ニュースリリース

【高血圧の男女1,000名に調査】
夏だからこそ気を付けたい!高血圧対策。「マスク着用による熱中症や脱水症」と「塩分摂取の調整」に不安を抱く。

~塩分調整の指標「ナトカリ比」の認知度は7%に留まる。~
調査

オムロン ヘルスケア株式会社(本社所在地:京都府向日市、代表取締役社長:荻野 勲、以下当社)は、40代~70代の高血圧患者の男女1,080人を対象に、血圧管理に関する意識調査を実施しました。

調査の結果、高血圧対策として普段取り組んでいることは「医師の指示通り服薬する」が最も多く、「禁煙や喫煙を控える」「水分を多くとる」が続いて多い結果となりました。また、季節による血圧管理の意識変化について質問したところ、意識に変化が無い人が最も多い一方で、「意識に変化がある」と答えた人は「冬」に最も血圧を意識することがわかりました。更に、今年の夏、高血圧対策を行ううえで不安なことや悩んでいることを質問したところ「マスク着用で、例年以上に熱中症や脱水症がこわい」が40%となり、継続するマスク生活による夏の高血圧対策に不安を抱いていることがわかりました。

高血圧の薬には利尿作用がある場合が多く、夏は特に、発汗等により水分不足になりやすいと言われています。また、高血圧患者は塩分摂取量を調整していることが多いため、発汗による塩分の体外排出により体内のミネラルバランスが崩れ、熱中症に至ることも多いと言われています。

高血圧の主な要因のひとつとして、塩分の過剰摂取があげられます。日本高血圧学会やWHO(世界保健機関)では、1日の塩分摂取量(5.0~6.0g未満/日)を推奨しています。塩分摂取量を調整する方法として、「ナトカリ比」という考え方があります。「ナトカリ比」とは、ナトリウム(塩分)の摂取量を減らしながら、塩分の排出を促すカリウムの摂取量を増やすことで塩分摂取量を調整するという考え方です。しかし、今回の調査では、「ナトカリ比」を知っていると答えた人はわずか7%でした。

当社では、ナトカリ比を計測する機器「オムロン ナトカリ計(研究用機器)HEU-001F Na+K+scan」を学術研究用に発売。日本高血圧学会が実施する臨床研究にも採用されています。このような新たな機器やサービスの開発に加え、減塩レシピをホームページで紹介するなどの啓発活動も推進することで、当高血圧患者の血圧値適正コントロールを支援。当社の循環器疾患事業ビジョン『脳・心血管疾患の発症ゼロ(ゼロイベント)』の実現に取り組んでいます。

調査結果のまとめ

  1. 高血圧対策として普段取り組んでいることは「医師の指示通り服薬する」が最も多く、禁煙や水分を多くとる人が6割以上。適度な運動やカリウムの摂取量を意識している人は半数以下に。
  2. 血圧管理の意識は冬に最も高まるが、夏と冬での対策に変化がない人が84%。
  3. 今年の夏に高血圧対策を行ううえで不安なことや悩んでいることは「マスク着用で、例年以上に熱中症や脱水症がこわい」
  4. 夏の塩分管理は「適量に調整している」人が37%。「気にしているが調整できていない」が約3割。
  5. 「ナトカリ比」を知っている人はわずか7%。73%が「ナトカリ比」を聞いたことがない。

調査結果の詳細

1. 高血圧対策として取り組んでいることは「医師の指示通り服薬する」が最も多く、禁煙や水分を多くとる人が6割以上。適度な運動やカリウムの摂取量を意識している人は半数以下に。

高血圧の対策として、下記をご存じですか。実施しているかも併せて教えてください。(n=1,080)

高血圧対策として知っている事および実践の有無について質問したところ、「医師の指示通り服薬する」をと回答した人が96.9%と、最も多い結果となりました。次に、「禁煙するもしくは喫煙を控える」と答えた人は77%、続いて「水分を多くとる」が68.7%となりました。一方で、「適度な運動を取り入れる」人は46.2%となり、対策として知っているが実施できていない人が約半数いることがわかりました。さらに、体内の塩分排出を促すカリウム摂取に関しては「カリウムの摂取量を意識した食事を摂る」と回答した人はわずか25%に留まりました。

2. 血圧管理の意識が最も高まる季節は「冬」。

季節によって血圧管理に対する意識が変化するか質問したところ、「変化はない」と回答した人が57.3%、次いで40.1%が「冬に最も意識する」と回答しました。さらに、夏と冬で高血圧対策の内容を変えているかを質問したところ、84%の人が「変えていない」と回答しました。

 季節によって血圧管理に対する意識は変わりますか?(n=1,080)

夏と冬で、高血圧対策の内容を変えていますか?(n=1,080)

