2004.05.10

vol.11 アクアサイズ(水中運動)の効用と注意点 2.筋力アップで老化予防を

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アクアサイズと筋力トレーニング

Vol.11 アクアサイズ(水中運動)の効用と注意点 2.筋力アップで老化予防を ウォーキングなどの有酸素運動と並んで、中高年の方に必要とされるのが筋力トレーニング(以下、筋トレ)です。筋力の衰えは、体全体の老化につながりやすいからです。
たとえば足の筋肉が弱ると、階段の上り下りがつらくなり、ちょっとした段差でつまずいたりします。筋肉量が減ると腰や膝にかかる負担が大きくなり、腰痛や膝痛の原因ともなります。
また足の筋肉は、末端の血液を心臓に送り返すポンプの役割もしています。そのため筋力が低下すると、血液循環が悪くなり、疲れやすいといった症状もあらわれます。
こうした老化症状の予防・改善には、筋トレが欠かせません。ところが中高年の方には、筋トレになじみがないため「苦手」という方も多く、なかなか続かないケースが少なくありません。また腰痛や膝痛があって、筋トレができない方もいます。
そうした方々にも向いているのが、アクアサイズ(水中運動)による筋トレです。アクアサイズの場合、水中でじっとしているときには浮力が働き、筋肉にはあまり負荷がかかりません。ところが運動を始めると、水の抵抗を受けます。この水の抵抗が筋肉に適度な負荷を与え、筋トレ効果が生まれるのです。
水中では動作がゆるやかになるので、足首や膝、腰などに大きな負担がかかりません。そのため足腰に不安があったり、肥満気味の方でも、安全に筋トレを行うことができます。また、水中ではあらゆる方向から抵抗を受けるので、筋トレをしやすいという面もあります。こうしたメリットから、「水は安全で優れた筋トレ・マシン」ともいわれています。

<筋肉の老化現象とは>

筋肉の老化(筋力の低下)は自覚しにくいのですが、次のような症状が重なったら、そろそろ筋トレが必要だといえます。

  • 若い頃より歩幅が狭くなった
  • 階段の上り下りが苦痛に感じる
  • ちょっとした段差や平らな場所でつまずく
  • 立った姿勢で靴下をはくとバランスをくずす
  • 足がむくんだり、体が疲れやすい
  • 胸や腕、尻、足などの皮膚がたるんだ
  • 二の腕や下腹に脂肪がついた

アクアサイズの筋トレの特徴

アクアサイズによる筋トレには、さまざまな特徴があります。

●いろいろな部分の筋肉をきたえやすい

水中をふつうに歩くだけの運動でも、足を前に出すときと下ろすとき、いずれも水の抵抗によって足に負荷がかかります。これによって足の前面(主動筋)と背面(拮抗筋)の筋肉を同時にきたえることができます(*1)。拮抗筋をきたえると体のバランスがよくなり、日常の動作もスムーズになります(*2)。
また歩き方を変えると、違う筋肉が負荷や刺激を受けます。たとえば大股歩きをすると股関節付近の筋肉が、横歩きや斜め歩きでは足や尻の側面の筋肉が、ジャンプをするとふくらはぎや足裏などの筋肉が、それぞれきたえられます。
こうした多彩な運動を、浮力と水の抵抗を利用して無理なく取り入れることで、いろいろな部分の筋トレができます。

●自分で負荷をコントロールしやすい

アクアサイズでは、速くかつ大きく動くほど水の抵抗も大きくなり、筋肉への負荷が増大します。また、体の向きや手の動きを変えるだけでも、負荷が変化します。たとえば早歩きとゆっくり歩き、真っすぐ歩きと横歩き、手の動きをクロール風にした場合と平泳ぎ風にした場合などで、運動量はかなり違ってきます。
この特徴を利用して、筋肉への負荷の強さを自分でコントロールしながら、体力や目的に応じた筋トレを行うことができます。

(*1)堀田氏(九州大学健康科学センター)らの研究により、「水中では低速歩行の場合でも大腿部や下肢の筋群に筋活動が生じ、また陸上歩行ではあまり用いられない大腿背面の筋が動員されることが特徴である」と報告されています。(日本バイオメカニクス学会『バイオメカニクス研究』Vol.2、No.1より)

