vol.93 乳がん学会が注意喚起した、乳房を切らない『ラジオ波療法』

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Vol.93 乳がん学会が注意喚起した、乳房を切らない『ラジオ波療法』 “からだにやさしい手術”が日増しに治療のメインとなっています。
乳がんの治療においても「切らずに治す」として研究が行われているのが、『RFA(ラジオ波熱凝固療法)』『FUS(MRIガイド下集束超音波療法)』『冷凍凝固療法』などの乳房温存手術です。「できれば切りたくない」というのが患者さんの本音です。そのため、切らずに治す治療、特にRFAを普及させてきました。
ところが、日本乳癌学会が2010年6月、再発する患者さんが増えてきたとして、「RFAは臨床試験の目的以外では行わないように!」と会員に注意を喚起したのです。学会が行った調査では、RFAがすでに国内で1000例以上が行われ、その約50%が臨床試験以外の自由診療で行われています。
RFAは臨床試験中の治療法です。臨床試験では、RFAの適応となる直径2cmまでの早期乳がんで、皮膚と腫瘍の距離が1cm以上離れているなど条件を守って治療を行い、さらに、治療後はしっかりMRI検査でフォローすることで、問題は起きないかあるいは万が一起きたとしてもすみやかに対応できるといわれています。しかし、自由診療の場合には、治療や術後患者さんのフォローなどが不十分な場合もあり、再発する患者さんが増えている点が問題になっているのです。

RFAは乳房にメスを入れない治療の中では最も広く行われています。ラジオ波を使った治療は乳がんにのみ行われているのではなく、肝がんの内科的治療の中心となっており、2004年からは健康保険が適用されています。
ラジオ波はAMラジオと同じ周波数の電磁波。このラジオ波ががんに衝突するとジュール熱という摩擦熱が生じ、その熱でがん細胞を熱凝固、つまり死滅させてしまうのです。
早期乳がん治療では、超音波ガイド下(超音波で腫瘍の位置を確認しながら)でラジオ波を出す専用の電極針を乳輪からがん細胞へ刺します。
がん細胞の中心部は90度で熱凝固され、がんの端でも60度程度にはなります。60度以上になると、がんはごくごく短時間、数分もかからずに熱凝固してしまいますが、がんの焼き残しがないように、15分間加熱します。
RFAの長所は、針は乳輪から刺すので傷はほとんど残らないこと、また15分で治療は終了するので日帰りも可能で、術後の痛みも軽く、回復が早いことです。また、乳がん以外の病気を患っていても治療ができます。
一方、短所としては「長期間の治療実績がない」「効果の判定が難しい」「しこりが長期間残ることがある」ことなどが指摘されています。RFAはがん細胞と周辺細胞も焼くので、手術のような病理判定はできません。そのため、治療の範囲を正確に定め、的確に凝固を行っていないと焼き残しがでる可能性があるのです。また、細胞を熱凝固させるとしこりになりますが、このしこりは時間ともに消えていきます。

RFAは乳がん治療の常識を覆す治療になる可能性を十分に秘めているだけに、臨床試験結果によって治療法が確立されることが待たれています。
治療を行う場合は臨床試験として実施する施設を選び、医師と十分に話し合い納得した上で行うべきでしょう。
  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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