心拍数が高いときの対処法と予防|受診の目安と治療法も解説

不整脈・心房細動 予防・対策・生活改善

心拍数が高いとは

心拍数とは、1分間あたりに心臓が拍動する回数を指します。健康な成人の場合、安静時の正常な心拍数は60〜100回/分とされています。運動時や強い感情を抱いたときには一時的に心拍数が上がるのは自然な生理反応ですが、安静にしていても100回/分を超える場合は「頻脈(ひんみゃく)」と呼ばれます。心拍数には個人差があり、年齢、体調、ストレスの状態、運動習慣などによって異なります。たとえば、アスリートなど日頃から運動習慣がある人は、心拍数が50回/分以下でも正常とされることがあります。一方で、高齢者や基礎疾患のある方は、少しの刺激で心拍数が上がりやすい傾向があります。

vol. 心拍数が高いときの対処法と予防|受診の目安と治療法も解説

心拍数が高いと感じたときの対応方法

突然心拍数が上がると、不安になったりパニックに陥ったりすることがあります。まずは落ち着いて状況を把握し、適切に対処することが大切です。

すぐにできる落ち着ける対処法

1.安静な姿勢をとる
心拍数が高くなったと感じたら、まずは安全な場所で座るか横になり、体を落ち着かせましょう。姿勢を整えるだけでも、交感神経の過剰な興奮を鎮める効果があります。
2.深呼吸をする
深くゆっくりと呼吸することで、副交感神経が優位になり、心拍数を自然と下げることが期待されます。鼻から息を吸い、口からゆっくり吐き出すリズムを意識しましょう。
3.スマホや作業から離れる
スマートフォンやパソコンなどの画面を見続けていると、交感神経が刺激され、心拍数が上がる要因になります。しばらくデジタル機器から離れ、目を閉じて休む、音楽を聴くなど、心を落ち着かせる時間を作ることも有効です。

生活習慣を見直すことによる対処

1. カフェイン・アルコール・タバコを控える
カフェインやアルコール、ニコチンには中枢神経を刺激する作用があり、心拍数を上昇させる原因になります。特に夕方以降の摂取は控え、日常的に減らすことを心がけましょう。
2. 睡眠不足の解消と適度な運動
十分な睡眠が取れていないと、自律神経が乱れやすくなり、心拍のコントロールが難しくなります。また、適度な有酸素運動(ウォーキングや軽いジョギング)は心臓の負担を減らし、心拍数の安定にもつながります。
3. 食生活の見直しと水分補給
バランスの取れた食事を心がけ、特にマグネシウムやカリウムなど心臓の働きに関わるミネラルを意識して摂取しましょう。また、水分不足は血液の粘度を高め、心臓への負担を増やします。こまめな水分補給も忘れずに。

心拍数の上昇を防ぐためにできること

自律神経を安定させる生活習慣

1. 規則正しい食事・睡眠のリズムを維持する
毎日同じ時間に食事をとり、就寝・起床することで自律神経の働きが整い、心拍の安定につながります。特に寝る前のスマホ使用は避け、就寝前のルーティンを作ることが効果的です。
2. 起床後に日光浴やストレッチを行う
朝の光を浴びることは体内時計のリセットにつながり、交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズになります。軽いストレッチを取り入れることで、心身ともに目覚めが良くなり、心拍数も整いやすくなります。
3. リラックスできる時間を持つ
仕事や家事に追われる中でも、意識的にリラックス時間を取り入れましょう。湯船に浸かる、自然に触れる、趣味の時間を持つといった行動が、ストレス軽減と自律神経の安定に役立ちます。

心臓への負担を減らす習慣の工夫

1. 有酸素運動を日常に取り入れる
ジョギングやサイクリング、ウォーキングなどの軽度な運動は、心臓の筋肉を鍛えるだけでなく、心拍数の上昇を予防する効果があります。週に3回以上、30分程度を目安に継続しましょう。
2. 適正体重を維持する(肥満の管理)
肥満は高血圧や高コレステロールのリスクを高め、心臓に余計な負荷をかけます。体重管理は心拍数の正常化だけでなく、全身の健康にも直結します。
3. 高血圧や高コレステロールの予防・管理
これらの生活習慣病は、頻脈や心房細動といった不整脈の原因になりやすいため、早めの予防と定期的な健康診断が重要です。

医療機関の受信が必要な症状

心拍数が一時的に上がるのは自然なことですが、以下のような症状がある場合は、医療機関の受診が必要です。
安静にしていても心拍数が100回/分以上が続く
胸の痛み、息切れ、めまい、失神などがある
心拍数の変化が日常生活に影響を及ぼしている
こうした症状は、心臓疾患や内分泌異常、パニック障害などの疾患が隠れている可能性があります。早めに専門医に相談し、必要に応じて心電図や血液検査などの精密検査を受けることが大切です。

心拍数が高い場合の医療対応

薬物療法

心電図検査
医師による診断に基づき、症状や原因に応じた薬物療法が行われます。

  • β遮断薬:心拍数を抑える作用があり、高血圧や不整脈に用いられます。
  • 抗不整脈薬:心筋の興奮を抑えることで心拍を安定させます。
  • 原因疾患に対する治療薬:甲状腺機能亢進症などがある場合、その治療を優先します。

生活習慣・補助療法の併用

薬物療法とあわせて、以下のような非薬物的なアプローチも取り入れられます。

  • 生活指導:運動、睡眠、食事に関する具体的な改善指導が行われ、再発予防に役立ちます。
  • 心療内科的サポート:心拍数の上昇がストレスや不安と関係している場合は、心理的なケアも有効です。
  • 定期モニタリング:再発や悪化の兆候を早期に把握するために、定期的な診察と検査を継続します。

心拍数が高くなることには、さまざまな要因が関わっています。まずは日々の生活習慣を見直し、自律神経の安定を意識した過ごし方を心がけましょう。心拍の変化に不安を感じたら、早めの受診が大切です。体と心の両面から、健やかな毎日をサポートしていきましょう。

記事監修

三菱京都病院顧問 循環器専門医 医学博士 桝田 出
【経歴】
1980年 東京慈恵会医科大学卒業
慈恵医大第3内科、国立循環器病センター、京都大学第2内科などを経て現職。


  

動悸・息切れ・めまい・胸苦しさなどの症状や、心電計や血圧計で気になる結果が出た際、早めに専門の医師に相談されることが重要です。
以下の画像リンクから、心臓の症状について相談できる医療機関を検索することができますので、ぜひご活用ください。

  
    

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