vol.60 現在妊娠中で、妊娠糖尿病と診断されました。妊娠糖尿病は、妊娠の間だけで出産後は元にもどるのでしょうか? 妊娠中なのでなるべく薬をのみたくないのですが、どのように治療すればよいのでしょうか?

生活習慣病Q&A
現在妊娠中で、妊娠糖尿病と診断されました。妊娠糖尿病は、妊娠の間だけで出産後は元にもどるのでしょうか? 妊娠中なのでなるべく薬をのみたくないのですが、どのように治療すればよいのでしょうか?
妊娠糖尿病は妊娠中の一時的な糖尿病ですが、出産後、慢性的な糖尿病に進展してしまう可能性もあるので注意しましょう。
妊娠中に糖尿病を発症、またはすでに発症していたものを初めて発見した場合が「妊娠糖尿病」です。一方、もともと糖尿病の方が妊娠するのが「糖尿病合併妊娠」です。
妊娠中は、胎盤でインスリン(血糖を正常に保つ働きをもつホルモン)の働きを悪くするホルモンが多く分泌されます。さらに、妊娠後期にはインスリンが多量に必要になりますが、インスリンの働きが悪くなっており必要量に足りないことがあります。これらの原因から高血糖状態が続き、妊娠糖尿病を発症すると考えられています。
妊娠糖尿病になると、妊娠中毒症の発症や胎児に先天性異常の合併が起こるなど、母体と胎児に悪影響がでるため治療が必要です。出産後は血糖値が通常レベルに戻ることがほとんどですが、そのまま糖尿病に移行することもあるので注意しましょう。
妊娠糖尿病の治療は、食事療法により厳格に血糖コントロールを行います。そして重症度に応じて、胎児に影響しないインスリン製剤を用いて治療します。運動療法は、胎児への影響もあるので、医師に相談しながら問題のない範囲で行いましょう。

先生のプロフィール

山田 信博先生

山田 信博 先生

筑波大学学長
略歴
昭和51年 東京大学医学部医学科卒業
昭和53年 東京大学医学部附属病院 第三内科医員
昭和58年 カルフォルニア大学サンフランシスコ校留学
昭和61年 東京大学医学部第三内科助手
平成6年 東京大学医学部第三内科講師
平成7年 東京大学医学部第三内科助教授
平成10年 東京大学大学院医学系研究科糖尿病代謝内科助教授
平成11年 筑波大学臨床医学系内科(内分泌代謝)教授
平成21年 筑波大学学長
ご専門
糖尿病、内分泌、動脈硬化

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