2004.04.10

vol.10 アクアサイズ(水中運動)の効用と注意点 1.生活習慣病の予防・改善に

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アクアサイズと水中の特性

Vol.10 アクアサイズ(水中運動)の効用と注意点 1.生活習慣病の予防・改善に 糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防・改善には、運動が欠かせません。とくにウォーキングやジョギング、エアロビクスなどの有酸素運動は、肥満の解消や血糖値・血圧の改善に効果があることがよく知られています。
ところが運動の大切さはわかっていても、膝痛や腰痛があるとなかなか実行できません。太っていたり、高齢のために、捻挫や転倒が心配という方も少なくないでしょう。
そういう方々にも無理なくできる有酸素運動が、プールを利用したアクアサイズ(水中運動)です。アクアサイズは、アクアエクササイズを略したもので、アクアビクスとか水中ウォーキングともいわれます。
アクアサイズのメリットは、水の特性である「浮力・抵抗・水圧・水温」を利用して運動ができることです。たとえば浮力があることで、水中に入ると体が軽くなります。腰あたりの水位だと体重は約半分に、肩まで水につかると10分の1にまで軽減します。
また、水の抵抗があることで動きがゆるやかになり、膝関節や腰部に瞬間的に大きな負担がかかることがありません。つまずいたり滑ったりしたときにも、体が水の抵抗を受けるので転倒の心配もありません。
浮力や抵抗を利用できる水の中は、足腰に不安のある方でも運動しやすい環境だといえます。

アクアサイズとは

多くの公営や民間のプール施設では、アクアサイズ教室が開催され、体力や目的に応じたプログラムが組まれています。一人でもできる運動ですが、まず教室に参加して実際の運動を体験しておくほうがいいでしょう。一人では運動が続かない方も、同じ目的をもった人たちと一緒にやることで持続できるメリットもあります。
アクアサイズ教室の運動メニューは、ほとんどが「水中ウォーキング」からスタートします。普通の歩行が基本ですが、慣れてくると横歩き、斜め歩き、後ろ歩きなども加えられます。歩くだけの運動でも水の抵抗があるため、かなりの運動量になります(*1)。
その後のメニューは教室によって異なりますが、腕を使った運動やジャンプなど、少しずつステップアップしていきます。水中での腹筋などの筋肉運動、アクアビクスのように音楽に合わせた運動などを行う教室もあります。
また腰痛改善や肥満解消など、特定の目的別クラスを組んでいるところもあります。事前にインストラクターなどと相談し、自分に合ったメニューを選ぶことが大切です。

(*1)水中運動の運動量には個人差があり、また運動時の水位や水温などの条件によっても異なりますが、陸上運動と比較してエネルギー消費量が大きい傾向があります。しかし、浮力などの影響もあって疲れを感じにくく、運動過多になることがあるので注意が必要です。

アクアサイズの効用とは

アクアサイズの効用のひとつが、心肺機能の向上です。
水中に入ると、立っているだけでも水圧を受けます。そのため自然に呼吸が深くなり、腹式呼吸をするようになります(ただし、胸まで水中に入ることが必要です)。それだけ酸素供給量が増え、呼吸筋もきたえられて、呼吸機能が向上します。
また水圧には、全身の血液循環をよくする作用もあります。とくに水深の深い足元には、大きな水圧がかかります。その影響で水圧がポンプの役割をし、足の血液を心臓に送り返す働き(心臓還流)がよくなり、心臓の機能も向上します。
アクアサイズのもうひとつの効用が、肥満解消です。アクアサイズを行う多くのプールでは、安全性や運動効率を考慮して水温を29~31℃程度に設定しています。水温が体温より少し低いため、水中に入ると体熱が奪われます。すると私たちの体はエネルギー生産を活発にして、体温調節を図ろうとします。このとき脂肪の燃焼効率も高まることが、肥満解消にはプラス条件となります。
ただし、水温だけが肥満解消の要因ではありません。呼吸機能の向上などによる効率的な有酸素運動と、水の抵抗を利用した筋肉運動などとの相乗作用により、肥満の解消効果が期待できるのです。

アクアサイズと生活習慣病

こうした心肺機能の向上や肥満解消効果が、陸上でのウォーキングなどと同様に、生活習慣病の予防につながるとして最近注目されています。
たとえば糖尿病の大半を占める2型糖尿病の場合、予防や改善には食事のコントロールに加え、運動、とくに有酸素運動を一緒に行うと効果が高まります。
アクアサイズを続けると、筋肉がエネルギーとしてブドウ糖を取り込み、血糖値を下げることができます。それだけでなくインスリンの働きがよくなり、すい臓への負担も少なくなります。また、糖尿病の人には肥満が多いことからも、アクアサイズによる肥満解消も糖尿病の予防や改善につながります。
高血圧の多くを占める本態性高血圧の場合も、食事のコントロールに加え、有酸素運動を行うことで改善効果がみられます。有酸素運動を続けると、タウリンやプロスタグランジンEなどの血圧を下げる物質が増加し、反対にカテコールアミンなどの血圧を上げる物質が減少することが知られています(*2)。 また、血圧を上昇させる原因のひとつに、ストレスがあります。アクアサイズでは、浮力によって重力から解放されることでリラクゼーション効果が生まれ、ストレスが軽減されます。その結果、交感神経の緊張が緩和されると、血圧も低下します。
これらの効用を踏まえ、各地のアクアサイズ教室では生活習慣病の「運動療法」を行うクラスも増えています。運動療法に参加する場合には、専門の指導知識をもつインストラクターがいることと、自分の症状に合ったプログラムを組んで運動ができるかどうかを確認しておきましょう。
すでに病院で糖尿病や高血圧の治療を受けている方は、参加する前に医師に相談してください。

(*2)本態性高血圧とは、原因を特定できないタイプの高血圧で、全体の85~90%を占めます。生活習慣病とされるのは、このタイプです。それ以外の、腎臓や内分泌系、血管などの病気が原因で起こる高血圧を、二次高血圧といいます。

アクアサイズを安全に行うために

水中ウォーキングのような単純な運動でも、速度を少し速めるだけで水の抵抗が大きくなり、運動量がかなり増加します。しかし、それに気付かないでいると、エネルギーの消耗が大きく、プールサイドに上がったとき、どっと疲れを感じる状態になりかねません。
アクアサイズ教室では通常、30分間から1時間程度のメニューを組み、途中で何度か休憩をはさみます。運動は、休憩のときにあまり疲労を感じない程度を目安に行いましょう。もし強い疲労感がある場合は、早めにスタッフに告げることです。また、プールから急に出ると、一時的に脳貧血などでめまいを起こすこともあります。階段を利用してゆっくり出るようにしましょう。
  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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