vol.198 年末年始は「膵炎」に気をつけよう

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Vol.198 年末年始は「膵炎」に気をつけよう

膵臓(すいぞう)の病気、特に膵炎が増えています。膵炎は膵臓がんのような怖いイメージはありませんが、重症になると約10%は命を落とす侮れない病気です。日本肝胆膵外科学会の高度技能専門医で、膵臓に詳しい帝京大学医学部附属病院 肝胆膵外科 和田慶太准教授は、「急性膵炎は良性の病気ですが重症になると命に関わり、慢性膵炎は自分では気づかないうちに少しずつ膵臓の働きを失っていく怖い病気です」と話します。 膵臓は胃の奥にあり、長さ約15cmの横長の臓器です。膵液という消化液を作り、食物の消化に関与しているほか、インスリンなどのホルモンによる血糖調節を行っている臓器です。通常の血液検査や健康診断では、異常を指摘されることはまれで、異変が見つかったときには病気がかなり進んでいることがあります。膵臓がん以外についても知っておきたいものです。

膵臓に炎症が起きるとは

急性膵炎は激烈な痛みを伴うもので、「おなかの火事」に例えられます。膵臓で作られた膵液(消化酵素)は、腸に分泌されてから活性化するのですが、急性膵炎が起こると膵臓の中で消化酵素が活性化してしまい、自己消化(自分の細胞を溶かす)による炎症を起こすのです。その主な原因は飲酒です。
また、膵炎が起こると自分を守る免疫の仕組みでサイトカインという化学物質が分泌され、飛び火を防ごうとするのですが、それが肺や腎臓など全身の臓器にダメージを与えてしまうことがあります。局所の炎症が全身に広がり、重症例では臓器不全を合併して命に関わることがあるのです。

知っておきたい急性膵炎の自覚症状

  • お酒や食事の後から調子が悪い
  • みぞおちの奥から背中に痛みがある、胃あたりが重だるい
  • 微熱がある

これらは注意が必要です。急性膵炎は、典型的には強い腹痛を伴いますが、軽症の場合は「我慢しようと思えば我慢できる」「なんとなく胃が重い」など自覚症状がはっきりしないことあります。血液検査で膵酵素(アミラーゼやリパーゼ)の上昇を伴うことが多いため、まずは血液検査を行うことをお勧めします。

小さな炎症を繰り返す慢性膵炎

慢性膵炎は、小さな炎症を繰り返しながら20年、30年後には膵臓が機能しなくなってしまう怖い病気です。いったん膵炎が起こると膵臓にダメージが残り、膵液の流れを滞らせてしまうことがあります。そうなると、その後一生膵炎を起こしやすい状態となり、繰り返す膵炎によって急に具合が悪くなり仕事に穴を開けてしまうなど、社会生活にも影響し、いわゆる負のスパイラルに陥るようになります。
まずは急性膵炎を予防し、慢性膵炎にならないようにすることが大切です。また、急性膵炎になってしまったら、患者さん、かかりつけ医、膵臓の専門医が早期に医療情報を共有し、適切な治療や再発予防をしていくことが重要です。

早期に専門医の診察を受けよう

膵臓が気になるときは、膵臓の専門医の診察を勧めますが、診察を受けてもよいものか、ためらうこともあると思います。その場合は、「遠慮したりしないで、セカンドオピニオンを受けてほしい」と和田准教授は話します。「迷っている患者さんもいるのですが、肝胆膵外科では専門医に詳しく診てもらって、診療情報提供書(紹介状)を書いてもらうのはごく普通のことです」とアドバイスします。

膵臓の病気が疑われるとき

胃や肝臓の不調と思い込み、実は膵臓が原因だで発見が遅れることがよくあります。また、お酒の量に関係なく、少しのお酒でも発症することがあります。膵臓に詳しい専門医は全国的に少なく、膵炎に対する予防や医学的な啓発が行き届いていないことがあります。知らないうちに膵臓に負担をかけていないか振り返ってみましょう。
「思っているより怖い病気ですから、予防が膵炎の最良の治療です」(和田准教授)。飲食や飲酒の機会が多い時期は、注目してほしい膵臓。負担を掛けないように注意したいものです。

監修 帝京大学医学部外科学講座 准教授 和田 慶太先生
取材・文 阿部 あつか

  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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