3. 今年の夏、高血圧対策を行ううえで不安なことや悩んでいることは「マスク着用で、例年以上に熱中症や脱水症がこわい」

今年の夏に高血圧対策を行ううえで、不安なことや悩んでいることを質問したところ、「特に悩みや不安はない」が43.5%となりましたが、一方で「マスク着用で、例年以上に熱中症や脱水症がこわい」が40%にのぼり、継続するマスク生活による夏の健康管理に不安があることがわかりました。また、夏は熱中症対策などで塩分摂取の機会が増えるため、全体の15.7%の人が「どの程度塩分を摂取していいのかがわからない」と回答。夏の塩分摂取に悩んでいることもわかりました。

今年の夏に高血圧対策を行ううえで、不安なことや悩んでいることをすべて教えてください。(n=1,080)※複数回答

4. 夏の塩分管理は、およそ3人に1人が「気にしているが調整できていない」と回答。

夏の塩分管理について調査したところ、36.9%が「塩分摂取は適量に調整している」と回答しました。29.3%は「塩分摂取量を気にしているが、調整できていない」と回答しました。

夏の塩分管理について教えてください。(n=1080)

5. 「ナトカリ比」を知っている人は、わずか7%に留まる。

摂取した塩分(ナトリウム)とカリウムの比率を示す「ナトカリ比」について質問したところ、聞いたことがない人が73.3%、聞いたことがあるが内容を理解していない人が19.5%にのぼり、聞いたことがあり理解している人はわずか7.1%となりました。高血圧対策の一つとして重要なカリウム摂取に関する認知が十分とは言えないことがわかりました。

ナトカリ比についてご存知ですか?(n=1,080)

滋賀医科大学 NCD疫学研究センター センター長・教授 三浦克之先生のコメント

【経歴】

1988年3月 金沢大学医学部卒業
2009年12月 滋賀医科大学医学部 教授(社会医学講座公衆衛生学部門)
2013年4月 滋賀医科大学アジア疫学研究センター センター長(併任)
2021年4月 滋賀医科大学NCD疫学研究センター センター長
滋賀医科大学NCD疫学研究センター 予防医学部門 教授

血圧変動は外気温による影響が大きく、冬場は多くの方の意識が高まりますが、そもそも血圧管理の目的は脳卒中や心臓病などの発症予防のためであり、夏にこれらの疾患の発症率が低くなるわけではありません。夏だからと言って、気を緩めていいとは言えません。

夏は、気温と湿度が高くなることから、高血圧対策とともに熱中症対策が大切です。特に昨今のコロナ禍でのマスク生活の場合、これまで以上の対策が必要です。熱中症対策として塩分摂取の必要性が巷では叫ばれていますが、我々日本人の食生活では一般的な生活をしている方(屋外での激しい運動や重労働をして大量の汗をかく方を除く)が塩分不足になることはほとんどありません。調査結果を見ると熱中症対策を意識しすぎて、塩分摂取を増やすという方がいるようですが、本当に必要なのは適切な水分補給です。また、夏は血圧がやや下がりますが、自己判断で降圧剤を減らしたりせず、必ず主治医に相談してください。

私が代表を務める厚生労働省の研究班では、コロナ禍での自粛生活により、自宅で調理する人の割合が男女ともに増加し、また、野菜を摂る機会が増えていました。

  • 自宅で料理したものを食べる頻度(男性)
  • 自宅で料理したものを食べる頻度(女性)
  • 野菜を食べる頻度や量(男性)
  • 野菜を食べる頻度や量(女性)
  • 国民健康・栄養調査対象者の疫学研究NIPPON DATA2010の追跡調査より

野菜や果物にはカリウムが豊富に含まれています。カリウムには体内の塩分の尿への排出を促す作用があるため、血圧をコントロールするうえでは非常に重要な存在です。塩分(ナトリウム)の摂取を減らし、カリウムの摂取を増やして、その比である「ナトカリ比」を減らすことが血圧低下のために重要です。日本の高血圧患者のなかで、血圧を適切にコントロールができていない人は全体の約半数いると言われています。長引く自粛生活で変化する生活様式に戸惑う事も多い一方で、普段の食生活に、高血圧対策として「ナトカリ比」の考えを取り入れる機会とするのも良いのではないでしょうか。

調査の概要

調査目的 : 血圧管理に関する意識調査
調査対象 : 全国の高血圧患者 40代~70代の男女1,080人
男性40-49歳135人/50-59歳136人/60-69歳138人/70-79歳136人
女性40-49歳133人/50-59歳135人/60-69歳133人/70-79歳134人
調査エリア: 全国
調査方法 : インターネット調査
調査期間 : 2021年6月18日(金)~2021年6月22日(火)

オムロン ナトカリ計(研究用)HEU-001F Na+K+scan

数回の測定で、24時間蓄尿Na/K比と同等の評価を個人別に実施でき、本体に保存されたデータはUSB通信トレイからパソコンを介してデータサーバに送信。専用の分析画面でグラフ化およびPDF・CSVファイルとして出力可能。