(*2)運動時に中心的に動く筋肉を主動筋というのに対し、その背面にある筋肉を拮抗筋といいます。主動筋をきたえる場合、拮抗筋を同時にきたえると筋トレ効果が向上します。

基礎代謝を高め、太りにくい体質に

●有酸素運動+筋トレを同時におこなうことができる

アクアサイズが、ウォーキングなどと同じ有酸素運動であることは前回ご紹介しました。アクアサイズには、その有酸素運動と筋トレが同時にできるという特徴もあります。
有酸素運動には、余分な体脂肪を燃焼しやすくするという効果があります。さらに筋トレをおこなうことで、筋肉量を増やし、基礎代謝を高める効果が生まれます。
基礎代謝というのは、体を横たえてまったく体を動かしていなくても、呼吸をする、心臓を動かす、体温を保つなどさまざまな生命活動のために常に使っているエネルギー。つまり、「生きていくために最低限必要な最小のエネルギー」のことです。中高年になるにつれ筋肉が衰えて基礎代謝量が低下し、エネルギー消費量も減少するため、肥満になりやすくなります。こうした肥満を解消するには、筋肉量を増やして基礎代謝を高めることのできる筋トレが効果的です。
アクアサイズの場合、水中を歩くだけの簡単な運動でも、有酸素運動と筋トレをかねています。肥満解消の効果には個人差がありますが、体脂肪を燃焼させると同時に、基礎代謝を高め、太りにくい体質をつくるのに、アクアサイズは有効な運動だといえます。

肩こりや腰痛・膝痛の解消効果も

●ストレス軽減+筋力アップができる

アクアサイズ教室には、肩こり、腰痛、膝痛などの解消を目的としたクラスを設けているところがあります。それは、浮力を利用したストレス軽減効果と、筋トレによる筋力アップ効果の両方が期待できるからです。
肩こりの多くは、首から肩にかけての筋肉が疲労し、血行不良になることが原因で起こります。水中ではまず浮力によって、筋肉の緊張がほぐされ、ストレスが軽減されます。ついで肩を動かす運動をすると、適度の水圧や水の抵抗による負荷を受け、血行が良くなります。
また、腰や膝は加齢にともない、椎間板(ついかんばん)が圧迫されたり、膝の軟骨がすり減って炎症を起こしやすくなります。筋力が衰え、支える力が弱くなると、それだけ腰や膝にかかる負担が増え、痛みがひどくなります。さらに痛みがあると動かさなくなるため、血行不良により症状が悪化することにもなりかねません。
水中では、負担をかけずに腰や膝を動かすことで血行を改善し、痛みを和らげることができます。さらに筋トレによって腹筋や背筋、あるいは膝の周囲の筋肉やじん帯などをきたえることで、腰や膝の老化予防にもつながります。

筋トレを安全に楽しむために

アクアサイズの筋トレには、注意すべき点もいくつかあります。そのひとつは浮力が働くため、どの運動も楽にできることです。ジャンプや腹筋運動のような、陸上では大きな負荷がかかる運動も簡単にできます。それはプラス面でもありますが、同時に運動のやりすぎにもなりかねません。
とくに運動をほとんどしたことのない方の場合、体を動かす楽しさから、やりすぎてしまうことがあります。最初のうちはインストラクターの指示を守ることは当然ですが、自分でも少し控えめに運動するように心がけましょう。
二つ目は、レベルアップの必要性です。筋トレは、同じ運動だけをしていると、効果がなくなってきます。ひとつの運動に慣れたら、タイプの違う運動に挑戦したり、もう少し強めの運動へとレベルアップしていくことで、筋力アップ効果を維持する必要があります。この場合にもいきなり強い運動へと移行するのではなく、インストラクターと相談しながらプログラムを組むようにしてください。
また、肩こり、腰痛、膝痛の解消などを目的とする場合には、そうしたクラスがあるのかどうか、自分に合った運動法を指導してもらえるのかどうかなど、あらかじめスタッフに相談しておくことも大切です。
最近は、旅行先のホテルのプールなどで、アクアサイズをする人も増えています。同じ運動でも、水深が深くなると水圧や抵抗が大きくなり、運動量も増えます。いつもと違うプールを利用するときには、こうした点も十分に考慮し、疲れない程度の運動を心がけましょう。
  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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