2021.08.19

インドにて、トライコグヘルス社・サクラワールドホスピタルと「AI解析技術を用いた高血圧・心電図 遠隔診療サービス」共同試験を開始 ~心疾患患者の術後管理の適正化と再発防止を目指す~

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オムロン ヘルスケア株式会社(本社:京都府向日市、代表取締役社長:荻野 勲、以下、当社)は、心疾患患者の術後管理の適正化と再発防止を目指し、AI(人工知能)による心疾患バーチャル診断サービスを提供するトライコグヘルス社(Tricog Health、本社:シンガポール、CEO:Charit Bhograj 、以下、トライコグ)と、脳・心臓系、消化器系疾患の高度急性期医療に対応する総合病院サクラワールドホスピタル(SAKRA WORLD HOSPITAL、所在地:インド ベンガル―ル)と共同で、心疾患手術およびアブレーション治療(カテーテルを用いた不整脈治療)を受けた患者を対象とした遠隔診療サービスの共同試験(以下、当試験)を開始します。当試験では、心疾患患者の術後管理における血圧・心電図データの遠隔モニタリングの有用性と、遠隔診療サービス実現に必要な要件を明らかにします。そして、患者の状態や特性に適した術後管理の方法や、再発防止につながる医療体制の構築を目指します。

世界心臓連合(World Heart Federation)によると、世界の脳・心血管疾患による死亡者数は、推定1,850万人/年といわれており*1、そのうち4分の3以上が低所得国と中所得国(インド含む)で発生しています。インドにおける心疾患患者数は年々増加しており、2020年には290万人に達しています。その数は、今後さらに増加すると見込まれています。また、心房細動に関する調査では、27%の患者がアブレーション治療後に心房細動を再発しています*2。このことから、脳・心血管疾患は治療期間中に加え、治療後のケアも重要な疾患だと言えます。

今回の共同試験では、2つの事に取り組みます。まず、家庭で記録した心電図をモニタリングするための遠隔診療サービスの構造を検証します。さらに、AIを活用することで、術後患者へのタイムリーな介入が可能かどうかを確認します。対象者は、サクラワールドホスピタルで心疾患の外科手術もしくはアブレーション治療を受けた患者となります。患者は、当社の心電計付き上腕式血圧計“Complete”を使用して、家庭で血圧測定と心電図記録を行います。取得したデータは、トライコグのプラットフォームに転送され、トライコグのAI技術解析により患者の状態を詳しく分析します。サクラワールドホスピタルの医師や医療従事者は、その分析データを用いて、患者の状態変化に応じた早期介入や、術後管理の適正化を行っていきます。

オムロン ヘルスケアは、「脳・心血管疾患の発症ゼロ」の実現を目指し、2015年に循環器疾患事業ビジョンに「ゼロイベント」を掲げました。その一環として、ウェアラブル血圧計など新たな製品開発を積極的に進めており、2019年には米国で心電計付き上腕式血圧計“Complete”の発売を開始しました。脳卒中を引き起こすと言われる心房細動は自覚症状が少なく、すぐに症状が治まるため見過ごしやすいのが課題です。また、心房細動患者の50~60%は高血圧だと言われています。家庭で、毎日の血圧測定と共に心電図を記録することで、リスクの早期発見、治療への介入につながると考えています。また、米国、英国、シンガポールでは、遠隔診療サービスの展開を開始。家庭で測定した血圧などのバイタルデータを医師や医療従事者と共有し、患者の状態を詳しく把握することで、タイムリーかつ適切な治療を行える環境づくりを進めています。

「ゼロイベント」を実現するためには、心疾患患者の術後の再発防止は重要なテーマです。有力なパートナーシップと、貴重な医療現場および患者の声を積極的に取り入れることで、一人でも多くの方の健康で健やかな生活に貢献していきます。

試験概要

  • 実施期間:2021年8月17日(火)から約6か月間
  • 対象人数:50名
  • 対象条件:サクラワールドホスピタルで心疾患に関する外科手術もしくはアブレーション治療を受けた患者
  • 実施内容

    心電計付き上腕式血圧計“Complete”を配布し、退院後、毎日家庭で血圧測定と心電図記録を行う。測定したバイタルデータはトライコグのプラットフォームに転送される。サクラワールドホスピタル医療チームは、トライコグのプラットフォームとAI技術を用いて遠隔で患者の健康状態をチェックし、状態に変化があれば介入する。患者は家に居ながらにして、24時間、サクラワールドホスピタルの医療従事者と連絡可能になる。

