vol.14 太陽光不足が「SEうつ病」を招く

健康・医療トピックス
コンピューター社会となった今日、システムエンジニア(以下SE)は時代の花形職業。ところが、SEの人々に、うつ病で会社を休んでいる人が多いと精神科医は指摘します。これが、今話題となっている「SEうつ病」です。
SEの方々はパソコンを操作するのが仕事ですが、その環境は人よりもパソコン自体にやさしいように湿度・温度を低く保ち、直射日光が入らないようにしてあります。すなわち一日中太陽光の入らない室内で、SEはモニターに向かってひたすらプログラムを打ち込み続けることが多いのです。

これが2年、3年と続くうちに「意欲がない」「アイデアがわかない」「面白いテレビも面白いと思わない」「夜中に目覚めて朝まで眠れない」「熟睡感がない」「イライラ・ソワソワして集中力がない」などの身体の変調を訴えるようになります。
この状態を「SEうつ病」といいます。これはうつ病の一種ですが、人間関係や仕事のトラブルといったことが原因ではない点が、普通のうつ病とは大きく異なります。
「SEうつ病」の原因は、実は太陽光不足にあるのです。
1日中太陽の光を浴びず、運動もしない。休日も普段の疲れから、太陽光を浴びることなく眠ってばかり。これが体内時計を狂わせ、体に変調をきたすのです。体内時計は、1日24時間45分くらいとなっています。ところが生活リズムは24時間ですから、そのまま進むと体と生活リズムの間に狂いが生じてしまいます。そこで、目覚めたときに太陽光を浴びて、体内時計をリセットしているのです。
ですから「SEうつ病」の治療には、朝の太陽光を十分に浴びることが取り入れられます。日光浴のほかには抗うつ薬を使います。こうすることで2カ月程度で回復に向かい、4カ月もすると回復するケースが多いようです。
日光浴の代わりに『光療法』を取り入れている医療機関もあります。1日1回、朝方にライトボックスという高照度光照射装置を用いて、人工的に強い光を患者さんに照射します。この治療は機器のレンタルもあるので、自宅で行うことも可能です。

太陽光を浴びることは人間の生体リズムにとって大切なことです。SEの方々に限らず、進んで外に出て光を浴びるように心掛け、リラックスした時間を過ごしましょう。
vol.14 太陽光不足が「SEうつ病」を招く

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執筆者プロフィール

松井 宏夫

松井 宏夫

医学ジャーナリスト
略歴
1951年生まれ。
医療最前線の社会的問題に取り組み、高い評価を受けている。
名医本のパイオニアであるとともに、分かりやすい医療解説でも定評がある。
テレビは出演すると共に、『最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学』(テレビ朝日)に協力、『ブロードキャスター』(TBS)医療企画担当・出演、『これが世界のスーパードクター』(TBS)監修など。
ラジオは『笑顔でおは天!!』のコーナー『松井宏夫の健康百科』(文化放送)に出演のほか、新聞、週刊誌など幅広く活躍し、NPO日本医学ジャーナリスト協会副理事長を務めている。
主な著書は『全国名医・病院徹底ガイド』『この病気にこの名医PART1・2・3』『ガンにならない人の法則』(主婦と生活社)、『高くても受けたい最新の検査ガイド-最先端の検査ができる病院・クリニック47』(楽書ブックス)など著書は35冊を超える。

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