vol.50 健康診断で肥満と指摘されました。糖尿病が気になりますが、肥満だと糖尿病になってしまうのですか?

生活習慣病Q&A
健康診断で肥満と指摘されました。糖尿病が気になりますが、肥満だと糖尿病になってしまうのですか?
肥満になると糖尿病を発症するリスクが高まりますが、肥満だから必ずしも糖尿病になるわけではありません。言い換えると、肥満でなくても糖尿病を発症する可能性があるということです。
通常、空腹時の血糖値が126mg/dL以上、または75gOGTTという試験を行って2時間後の血糖値が200mg/dL以上の場合に「糖尿病型」と判定され、肥満かどうかは関係ありません。日本の糖尿病患者は、欧米の糖尿病患者に比べて肥満度が低いという研究結果もあります。しかし、肥満である場合、糖尿病を発症するリスクは肥満でない場合に比べて高いことがわかっています。厚生労働省の調べ(R2002年度)によると、「糖尿病が強く疑われる人」と「糖尿病の可能性が否定できない人」はわが国で1,620万人いると推定されています。そして、肥満(BMI25以上)の場合、「糖尿病が強く疑われる」または「糖尿病の可能性が否定できない」人の割合が、肥満でない場合に比べて多く、肥満と糖尿病には密接な関係があることが示されました。このため、厚生労働省では糖尿病予防のために肥満防止を訴えています。肥満は糖尿病だけでなく、あらゆる生活習慣病を招く危険因子です。日頃の生活習慣を見直し、肥満の予防・解消に努めましょう。

参考:厚生労働省「心疾患-脳血管疾患死亡統計の概況-人口動態統計特殊報告」2006年3月

先生のプロフィール

山田 信博先生

山田 信博 先生

筑波大学学長
略歴
昭和51年 東京大学医学部医学科卒業
昭和53年 東京大学医学部附属病院 第三内科医員
昭和58年 カルフォルニア大学サンフランシスコ校留学
昭和61年 東京大学医学部第三内科助手
平成6年 東京大学医学部第三内科講師
平成7年 東京大学医学部第三内科助教授
平成10年 東京大学大学院医学系研究科糖尿病代謝内科助教授
平成11年 筑波大学臨床医学系内科(内分泌代謝)教授
平成21年 筑波大学学長
ご専門
糖尿病、内分泌、動脈硬化

商品を見る