糖尿病改善
食材選びと調理方法のポイント
糖尿病食というと厳格な食事制限で悲惨なイメージを受けがちですが、グルマンの糖尿病の皆さん、そんなに悲観することはありません。まず自分の生活で実行できる血糖コントロールがよくなると思われることを書き出し、できそうなことをひとつでも続けてみましょう。結果は必ず、現れます。
Point1 糖尿病のタイプと食事
糖尿病には子どもの時に突然発症し、インスリンの注射による自己管理が必要な1型と長年の生活習慣から発症した2型があります。
Point2 血糖コントロールをうまくするポイント例

- エネルギーのとりすぎ、肥満を改めよう。
- 3食のエネルギー量や食事時間の偏りをなくそう。
- 糖質ご飯やめんやパン、お菓子だけでなく、魚や野菜も食べよう。
- アルコールは適量にしよう。
- 少量でも満足するために、よくかんで食べよう。
- 糖分入りの飲料よりも、お茶や麦茶、無糖コーヒーの香りや味わいを楽しもう。
- 肉ばかりでなく、大豆、魚や野菜も食べよう。
- こってり油料理だけでなく、あっさり料理のおいしさを味わおう。
- 夕食は早い時間に食べ、食べすぎない工夫を考えよう。
- 食べる量と動く量のバランスを振り返ろう。
Point3 進まぬうちの手当て
糖尿病は最初は痛くも痒くもありませんが、静かに着実に進行します。インスリン(血糖をコントロールするホルモン)の原料や血管や細胞を新しくつくるためには、制限だけでなく必要な物を食事で補給する意識をもちましょう。
インスリンをつくる原材料を補給する
肉の赤身、魚や大豆に含まれるたんぱく質や亜鉛などのミネラル、そして野菜に含まれるビタミンCが原料です。材料が足りない状況では、インスリンはできません。魚に含まれるEPAやDHAなどのオメガ3脂肪酸は血糖コントロールに欠かせません。健康的においしく満足いく主菜は魚料理がおすすめです。肉は脂身の少ない部位を選びましょう。
糖尿病のカロリー制限ポイント
まずは指示カロリーに準じますが、各人では体重の増減で見ていきます。やせていくようでしたら、もう少し食べてもいいでしょうし、太っている人は、1ヵ月で1~2kgの減量が理想です。それ以上早く体重が落ちるのは、糖尿病が進行し、筋肉へ糖のとり込みができず、筋肉がエネルギーとして使われていることを意味します。大切なのは筋肉を残し、脂肪を減らすことです。ゆっくりでも1年で12kgの減量になります。
※標準体重は、身長(m)×身長(m)×22で計算します。
3食のバランス
血糖コントロールで大切なことは、朝・昼・夕食のエネルギー補給の均等配分です。また、1日24時間を3で割ると8時間ですが、朝食~昼食と、昼食~夕食の間の時間を5~6時間にできる場合には各食事を同じくらいのボリュームで食べます。時間の間隔が短い場合は無理に均等にする必要はありません。
糖質を適量にし、吸収をゆっくりにする
ご飯(茶碗1~1.5杯)、パン(食パン六枚切り1.5枚程度)、めん(250g)の量をとりすぎないことが大切です。
ゆっくり吸収するには精製度の低い玄米や七分づき米、全粒粉やライ麦パンをおすすめします。めんなら、そうめんやうどんよりもそばがおすすめです。穀物以外に野菜やきのこや海藻、こんにゃくなどの食物繊維の多く含まれる食材をよくかんで食べると、糖質の急速な吸収は遅延されます。毎食に穀物よりも野菜をたっぷりとる意識をもちましょう。
生き生きしなやかな柔軟性のある血管を生むために
- 合併症予防のために塩分制限がありますが、大豆、野菜、きのこ、海藻などをおいしく食べるために、料理は適塩で楽しみましょう。
- アルコールも適量でしたらかまいません。アルコールは適量(240kcalはビール大瓶1本、ワイン2杯、日本酒1合程度)が肝心です。できれば週休2日制で楽しみましょう。
- 植物性栄養成分(フィトケミカル)を十分に体に補給
野菜やきのこや海藻、大豆製品やごまなどの種実類には血糖のコントロールに欠かせない食物繊維と血管や細胞の老化防止の働きをするポリフェノールが含まれます。いろいろな植物性食品を少量ずつとることが理想です。緑茶や紅茶、コーヒーなども食間においしくいただきましょう。