2013.08.09

vol.122 インターネットのしすぎに注意を

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インターネットと依存症

Vol.122 インターネットのしすぎに注意を インターネットのしすぎによる症状といえば、以前は眼精疲労や肩こりが代表的なものでした。ところが現代では、よりメンタルな症状が目立つようになり、その典型に「ネット(インターネット)依存症」があります。
ネット依存症は、インターネットにはまって仕事や家事に支障をきたしたり、インターネットが原因でイライラしたり、不安になったりする症状のこと。2013年の厚生労働省研究班の発表では、中高生の約52万人が、また2008年の調査では、成人の約271万人(推計)がインターネット依存状態にあるとされています(※1)。さらにその後、スマートフォンやタブレット端末の普及によって、ネット依存症は急速に増加、かつ多様化していると推測されています。
アメリカや韓国などでは、ネット依存症は治療の必要な病気とされ、早くから対策が検討されてきました。日本でも近年、若者のネット依存症が社会問題となっていますが、じつは中高年層にも依存状態になっている方は少なくありません。
ネット依存症の厄介な点は、自分では気づかないうちに依存状態におちいりやすいことです。依存の形態もさまざまで、長時間にわたりインターネットをやり続ける、インターネットの世界独特の高揚感や興奮に惹かれる、情報に過敏反応する(怒り、執着など)、つぶやきや書き込みがやめられないなど、非常に複雑化しています。
一方、からだへの影響についても、ディスプレイのブルーライトによる網膜への障害や、長時間動かないことによる骨粗しょう症の促進など、新しい問題が指摘されるようになっています。
中高年の方には、心身両面での注意が必要なので、インターネットのしすぎによる影響をきちんと知っておきましょう。

(※1)2013年は中高生約10万人を対象とした初の調査。2008年は成人男女7500人を対象とした抽出調査による。

ネット依存状態を自分でチェック

自分がネット依存状態にないかどうか、簡単なチェックをしてみましょう。次の項目のうち、思い当たることが1つでもあれば要注意。2つ以上なら、ちょっと危険な状態です(インターネットとはパソコン、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話のすべてを含みます)。

<簡単チェック>(※2)

  1. インターネットをしていると時間を忘れることが多い
  2. インターネットの影響で生活がルーズになった(遅刻、仕事や家事の手抜き、食事が不規則、睡眠不足など)
  3. 家族や友人といるより、1人でインターネットをしているほうが落ち着く(楽しい)
  4. 外出中もインターネットから離れられない
  5. インターネットが原因でイライラしたり、不安になることが多い


(チェック1)
ネット依存症の典型は、長時間にわたり漫然とインターネットをし続けること。仕事や必要な調べもの以外(メール、ゲーム、ショッピング、SNS、サイト・動画閲覧など)で、インターネットをやり続け、時間を忘れていたという状態が多くなっていませんか。

(チェック2)
インターネットに夢中になると、日常生活に支障をきたすことが多くなります。約束の時間に遅れる、手抜き仕事が増える、家事や育児が面倒になる、食事を抜く・簡単に済ませる、睡眠時間が減るなどの状態がみられませんか。

(チェック3)
インターネットは息抜きになりますが、現実から逃避する場にもなります。現実的な問題や人間関係を避け、インターネットの世界にいるほうが快適だと感じていないでしょうか。

(チェック4)
外出先でも、常にインターネットをしていませんか。とくに歩きながら(歩きスマホ)、自動車の運転中、自転車に乗りながらなどは、非常に危険です。リスクを忘れて、インターネットにはまっている状態です。

(チェック5)
インターネット上の情報や他人の意見が気になったり、ゲームがうまく進まないなどの理由で、イライラしたり、不安になったりしていませんか。そのイライラや不安が日常化し、人に対する言葉や態度が乱暴になっている可能性もあります。

(※2)ネット依存症には、まだ明確な診断基準はありません。海外で治療時などに利用されるスクリーニングテストの項目などを基にした、1つの目安です。

心身両面に注意しよう

ネット依存症以外にも、インターネットが原因となるメンタルな症状は少なくありません。そのうちとくに注意したいのが、抑うつ症状と虚偽性障害(ミュンヒハウゼン症候群)です。

<抑うつ症状>
インターネット上には情報があふれていますが、実際に利用するのは「自分が気になる」情報がほとんどです。同じ種類の情報、とくに自分にとってマイナス要因の情報(病気や美容上の悩み、人間関係や仕事の不満など)をくり返し読んだり、メールなどで悩みや不満をくり返すうちに、次第に気分が落ち込み、憂鬱(ゆううつ)になってきます。それが原因で、倦怠感や睡眠障害、頭痛などを起こすこともあります。

