vol.16 保険適用された加齢黄斑変性症の光線力学療法

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Vol.16 保険適用された加齢黄斑変性症の光線力学療法 社会的失明(矯正視力が0.1以下)に結びつく眼科疾患として、日本でも患者さんが急増中の『加齢黄斑変性症』。これは、目の網膜の中心部にある黄斑部に病的な老化現象が現れる疾患で、これまで信頼にたる治療法がありませんでした。そんななか『光線力学療法』が登場し、今年(2004年)の5月1日に保険が適用され、加齢黄斑変性症の治療に明るい話題を提供しました。

加齢黄斑変性症は高齢化のほか、若い時からの生活習慣(喫煙、食生活の欧米化、紫外線など)も原因とされる病気です。カメラのフィルムにあたる網膜の中心部の黄斑部に異常が起こるので、患者さんは「見ようとする中央部が暗い」「物がゆがんで見える」「物が小さく見える」「視力が低下した」といった症状を訴えて受診します。

黄斑変性症には萎縮型(いしゅくがた:ドライタイプ)と滲出型(しんしゅつがた:ウェットタイプ)があり、日本人の約90%は滲出型です。滲出型は網膜の下から非常にもろい新生血管(新しい細い血管)が伸び、出血したり血液成分がもれたりして黄斑部が破壊されるのです。
これまで治療には「光凝固療法」「新生血管抜去術」「黄斑移動術」などが行われていましたが、治療により正常組織までもが傷つく場合もあり、より身体に負担が少なく改善できる治療が待ち望まれていました。
そこに登場したのが『光線力学療法』です。光感受性物質(ベルテポルフィン)を患者さんの静脈から投与すると、LDLコレステロールと結合して新生血管の内皮細胞にたまります。その新生血管に向けて低エネルギーのレーザーを照射すると光感受性物質がレーザー光に反応して活性酸素を産生するのです。この活性酸素は新生血管だけを破壊し周辺組織はほとんど傷つけません。
欧米諸国ではすでに多くの患者さんに治療が行われています。日本では2000年5月から翌年12月にかけて臨床試験が行われ、その報告では患者さんの視力は手術前より多少ではあるがアップし、症状の悪化をくい止めたといいます。
そして2004年5月、光線力学療法は健康保険医療として認可され、広く一般に普及することが期待されています。
  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
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