vol.71 最新・高血圧治療

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Vol.71 最新・高血圧治療 日本高血圧学会が『高血圧治療ガイドライン(JSH)』を改定し、『高血圧治療ガイドライン(JSH2009)』を発表しました。一般の医師(プライマリケア医)の意見も取り入れて分かりやすく、そして、患者さん1人ひとりに合った治療がより行いやすいものになったと思われます。

では、最新・高血圧治療の改善点を挙げてみましょう。

◎高血圧は従来「軽症・中等症・重症」と診断基準が設けられていました。それが『I度、II度、III度』と名称が変更されました。軽症と聞くと「なんだ、どうってことないよ!」と軽く考えられがちだったからです。

◎降圧目標は、対象者の年齢や合併している病気によって変わります。これに関して、新たに『心筋梗塞後患者』『脳血管障害患者』がポイントに加わりました。脳卒中患者は動脈硬化が進行しているので降圧目標値が多少高めです。

◎診察室血圧に加えて『家庭血圧』の降圧目標値も示されました。たとえば高齢者の場合は診察室血圧140/90mmHg未満で家庭血圧135 /85mmHg未満、若年者・中年者では診察室血圧130/85mmHg未満で家庭血圧125/80mmHg未満です。家庭血圧は診察室血圧より各 5mmHg低い値を目標としています。

◎降圧剤の第1選択薬は「カルシウム拮抗薬」「ARB/ACE阻害薬」「利尿薬」「β遮断薬」となり、これまで入っていた『α遮断薬』がなくなりました。これは、血圧を下げる作用ははっきりしているものの心血管病の合併を防ぐ効果がはっきりしないからです。

そして、最も注目の集まったのが以下の改良点です。

◎「血圧に基づいた脳心血管リスク層別化」で、正常血圧の正常高値(130~139/85~89mmHg)でも、メタボリックシンドロームの人は『中等リスク』、糖尿病、慢性腎臓病(CKD)、臓器障害/心血管病などのある人は『高リスク』となりました。高血圧は動脈硬化、そしてその先にある脳卒中、心筋梗塞などの心血病を招く危険性が高くなります。しかし、あくまでも高血圧はひとつの危険因子。そこにメタボ、糖尿病、CKD、心血管病などの合併がより相乗的に心血管病などのリスクを高めてしまうので、早い段階から降圧が必要となるのです。

さらに、ここでの注目度が高かったのは、“メタボ”の概念が取り入れられたからです。正常高値でも他の要因が多いとリスクの高くなるのはすでに分かっていましたので、しっかり血圧コントロールをしましょう!ということなのです。
30代、40代では糖尿病やメタボなどの危険因子があっても正常高値であれば高血圧の治療を受けていない人が80~90%にものぼっています。高リスク群でも高血圧の未治療患者さんの多いのが現状ですので、脳心血管病で倒れないためにも正常高値でも中等リスクの人は治療に入るべきというガイドラインなのです。
その場合、すぐに降圧薬を服用するのではなく、生活習慣の見直しへの指導からスタートします。『生活習慣の修正項目』は (1)減塩、(2)食塩以外の栄養素、(3)減量、(4)運動、(5)節酒、(6)禁煙、(7)防寒、(8)ストレス解消です。
メタボの人にとって、全項目しっかり行うのが重要ですが、特にここでは(1)の減塩について紹介しましょう。
食塩の摂取は1日6g未満を目指しましょう!欧米の大規模臨床試験では6g/日前半まで食塩摂取量を落とさないと降圧効果が達成できないと証明されています。ただ、それでも実は摂取過多で、安全性のあるエビデンス(科学的根拠)があるのは、何と1日3.8gまでなのです。
現在、日本人の平均食塩摂取量は1日10~11gなので、かなり意識しないと減塩は難しいと思われます。香辛料や酢など、塩分以外でバラエティに富んだ味、香りを楽しむように工夫し、まずは1日10g、次は9gと、最初から6g以下を目指してスタートしないのがポイントです。
ゴルフのハンデではないけれど、“シングル”を目標に――。それを1歩1歩進めると、無理なく塩分から逃れた食生活が自然に楽しめるようになります。

  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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