vol.23 メタボリック・シンドロームの診断基準まとまる
健康・医療トピックス
“老いは血管から”といわれるように、動脈硬化は心筋梗塞などの死を招く疾患に結びつきます。その動脈硬化を促進させるのが肥満、高脂血症、糖尿病、高血圧といった生活習慣病ですが、中でも肥満でありながら他の病気を複数併せ持つ状態をメタボリック・シンドロームと呼び、より急速に動脈硬化が進行することがわかっています。
心筋梗塞で倒れる人が多い米国では、すでにこのメタボリック・シンドロームの診断基準がありましたが、このほど日本でも日本動脈硬化学会、日本糖尿病学会など8学会がまとめ、日本内科学会からメタボリック・シンドロームの診断基準が公表されました。
メタボリック・シンドロームの診断基準は、まず、ウエスト回りが男性85cm以上、女性90cm以上。残る3つの高脂血症、高血圧、糖尿病のうち下の項目で2つ以上該当するとメタボリック・シンドロームと診断されます。
心筋梗塞で倒れる人が多い米国では、すでにこのメタボリック・シンドロームの診断基準がありましたが、このほど日本でも日本動脈硬化学会、日本糖尿病学会など8学会がまとめ、日本内科学会からメタボリック・シンドロームの診断基準が公表されました。
メタボリック・シンドロームの診断基準は、まず、ウエスト回りが男性85cm以上、女性90cm以上。残る3つの高脂血症、高血圧、糖尿病のうち下の項目で2つ以上該当するとメタボリック・シンドロームと診断されます。
それぞれの基準をより詳細にみていくと、まず、肥満について腹囲を基準とすることになったのは、内臓脂肪型が最も危険性が高く、それを知るには腹囲がわかりやすいためです。高脂血症では悪玉コレステロールのLDLコレステロールが問題視されなかったのは、LDLコレステロールは単独で動脈硬化と関係し、ほかの危険因子との関係が少ないからです。
ここでの注目点は、高血圧や糖尿病の診断基準は、病気と診断されるほどの数値ではないことで、血圧は、いわゆる家庭での高値正常血圧の 135/85mmHg(高血圧学会のガイドライン2004版)よりも低く設定されています。血糖値は境界型で、糖尿病型と正常型の中間に属するタイプの数値です。内臓脂肪型肥満に複数の危険因子が加わることで動脈硬化のリスクが一気に高まるのです。
以上の基準に該当してメタボリック・シンドロームと診断されたら、まずは生活習慣を改善する指導が行われます。食事療法や運動療法を3~4カ月続けても改善がみられない場合は、医師と患者さんとが相談の上、それぞれの疾患の薬物治療が導入されます。
メタボリック・シンドロームの人は、40歳以上では3人に1人ともいわれています。特に肥満ぎみの人は要注意です。他人事と片付けないで、まずは自分自身のウエストチェックから始めましょう。
※このコラムは、掲載日現在の内容となります。掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。
執筆者プロフィール

松井 宏夫
医学ジャーナリスト
- 略歴
- 1951年生まれ。
医療最前線の社会的問題に取り組み、高い評価を受けている。
名医本のパイオニアであるとともに、分かりやすい医療解説でも定評がある。
テレビは出演すると共に、『最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学』(テレビ朝日)に協力、『ブロードキャスター』(TBS)医療企画担当・出演、『これが世界のスーパードクター』(TBS)監修など。
ラジオは『笑顔でおは天!!』のコーナー『松井宏夫の健康百科』(文化放送)に出演のほか、新聞、週刊誌など幅広く活躍し、NPO日本医学ジャーナリスト協会副理事長を務めている。
主な著書は『全国名医・病院徹底ガイド』『この病気にこの名医PART1・2・3』『ガンにならない人の法則』(主婦と生活社)、『高くても受けたい最新の検査ガイド-最先端の検査ができる病院・クリニック47』(楽書ブックス)など著書は35冊を超える。