国保大江病院内科
平成5年 弥栄町国保病院内科
平成6年 京都府保健福祉部医療・国保課
平成7年 綾部市立病院(内分泌科)
平成10年 大宮町国保直営大宮診療所
平成11年 京都府立医科大学附属病院修練医(第1内科)
平成13年 神戸大学大学院医学系研究科分子疫学分野(旧衛生学)助手
平成15年 独立行政法人国立病院機構京都医療センター(旧国立京都病院)
臨床研究センター 予防医学研究室室長
ご専門
糖尿病、糖尿病教育、内分泌

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