vol.92 加齢黄斑変性の治療で注目の「抗血管新生療法」

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Vol.92 加齢黄斑変性の治療で注目の「抗血管新生療法」 日本では、中途失明となる原因疾患の第4位が「加齢黄斑変性」です。50代以降、年齢があがるにつれて増加する傾向にありますが、最近「抗血管新生療法」が登場し、病気の進行を抑えるのみならず、多少ではあるが視力が改善に向かうとして注目を集めています。
加齢黄斑変性は、目の網膜の中央にある最も視覚に関係する黄斑部が「加齢」のほか「遺伝的要因」「環境の悪化」「太陽光線」「カロテン(緑黄色野菜)の少ない食生活」「喫煙」などの要因によって障害を受け、視力に支障をきたす病気です。
患者さんはまず「見たい部分がゆがんで見える」という症状を訴えます。さらに症状が悪化すると、視力が大幅に低下し、ゆがんでいるのも分からなくなり「見ようとする中心部が見えない」状態になります。
この加齢黄斑変性の中でも日本人に多い滲出型(しんしつがた)では、網膜の膜の間に加齢によって処理しきれなくなった老廃物が溜まります。この状態が進むと網膜への酸素や栄養の供給ができなくなるため、脈絡膜(網膜より外側に位置し、血管が豊富な膜)から新しい補給路を求めて新生血管ができ網膜に向かって生えてきます。しかし、新生血管は非常にもろくすぐに出血するため、網膜に障害をおこし視力を低下させてしまうのです。
治療は「レーザー治療」「光線力学療法」、そして注目の「抗血管新生療法」があります。
レーザー治療は新生血管を強力なレーザーで焼いてしまう治療とあって、正常な網膜も焼いてしまうリスクがあります。そのため黄斑部の中央にある最も感度が高くて重要な中心窩(ちゅうしんか)に新生血管が及んでいる場合には対象となりません。その場合に行われるのが2004年5月に保険適用となった光線力学療法と2009年3月に保険適用となった抗血管新生療法です。
光線力学療法は光感受性薬を点滴注射し、新生血管に届く15分後に半導体レーザーを83秒間照射します。光感受性薬はレーザー光に反応して活性酸素を産生し、新生血管だけを消退させるのです。ただし、光線力学療法は中心窩に新生血管のある人で、視力が0.5以下の人が対象です。それは視力が良い人の場合、光線力学療法でかえって視力を悪くすることがあるからです。
そういう理由から抗血管新生療法は、中心窩に新生血管がある視力の低下していない早期の方々にも行える治療として大きな注目を集めています。
抗血管新生療法は、新生血管の成長を抑える抗VEGF薬を、眼球内の硝子体に注射するだけですむ治療です。薬には「マクジェン」と「ルセンティス」の2剤があります。
その中のひとつ、ルセンティスの注射は1カ月に1度で、3カ月続けて行います。新生血管の増殖や成長を抑えるだけではなく、これまでの治療になかった視力を多少改善する働きもあることが分かり、朗報となっているのです。もちろん、薬なので副作用はあります。その点については主治医とよく話し合って治療を受けるべきでしょう。
抗血管新生療法の登場により、加齢黄斑変性も視力が低下する前に治療が行える時代になりましたので、早期発見、早期治療を心がけるべきです。
早期発見のための自己チェックは、格子状の線の描かれた用紙(方眼紙など)を用いて行います。用紙は30cm程度目から離し、片目ずつチェックをします。「中心部分がゆがんで見える」「中心部分がゆがみ、さらに欠けている部分がある」「中心部分のラインがぼやけるとともに薄暗く見える」といった見え方をした場合は、速やかに眼科を受診しましょう。
  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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