vol.97 胃がんでも行われている「腹腔鏡下センチネルリンパ節生検」

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Vol.97 胃がんでも行われている「腹腔鏡下センチネルリンパ節生検」 早期胃がんの治療では、開腹することなく腹部に4ヶ所の孔(あな)を開け、そこから内視鏡や手術器具を挿入する腹腔鏡手術が行われています。
その際、リンパ節へのがん転移があるかどうか調べるために、先進医療として行われているのが、『腹腔鏡下センチネルリンパ節生検』。センチネルリンパ節へのがん細胞の転移を調べてリンパ節切除の範囲を決めるのがセンチネルリンパ節生検で、開腹することなく腹腔鏡手術で行われます。行っているのは慶應義塾大学病院、東海大学病院、千葉大学病院など13施設。「胃がんでも」とタイトルにあるのは、実はセンチネルリンパ節生検は、乳がんや皮膚がんにおいては2010年4月から保険適用になり、一般的になっているからです。
センチネルリンパ節生検の「センチネル」とは「見張り番」の意味。がんがリンパ節に転移するとき、最初にセンチネルリンパ節に転移します。ということは、センチネルリンパ節を見つけ出して、そこにがんが到達していなければ、その先のリンパ節は切除する必要がないというわけです。かつては、取らなくても良いリンパ節も切除していたので、これによって体に負担の少ない治療を行うことができます。

生検は、青色の色素を注入する『色素注入法』と、ヨードの放射性同位元素であるアイソトープを使う『アイソトープ注入法』の併用で行われています。
色素注入法は、早期胃がんの周囲4~5カ所に青色色素液を注入します。色素を注入すると、がんから流れ出るリンパの流れを見ることができるようになり、胃の周辺の青く染まったセンチネルリンパ節を探し出すのです。
アイソトープ注入法は、同様にがんの周囲にアイソトープを注入します。ただし、アイソトープには色が付いていないので目での確認ができません。そこで、アイソトープに反応して音を発するガンマプローブを使用します。それによってセンチネルリンパ節を確認するのです。
センチネルリンパ節が確認できるとそれを切除し、すぐに病理検査をしてがん細胞の有無を調べます。がん細胞がなければ、その先のリンパ節の切除は必要なくなります。

センチネルリンパ節生検の良さは、まずは転移が確認された場合に切除しなければならないリンパ節の範囲を最小限に狭められることです。また、センチネルリンパ節生検を行っている間に、腹腔鏡でがんの位置や胃の切除範囲の確認をすることにより、リンパ節だけではなく胃自体の切除範囲を正しく把握し、治療を実施することができます。胃の3分の2の切除が必要だと思われていたのが、3分の1の切除だけで済むようなこともでてきます。

腹腔鏡下センチネルリンパ節生検は、正しい診断を行うことによって、より体にやさしい縮小手術への道を拓いてくれるのです。
  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
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