トライコグヘルス社 CEO 医学博士 Charit Bhograj氏のコメント

トライコグヘルス社 CEO 医学博士 Charit Bhograj氏

トライコグヘルス社 CEO 医学博士 Charit Bhograj氏私たちのビジョンは、最高水準の医療へのアクセスを可能にすること、つまり、三次医療病院でのみ提供される、緊急性が高く、命に関わる重篤な患者を対象にした最高水準の医療を、もっとも必要としているときに受けられ、それが家庭でも可能になるということです。今後、革新的な技術と高度なAIアルゴリズムの助けを借りて、重篤な疾患が発症する前に医師が問題を発見できれば、より多くの人を救うことができます。当社の目指すゴールが、「脳・心血管疾患の発症ゼロ」を目指すオムロン ヘルスケアの「ゼロイベント」と完璧に一致していることを確認できて、うれしく思います。この共同試験が、インドの遠隔心疾患管理における重要な取り組みになることを期待しています。

サクラワールドホスピタル Sreekanth医師のコメント

サクラワールドホスピタル Sreekanth医師

サクラワールドホスピタル Sreekanth医師高血圧患者は長期にわたって心不整脈や脳卒中発症のリスクを心配しなければなりません。院外で間欠的に起こるイベントを検出できれば、早期に適切な治療につなげることができます。心電図モニタリングの必要性は、患者の退院後も続きます。この共同試験によって、機器の使用とデータ分析が退院後の心血管疾患患者の管理の効果的な改善につながることが明らかになるでしょう。

オムロン ヘルスケア インディア Managing Director 松原正典コメント

オムロンヘルスケアインディア Managing Director 松原正典

オムロンヘルスケアインディア Managing Director 松原正典インドにおける遠隔患者モニタリングの重要性は高まっています。オムロン ヘルスケアは、個人の健康管理分野におけるAIを使ったさまざまな医療サービスとの連携のもと更なる挑戦に取り組みます。この共同試験により、当社が医療機関に対して提供できる価値を、より強化していきます。今回の強力なパートナーシップを通じて、よい試験結果が出るものと確信しています。当社のバイタルデータセンシング技術をトライコグヘルス社のAI技術、さらにサクラワールドホスピタルの医師のサポートと組み合わせることで、「脳・心血管疾患の発症ゼロ」を目指す当社のビジョン「ゼロイベント」の実現を加速していきます。

トライコグヘルス(Tricog Health)社について

2015年創業 シンガポールに拠点を置く健康関連企業です。InstaECGやInstaEchoなど、クラウドベースのAI活用サービスを通して、世界中に広がる12,000の医療機関を支援し、600万人以上の患者に対して、心疾患の正確、タイムリー、かつ一貫した診断を実現するバーチャル診療サービスを提供しています。早期治療を可能にする心血管疾患の発症予知と早期発見により、大切な生命を救い続けています。

https://www.tricog.com/

サクラワールドホスピタル(SAKRA WORLD HOSPITAL)について

サクラワールドホスピタル(インド法人Takshasila Hospitals Operating Private Limitedの一部門)は、生命の価値を高める高度な医療サービスに取り組むインド初の多国籍医療機関です。サクラワールドホスピタルは、大規模事業体のシナジーをもとに、最先端の医療技術を提供し、医療システム・診断プロセス改革の先駆けとなっています。また、地域コミュニティの健康増進にも注力しており、2014年2月、複数の専門診療科を持ち、350床を有する旗艦病院をベンガル―ルにオープンしました。

心電計付き上腕式血圧計"Complete™"(2019年米国発売)

心電計付き上腕式血圧計“Complete™”

心電計付き上腕式血圧計“Complete™”血圧測定と同時に心電図を記録できる上腕式血圧計。
測定結果および記録した心電図は康管理アプリ「OMRON connect」へ転送でき、アプリ上で心電波形を解析し、心房細動の可能性などを知らせます。アプリに保存されたデータはPDF 出力も可能です。

  • 日本では2021年度発売予定

参考文献

  • *1https://world-heart-federation.org/what-is-cvd/
  • *2『Worldwide Survey on the Methods, Efficacy, and Safety of Catheter Ablation for Human Atrial Fibrillation, 2005 (心房細動に対するカテーテルアブレーションの手技および有効性と安全性についての世界調査)2005』、 Riccardo Cappato, MD; Hugh Calkins, MD; Shih-Ann Chen, MD; Wyn Davies, MD; Yoshito Iesaka, MD; Jonathan Kalman, MD; You-Ho Kim, MD; George Klein, MD; Douglas Packer, MD; Allan Skanes, MD著
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