vol.98 最近、急に体重が落ちてきて、友人に糖尿病ではないかと言われました。糖尿病は、太った場合になりやすいと思っていたのですが。

生活習慣病Q&A
最近、急に体重が落ちてきて、友人に糖尿病ではないかと言われました。糖尿病は、太った場合になりやすいと思っていたのですが。
急激な体重減少は、糖尿病の症状のひとつです。もし糖尿病が原因なら病気が進行している可能性があるので、すぐに受診しましょう。
糖尿病の症状として体重が減少することがあります。これは、糖尿病によりインスリンの働きが低下することで、食事から摂ったブドウ糖をエネルギーとして利用できなくなり、体内の脂肪や筋肉のタンパク質をエネルギー源として分解してしまうためです。患者さんの中には、1カ月で10kg以上やせる人もいます。

糖尿病患者さんは太っているというイメージがあるかもしれません。肥満は、過食、運動不足と並んでインスリンの働きを低下させ、糖尿病を発症させる要因のひとつです。そのしくみとして、蓄積した内臓脂肪がインスリンの働きを妨害する物質を分泌することなどが考えられています。このように肥満の人は糖尿病になりやすいといえますが、糖尿病が進行した人では体内がエネルギー不足となり、体重が減少してしまうのです。
体重減少は、口の渇き、尿の回数の増加などの症状とともに糖尿病の典型的な症状ですので注意が必要です。がんや甲状腺機能亢進症などの病気も疑われますが、糖尿病により急激にやせた場合には極度のインスリン不足の可能性があり、放置すると昏睡あるいは死に至ることもあるのですぐに受診しましょう。

先生のプロフィール

山田 信博先生

山田 信博 先生

筑波大学学長
略歴
昭和51年 東京大学医学部医学科卒業
昭和53年 東京大学医学部附属病院 第三内科医員
昭和58年 カルフォルニア大学サンフランシスコ校留学
昭和61年 東京大学医学部第三内科助手
平成6年 東京大学医学部第三内科講師
平成7年 東京大学医学部第三内科助教授
平成10年 東京大学大学院医学系研究科糖尿病代謝内科助教授
平成11年 筑波大学臨床医学系内科(内分泌代謝)教授
平成21年 筑波大学学長
ご専門
糖尿病、内分泌、動脈硬化

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