心拍数が高いのはなぜ?頻脈の原因・症状・検査方法を解説

不整脈・心房細動 予防・対策・生活改善

心拍数が高い

私たちの心臓は、日常的に休むことなく血液を全身に送り出しています。その拍動の回数、いわゆる「心拍数」は、体の状態を反映する大切な指標です。安静時でも心拍数が高くなると、「頻脈」と呼ばれ、健康に関する注意が必要な場合があります。まずは心拍数の目安を確認し、高い心拍数がどのような症状を伴うのか見ていきましょう。

vol. 心拍数が高いのはなぜ?頻脈の原因・症状・検査方法を解説

心拍数が高い

心拍数の目安

安静にしているときの正常な心拍数は一般的に60〜100回/分とされています。これは、横になって休んでいる状態やリラックスしているときの心拍数を指します。これが100回/分を超える場合、「頻脈(ひんみゃく)」と診断されることがあり、医学的な評価が必要になることもあります。ただし、心拍数には年齢や体調、運動習慣によって個人差があるため、単に数値だけで判断するのではなく、自分の平常時との比較が重要です。
たとえば、アスリートなど定期的に運動している人は安静時の心拍数が50回前後と低い傾向があり、逆に体調を崩しているときやストレスが強いときは一時的に高くなることも珍しくありません。

心拍数が高い時の症状

心拍数が通常より高い状態が続くと、以下のような症状が現れることがあります。

  • 動悸や胸のドキドキ感:心臓がいつもより速く打っている、胸がバクバクする感覚が強くなります。
  • 息切れや疲労感:心拍数が高いと、軽い運動でも息切れしやすくなったり、全身がだるく感じたりします。
  • めまい、ふらつき、頭が重い感覚:心拍のリズムが乱れると、脳への血流が一時的に不安定になるため、めまいや頭の重さを感じることがあります。
  • 冷や汗や不安感、意識が遠のくような感覚:重症の頻脈では、自律神経が過剰に働くことで冷や汗が出たり、急激な不安感を覚えたりすることもあります。
こうした症状が頻繁に出る、あるいは急に現れて長く続くような場合は、早めに医療機関での受診をおすすめします。

状態・年齢別の心拍数の目安

心拍数は常に一定というわけではなく、時間帯や活動の内容、年齢によっても変動します。次に、状態別・年齢別にどのような違いがあるかを解説します。

安静時・運動時・睡眠時の心拍数の違い

・安静時
健康な成人では、冒頭でも触れたように60~100回/分が正常とされます。リラックスした状態での心拍数を把握しておくことは、自分の健康のバロメーターにもなります。
・運動時
運動中は当然心拍数が上がります。一般的には「最大心拍数=220-年齢」とされ、これを基準に「脂肪燃焼ゾーン」や「有酸素運動ゾーン」などの心拍ゾーンが定められています。たとえば30歳の人であれば、最大心拍数は約190回。これを80%程度に維持する運動は有酸素能力向上に効果的とされています。
・睡眠時
睡眠中は副交感神経が優位になり、リラックス状態に入るため心拍数は50回/分前後に下がることもあります。アスリートでは40回台になることも珍しくありません。睡眠時の心拍変動は、スマートウォッチなどで測定することが可能です。

年齢別の平均心拍数と傾向

・小児(幼児~小学生)
一般的に、子どもは代謝が活発なため、心拍数も高くなります。たとえば新生児では120~160回/分、小児でも80〜120回/分ほどになることがあります。
・成人(20代~60代)
心拍数は徐々に安定し、健康な成人では60~80回/分の範囲に収まることが多いです。
・高齢者(70代以上)
加齢により自律神経の働きが弱くなると、心拍数がやや高くなったり、不整脈が起こりやすくなったりする傾向があります。また、心機能が落ちると、少しの動作でも心拍数が急上昇しやすくなります。
・トレーニング習慣のある人
定期的に運動をしている人では、安静時の心拍数が50回/分以下ということも珍しくありません。これは心臓のポンプ能力が高く、少ない拍動で十分な血液を送れる証拠です。