<虚偽性障害>
インターネット上では、ちょっとしたことで注目されることがあります。たとえば、自分の病気や悩みなどを告白すると、数多くの同情やアドバイスが寄せられます。それが励みになる一方で、人によっては注目される快感が忘れられず、自分の病気や悩みを誇張したり、嘘をつくようになるのが虚偽性障害です(慢性化するとミュンヒハウゼン症候群と呼ばれます)。他人の意見を、自分の意見のように装うこともあります。
こうしたメンタル症状のほかに、中高年の方が気をつけたいのが、からだへの影響…とくに目や骨への影響です。

<目への影響>
最近のディスプレイのバックライトに使われているLEDのブルーライト(青色光。波長380~495ナノメートル)は、目への負担が大きいことが知られています。可視光線のなかでもブルーライトはエネルギーが大きく、水晶体などを通過して網膜まで届きます。毎日長時間パソコンなどの画面を見つめていると、網膜がダメージを受け、目の痛みや加齢黄斑変性症などのリスクが高くなります。また、ブルーライトは体内リズムを乱し、睡眠障害の一因になりやすいことも指摘されています。
加齢にともなって水晶体が濁ると、ブルーライトの影響も軽減されるという説もありますが、中高年になると目の機能そのものが低下しているので、インターネットをよくやる方は対策を考慮しましょう。予防としては、ブルーライトの透過率を下げるパソコン用メガネの利用や、ブルーライト低減フィルムを画面に貼るなどの方法があります。ただし、効果には個人差があるので、基本的にはインターネットをしすぎないことが大切です(※3)。

<骨への影響>
もう1つ注意したいのは、座りづめで動かないことによる骨への影響(強度の低下)です。骨は、運動などで負荷をかけないと、骨量が低下し、急速に弱くなっていきます。若い世代でも、動かずにインターネットをやり続けることで骨粗しょう症が起きることが判明しています。
中高年世代の場合は、加齢により骨量が低下しているので、骨粗しょう症のリスクが一層高まります。また、関節などへの負担も大きくなって膝痛や腰痛などの連鎖を起こしやすくなります。

(※3)ブルーライトの影響を軽減する機能をもつLED液晶ディスプレイの開発もみられますが、普及までにはまだ時間がかかるため、目の保護対策をしっかりする必要があります。

インターネットをしすぎないために

インターネットのしすぎを予防するために、次のことを心がけてみましょう。
  1. 個人的なインターネットの時間を制限する
    予防の基本は、インターネットの時間を制限すること。仕事や必要な調べもの以外の個人的なインターネット時間を、1日合計2時間程度と決めてみます。それが守れないようなら、自分がネット依存状態にあることを自覚し、心療内科などの受診を検討しましょう。インターネットに依存する理由(仕事や人間関係の悩みなど)を知るきっかけともなります。
  2. インターネットを1時間したら、軽い運動をする
    タイマーをセットし、インターネットを1時間したら、席から離れてストレッチやスクワット(屈伸)などの軽い運動を5分~10分程度する習慣をつけましょう。暑い時期には、水分補給も大切です。からだへの影響を軽減するだけでなく、席から離れることで、インターネットと距離をおくことができます。
  3. 食事時間をきちんと守り、別の場所で食べる
    食事は、インターネットから離れる重要なきっかけです。食事を抜いたり、スナック菓子などを食べながらインターネットを続けるのは、ネット依存状態におちいる典型的なケースです。食事やおやつは、席を離れて別の場所で食べるようにしましょう。
  4. 歩きスマホなど、移動中のインターネットはしない
    外出中の移動時も、インターネットから離れ、神経を休めることができる時間です。また、歩きながらスマートフォンを操作し、人や自転車とぶつかったり、階段やホームから転落する事故が増えています。中高年になるにつれて反射神経が低下し、衝突や転落の危険性も高くなるので、移動中のインターネットは絶対にやめましょう。
  5. インターネット以外の趣味をもつ
    インターネットに夢中になっている人には、ほかに趣味がなく、インターネットそのものが目的化している人が少なくありません。外出して自然とふれる、運動をする、展覧会などに出かける、あるいは人と会って交流するなど、インターネットから離れる時間をつくることができる趣味をもつことを心がけましょう。
  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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