3カ月前に、狭心症治療のためカテーテル治療を受けました。心臓の血管に再狭窄がおこるのではないかと心配ですが、治療後の再検査はいつごろ受けたらよいでしょうか?
不整脈・心房細動
治療・リハビリ
- 3カ月前に、狭心症治療のためカテーテル治療を受けました。心臓の血管に再狭窄がおこるのではないかと心配ですが、治療後の再検査はいつごろ受けたらよいでしょうか?
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最新のカテーテル治療では再狭窄をおこす割合はとても低くなりましたが、治療の約8カ月後に検査を受けることをお勧めします。狭心症は、動脈硬化により冠動脈の一部が狭くなり(狭窄)、心筋に十分な血液が送られなくなることで心筋の働きが一時的に低下し、胸の痛みなどがでる病気です。治療には、生活習慣の改善に加えて、「薬物治療」「カテーテル治療」「バイパス手術」があり、冠動脈の狭窄の程度や狭窄している部位によって治療法が選択されます。
このうち、「カテーテル治療」とは、狭窄の程度が軽い場合や狭窄した部位が冠動脈の先のほうにある場合に行われる治療です。カテーテル(細くやわらかいチューブ)を使って、ステントという金属製の網状の筒を冠動脈の狭くなった部分に留置して血管を広げます。
ステントによる治療の問題点は、治療後にステントを覆うように細胞が増殖して再狭窄をおこす可能性があることで、治療を受けた患者さんの20~30%に再狭窄がおこるとされています。そのため、治療の約6カ月後に冠動脈造影検査を受け、再狭窄がおきていないかを調べます。最近では、細胞の増殖を防ぐ働きのある薬を表面に塗ったステント(薬剤溶出ステント)が多く使われるようになり、再狭窄をおこす割合はとても低くなりましたが、治療の約8カ月後に検査を受けることが一般的です。薬剤溶出ステントの場合、その検査で異常がみられなければ、次に症状がでたり、心電図に変化がおきたりするまでは再検査の必要はないでしょう。
先生のプロフィール
島本 和明 先生
日本医療大学総長
- 略歴
- 昭和46年 札幌医科大学卒業
昭和47年 札幌医科大学第二内科入局
昭和48年 東京大学医学部第三内科研究生
昭和53年 米国サウスカロライナ医科大学 留学
昭和55年 札幌医科大学第二内科講師
昭和59年 札幌医科大学第二内科助教授
平成8年 札幌医科大学第二内科教授
平成16年 札幌医科大学附属病院長
平成22年 札幌医科大学理事長・学長
平成28年 日本医療大学総長 - ご専門
- 内科学全般、循環器、高血圧、腎臓、内分泌、糖尿病
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