ニュースリリース

京都府立医科大学との共同研究にて、
心電計付き上腕式血圧計による術後管理で94名中31名の心房細動再発を検出

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オムロン ヘルスケア株式会社(本社所在地:京都府向日市、代表取締役社長:荻野 勲、以下当社)は、京都府立医科大学不整脈先進医療学講座の研究グループ(研究代表:妹尾恵太郎、以下 当研究)との共同研究にて、オムロンの心電計付き上腕式血圧計による家庭での心電図記録が、心房細動カテーテルアブレーション治療後における心房細動再発の早期発見に有用であることを確認しました。

心房細動は不整脈の一種であり、リスクの高い心原性脳梗塞を引き起こすともいわれています。心房細動の一般的な治療法は抗凝固薬や抗不整脈薬の投与ですが、症状が強い場合は血管内に細い管を通して心臓内患部を直接治療するカテーテルアブレーション*1手術が施行されます。しかし、術後に心房細動を再発している患者が一定数いることから、継続的なフォローアップにより心房細動の再発を早期に発見することが重要だといわれています。

当研究は、カテーテルアブレーション治療後の患者128名を対象に12か月間実施されました。対象者は、3ヵ月ごとの通常診療と併用して毎日、朝晩の血圧測定と心電図記録を家庭で行いました。家庭で記録した心電図データを医師が判読した結果、データの有効性が確認された94名のうち31名の心房細動再発を検出しました。通常診療で心房細動再発が検出された患者は18名でした。当研究の結果から、今後のカテーテルアブレーション治療後の診療に家庭での心電図記録が併用されることで、より多くの心房細動の再発を検出できる可能性が高まると考えられます。

約4割が無症状ともいわれている心房細動は、定期的な通院や健康診断時の心電図記録だけでは確認できない場合もあります。今回の研究結果を受けて、当社は今後も医療従事者との連携を強化し家庭での心電図記録の普及を加速することで、カテーテルアブレーション治療後における心房細動再発の早期発見に貢献していきます。

当研究に関する論文は、科学雑誌『IJC Heart & Vasculature』に1月19日付けで掲載されています。

  • *1[1] M. Takigawa, et. al. Circ. Arrhythm. Electrophysiol. 7 (2014) 267-273.

研究概要

対象者 心房細動カテーテルアブレーション治療後でデータが有効だった患者94名
協力施設 京都府立医科大学、京都第二赤十字病院、康生会武田病院、宇治徳洲会病院、天理よろづ相談所病院、岡本記念病院
実施事項 心房細動カテーテルアブレーション治療後から、心電計付き上腕式血圧計を用いて自宅で12ヵ月間、毎日、朝・晩2回ずつの血圧測定と心電図を記録。心電図解析結果は期間終了後まで医師・患者には非公開。
判読方法 心電計付き上腕式血圧計で「心房細動の可能性」「頻脈」「徐脈」と検出された心電図波形を医師が判読。
その他 研究期間内に実施された3ヵ月ごとの通常診療では、各施設の医師判断のもと12誘導心電図あるいは24時間ホルター心電図が行われた。
データの有効性が確認された患者94名のうち、心房細動の再発が検出された患者は33名。
①診療時の心電図記録のみで再発を検出 2名
②診療時と家庭での心電図記録の両方で再発を検出 16名
③家庭での心電図記録のみで再発を検出 15名
家庭での心電図記録で再発を検出(②+③) 31名

要点

1. 心電計付き上腕式血圧計(グラフ内:赤色 the Complete)は、通常診療(グラフ内:青色 Usual Care)と比較して、より頻回に心房細動の可能性を確認できるため、心房細動の再発をより多く検出できた。

2. 心電計付き上腕式血圧計を用いて、家庭において高い測定率(12ヵ月間で80%以上)で心電図を記録した場合、心房細動再発は通常診療と比較して約2倍多く検出された。

心電計付き上腕式血圧計 HCR-7800T

主な特長

  • 血圧測定と一緒に心電図を記録
  • スマートフォンアプリ「OMRON connect(オムロンコネクト)」で心電図波形を解析、心房細動の可能性をお知らせ
  • 記録結果を保存、PDF等で結果を出力できる
  • 本製品は医師や医療関係者の指示により購入できる特定保守管理医療機器です
  • 医療機器承認番号:30400BZX00028000

心電計付き上腕式血圧計 本体


使用イメージ


アプリ画面イメージ(心房細動の可能性を表示)

論文基礎情報

掲載誌情報 雑誌名 IJC Heart & Vasculature
発表媒体 ■オンライン速報版 □ペーパー発行 □その他
雑誌の発行元国 オランダ
オンライン閲覧 可
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2352906723000088
論文情報 論文タイトル(英・日)
The impact of home electrocardiograph measurement rate on the detection of atrial fibrillation recurrence after ablation: A prospective multicenter observational study
(家庭用心電計の測定率がアブレーション後の心房細動再発の検出に与える影響-多施設共同前向き観察研究)
代表著者
京都府立医科大学 大学院医学研究科不整脈先進医療学講座 妹尾恵太郎
共同著者
京都府立医科大学 大学院医学研究科不整脈先進医療学講座 湯川有人
京都府立医科大学 大学院医学研究科 循環器内科学 大倉孝史
京都府立医科大学 大学院医学研究科 循環器内科学 岩越 響
京都府立医科大学 大学院医学研究科 循環器内科学 西村哲朗
京都府立医科大学 大学院医学研究科 循環器内科学 下尾 知
京都第二赤十字病院 循環器内科 井上啓二
京都第二赤十字病院 循環器内科 坂谷知彦
康生会武田病院 不整脈センター 垣田 謙
康生会武田病院 不整脈センター 服部哲久
岡本記念病院 循環器内科 北嶋宏樹
宇治徳州会病院 循環器内科 中井健太郎
天理よろづ相談所病院 循環器内科 西内 英
京都府立医科大学 大学院医学研究科 生物統計学 中田美津子
京都府立医科大学 大学院医学研究科 生物統計学 手良向 聡
京都府立医科大学 大学院医学研究科 循環器内科学 白石裕一
京都府立医科大学 大学院医学研究科 循環器内科学 的場聖明
研究情報 研究課題名 心電計付き血圧計を用いた、心房細動アブレーション後の心房細動再発早期検出の検討
代表研究者 京都府立医科大学 不整脈先進医療学講座 妹尾恵太郎
共同研究者 共同著者と同様
資金的関与(獲得資金等) オムロンヘルスケア株式会社