vol.86 糖尿病では足の手入れが大切と聞きましたが、何をすればいいのですか?

生活習慣病Q&A
糖尿病では足の手入れが大切と聞きましたが、何をすればいいのですか?
糖尿病神経障害が進んでいる患者さんでは足の感覚が鈍くなっており、気づかないうちに病気が進行してしまうことがあります。足を毎日よく観察して、足の手入れをこまめにしましょう。
糖尿病によって神経障害が進行すると足の感覚が鈍くなってしまいます。また、糖尿病の患者さんは細菌に対する抵抗力が弱くなっているため、足の傷が細菌に感染しても気づかないうちに病気が進行してしまうことがあり、足の指の形が変わったり、爪の周囲の炎症が起きたりします。このほか、動脈硬化によって足の血管が細くなり、足の先まで十分な血液が流れなくなることで、足の病気が進行することもあります。これらの病気は処置が遅れると皮膚の壊疽まで進むことがありますので、早期の処置が重要となります。 そのためには、足を毎日よく観察して、小さな変化に早く気づくことと、足の手入れをこまめにすることが大切です。具体的な足の手入れ(フットケア)の方法は次のとおりです。

[細菌感染の予防]
・ 毎日、足を指の間までよく洗い清潔に保つ。

[足の怪我の予防]
・ 爪を切るときは深爪をしない。
・ 靴は足にあったものを選び、かかとの高い靴は避ける(靴擦れの防止)。
・ 必ずお湯の温度を手で確認してから入浴する。また、こたつや湯たんぽ、ヒーターに足を長時間さらさない(火傷の防止)。

[動脈硬化・免疫機能低下の予防など]
・ 禁煙をする。

これらの点に注意し、気づいたことがあれば早めに医師の診察を受けましょう。

先生のプロフィール

山田 信博先生

山田 信博 先生

筑波大学学長
略歴
昭和51年 東京大学医学部医学科卒業
昭和53年 東京大学医学部附属病院 第三内科医員
昭和58年 カルフォルニア大学サンフランシスコ校留学
昭和61年 東京大学医学部第三内科助手
平成6年 東京大学医学部第三内科講師
平成7年 東京大学医学部第三内科助教授
平成10年 東京大学大学院医学系研究科糖尿病代謝内科助教授
平成11年 筑波大学臨床医学系内科(内分泌代謝)教授
平成21年 筑波大学学長
ご専門
糖尿病、内分泌、動脈硬化

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