心拍数が高くなる原因

心拍数が高くなるのは、一時的な要因から病的な原因までさまざまです。次に、それぞれのケースを詳しく見ていきます。

一時的な生理的原因

以下のような場面では、一時的に心拍数が高くなるのは正常な反応です。
・運動後や緊張時
体を動かしたり、人前で話すなどのストレスがかかる場面では、交感神経が働いて心拍数が上昇します。
・ストレス・興奮などの精神的な要因
不安や怒り、感情の高ぶりも心拍数を上げる要因です。交感神経が活性化している状態では、体は「戦闘モード」になりやすいのです。
・発熱・脱水・暑さ
体温が高くなると体内の代謝が上がり、酸素や栄養の供給を促進するため心拍数が増えます。また脱水や大量の発汗により血液量が減ると、それを補おうと心拍数が上昇します。
・カフェイン・アルコール・タバコなどの刺激物
これらは交感神経を刺激し、一時的に心拍数が上がることがあります。特にカフェイン感受性の高い人は、コーヒー1杯でも動悸を感じることがあります。

病的な原因が隠れている場合

以下のような疾患や異常が隠れている場合もあります。症状が長引いたり、強く感じる場合は、早期の医療機関受診が重要です。
・不整脈(心房細動、心室頻拍など)
心臓の電気信号の乱れにより、リズムが不規則になったり、急激に心拍数が上昇したりします。突然の動悸や息苦しさが特徴です。
・甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)
代謝が過剰になり、心臓にも負担がかかって心拍数が上がります。体重減少や発汗過多、手の震えなどを伴うことがあります。
・貧血や発熱、感染症
酸素供給能力が下がった体では、より多くの血液を送ろうとして心拍数が増加します。特に高熱時や慢性疾患時には頻脈が見られることがあります。
・自律神経の乱れ、精神的緊張
ストレス社会の現代では、交感神経優位な状態が続く人も多く、心拍数の上昇を慢性的に感じることがあります。睡眠障害や倦怠感もセットで現れることがよくあります。

心拍数の異常が続くときの医療対応

症状が継続する場合や不安がある場合は、医療機関での検査が有効です。

医療機関で行われる検査の例

心電図検査
もっとも基本的な検査で、心拍のリズムや頻度、不整脈の有無などを確認します。
・ホルター心電図(24時間モニター)
携帯型の装置を装着して日常生活を過ごすことで、症状が現れるタイミングの心拍データを記録できます。
・心エコー(超音波検査)
心臓の構造や機能を調べることで、心臓弁膜症や心不全の兆候などを確認できます。
・血液検査
甲状腺ホルモンの異常、貧血の有無、感染症の指標などを調べ、心拍数の上昇と関連する病因を特定します。

セルフチェックでできること

安静時の脈拍を測る
手首や首の動脈で、1分間に何回脈が打っているかを計測します。スマートウォッチなども便利です。
・心拍の変化を記録する
起床時、運動後、ストレスがかかったときなど、それぞれの状況で心拍がどう変化するかをメモしておくと、医師の診断にも役立ちます。
・体調とセットで記録する
「疲労感」「めまい」「不安感」など心身の変化と心拍数の上昇がリンクしていないかも観察ポイントです。
心拍数の変化は、体からの大切なサインです。日々のセルフケアと適切な医療の活用で、健康的な心臓と安心できる日常を守りましょう。気になる症状がある場合は、無理をせず早めに医師へ相談しましょう。

記事監修

三菱京都病院顧問 循環器専門医 医学博士 桝田 出
【経歴】
1980年 東京慈恵会医科大学卒業
慈恵医大第3内科、国立循環器病センター、京都大学第2内科などを経て現職。


  

動悸・息切れ・めまい・胸苦しさなどの症状や、心電計や血圧計で気になる結果が出た際、早めに専門の医師に相談されることが重要です。
以下の画像リンクから、心臓の症状について相談できる医療機関を検索することができますので、ぜひご活用ください。

  
    

このコラムは、掲載日現在の内容となります。掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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