心拍数の平均と正常範囲を知る|基準値・測定方法・異常のサインを解説

不整脈・心房細動 予防・対策・生活改善

心房細動とは|定義と症状の基礎知識

心拍数の平均や正常範囲、年齢や状態による変動、測定方法、異常から考えられる病気までを解説します。

vol. 心拍数の平均と正常範囲を知る|基準値・測定方法・異常のサインを解説

心拍数とは|正常な拍動と異常のサイン

心拍数とは

心拍数とは、1分間に心臓が拍動する回数のことを指します。私たちの体は、心臓が拍動することで血液を全身に送り出し、酸素や栄養を細胞に届けています。この拍動のリズムや回数は、体の状態を映す重要な指標の一つであり、心拍数は健康状態を示す「バロメーター」とも言われます。cc たとえば、心拍数が安定しているときは心臓や自律神経系が正常に働いている証拠であり、逆に心拍数が異常に高い・低い状態が続く場合には、体のどこかに不調があるサインかもしれません。 また、呼吸や血流とも密接な関係があります。呼吸が浅く早いと心拍数も上がる傾向があり、血圧や循環機能と連動することで、全身のバランスを保っているのです。

心拍数が異常なときに現れる主な症状

心拍数が極端に高くなる状態を頻脈(ひんみゃく)、逆に低すぎる状態を徐脈(じょみゃく)と呼びます。
頻脈の主な症状としては、

  • 動悸(どうき)を感じる
  • 息切れ
  • めまいやふらつき
  • 胸部不快感
などが挙げられます。とくに突然始まって長く続く場合は注意が必要です。
一方、徐脈になると、
  • 全身の倦怠感
  • 立ちくらみや頭がぼーっとする感じ
  • 失神
といった症状が見られることがあります。徐脈は無症状で経過することもありますが、心拍数が50回未満の状態が継続する場合は専門医への相談が望ましいです。

状態・年齢別の心拍数の目安

安静時・運動時・睡眠時の心拍数の違い

安静時の心拍数は、健康な成人で一般的に60〜100回/分が正常範囲とされています。個人差はありますが、これよりも高すぎたり低すぎたりする場合は体調や疾患のチェックが必要です。 運動中は筋肉に多くの酸素を届けるために心拍が上がります。目安として「最大心拍数=220-年齢」という計算式がよく使われます。たとえば30歳の人であれば最大心拍数は約190回/分。このうち60〜80%の心拍ゾーンが有酸素運動に適していると言われます。
睡眠中はリラックス状態になるため、副交感神経が優位に働き、心拍数は50回/分前後まで下がることもあります。深い眠りの質を示す一つの指標にもなっています。 定期的な運動習慣がある人やアスリートは、安静時の心拍数が50回前後というケースもあり、これは心肺機能が高い証拠ともいえます。

心拍数が変化する理由

生活習慣や環境による一時的な変動

日常生活の中でも、心拍数はさまざまな要因によって変化します。運動中や緊張時は交感神経が優位になり、心拍数は上昇します。発熱により体温が1℃上がるごとに心拍数も10回程度増えることがあります。リラックス時や睡眠中は副交感神経が働いて、心拍数は自然に低下します。また、カフェインやアルコールの摂取、ストレスによっても心拍数は一時的に上がる傾向があります。これらは必ずしも病的なものではありませんが、頻繁に異常な変動がある場合は注意が必要です。

疾患が関与する異常心拍の原因

継続的に心拍数の異常が見られる場合、病気が関係している可能性があります。 代表的な疾患としては、

  • 不整脈(心房細動、上室性頻拍など)
  • 甲状腺機能異常(亢進症や低下症)
  • 心不全
  •    
  • 脱水症状や電解質異常
などが挙げられます。とくに高齢者では複数の要因が重なることも多く、慢性的な心拍数異常には継続的なモニタリングが推奨されます。

心拍数を正確に知る方法(セルフチェック含む)

手首や首で測る手動チェックのやり方

自宅で簡単にできる方法として、手首(橈骨動脈)や首(頸動脈)での脈拍を手で確認する方法があります。
以下の手順で行います。

  • 人差し指と中指で脈が触れる場所を軽く押さえる
  • 15秒間の拍動数を数えて4倍する(=1分間の心拍数)(亢進症や低下症)
  • 可能であれば1分間正確に測定し、リズムの不規則さも確認
このとき、「打ち方がバラバラ」「飛ぶ感じがある」など、リズムの乱れがある場合は不整脈の可能性もあるため、医療機関での検査が推奨されます。

スマートウォッチや活動量計での測定方法

近年は、スマートウォッチや活動量計などのウェアラブルデバイスが普及し、心拍数の測定が手軽にできるようになっています。これらの機器は、光学式センサーで血流の変化を読み取り、ほぼリアルタイムで心拍数を表示します。日中の変動を記録したり、グラフで可視化することで、自身の心拍傾向を把握しやすくなります。また、異常値を検知した際にはアラート機能で通知するモデルもあり、早期発見・予防に役立ちます。

心拍数の異常が示す病気

頻脈の背景にある疾患とその特徴

心拍数が100回/分を超えて持続する場合は、病的な頻脈の可能性があります。代表的な疾患には、

  • 心房細動:脈が非常に不規則に速くなる
  • 上室性頻拍:突然心拍が速くなる発作性の不整脈
  • 甲状腺機能亢進症:基礎代謝の亢進により頻脈傾向
  •   
  • 発熱:感染症に伴う一過性の頻脈
が挙げられます。いずれも動悸や息苦しさを伴うことが多く、症状が強い場合や持続する場合は医療機関での受診が必要です。

徐脈が関連する疾患とリスク

一方、心拍数が50回/分未満で症状がある場合は徐脈が疑われます。関連する疾患には、

  • 洞不全症候群:心臓のリズムを生み出す機能が低下
  • 房室ブロック:心房から心室への電気信号の伝達異常
  • 甲状腺機能低下症:代謝の低下により心拍数が低下
  • アスリート心臓:トレーニングによる生理的徐脈(症状がなければ問題なし)
があります。

徐脈の場合、日常生活に支障があるかどうかが判断の分かれ目です。息切れやめまい、失神などの症状を伴う場合は、ペースメーカーなどの治療が検討されるケースもあります。心拍数は、体の状態を如実に表す大切な指標です。日々の測定を通じて変化に気づくことが、病気の早期発見や予防につながります。日常の中で「なんとなくおかしいな」と感じたら、心拍数をチェックする習慣を持ってみましょう。必要であれば、早めに専門医の診断を受けることも大切です。

記事監修

三菱京都病院顧問 循環器専門医 医学博士 桝田 出
【経歴】
1980年 東京慈恵会医科大学卒業
慈恵医大第3内科、国立循環器病センター、京都大学第2内科などを経て現職。


  

動悸・息切れ・めまい・胸苦しさなどの症状や、心電計や血圧計で気になる結果が出た際、早めに専門の医師に相談されることが重要です。
以下の画像リンクから、心臓の症状について相談できる医療機関を検索することができますので、ぜひご活用ください。

  
    

このコラムは、掲載日現在の内容となります。掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

おすすめの血圧計

オムロンの血圧計

血圧が気になったら家庭で血圧測定
家庭で簡単に正確に測定するための機能が充実

関連コラム

商品を見る