vol.57 からだにやさしくなった重症肥満の治療法

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Vol.57 からだにやさしくなった重症肥満の治療法 肥満症は肥満症でも、より重症の『重症肥満』の治療では、これまで胃を小さくする開腹手術が行われていました。ところが、2004年からはからだにやさしい内視鏡や腹腔鏡を使った、開腹しない治療法が登場しています。
肥満症と診断されるのは、以下の(1)(2)のどちらかにあてはまる場合です。

(1)BMI:ボディマスインデックス[体重(キロ)÷身長(メートル)の二乗]が25以上の人で、肥満に基づく関連障害10の疾患(糖尿病、高脂血症、高血圧、高尿酸血症、脂肪肝、心筋梗塞、脳梗塞、変形性関節症、月経異常、睡眠時無呼吸症候群)のうち、ひとつ以上合併している。

(2)BMIが25以上あって、内臓脂肪の蓄積がはっきり認められる(内臓脂肪はCTで測って100平方センチ以上の場合)。

肥満度は、BMIによって重症度が次の4段階に分けられ、肥満度3以上の場合が重症肥満になります。

  • 肥満1度――BMI25~30
  • 肥満2度――BMI30~35
  • 肥満3度――BMI35~40
  • 肥満4度――BMI40以上

重症肥満の人の治療に薬物療法がありますが、日本では今、使える薬はマジンドールのみです。食事や運動療法を行っても改善しない人が対象となります。ただし、服用期間は3カ月のみと制限されています。それは、マジンドールには依存性があり、睡眠障害などの副作用があるからです。
薬がダメな場合には、手術が行われます。しかし、これまでは胃を縮小する開腹手術があったものの、日本では治療を受ける人は、ほとんどいませんでした。開腹することに大きな抵抗感があるのです。
2004年、そのような重症肥満の人々の声に応えるかのように、内視鏡を使う治療と腹腔鏡を使う治療が登場し、注目を集めています。
内視鏡を使う治療は、『胃内バルーン留置術』といいます。内視鏡を使ってしぼんだ状態のシリコーン製のバルーン(風船)を患者さんの口から入れて、胃の中に留置します。このバルーンをふくらませると胃の容積が減るので、物を食べようにもあまり入らないのです。
もうひとつの腹腔鏡を使う治療は、『胃バンディング術』といいます。これは、腹部に4~5カ所の直径4~10ミリ程度の孔(あな)を開け、そこから腹腔鏡や手術器具を入れ、開腹することなく、食道から胃への入り口部分を、シリコーン製のバンドで締める方法です。こうすることで、食べ物は通りにくくなりますので、肥満者に多い早食い、ドカ食いが止められるのです。
現在、アメリカの重症肥満者はどちらかの治療に大いに関心を示し、年間十数万人が治療を受けています。日本ではスタートして間もないものの、これからは治療を受ける人が増えると推測されています。

  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
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