2014.01.10

vol.127 1日1回 リラックスタイムをもとう

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ストレスと自律神経

Vol.127 1日1回 リラックスタイムをもとう

現代はストレス社会といわれ、多くの人がなんらかのストレスを感じながら生きています。「ストレスを感じる」という人は30歳代と40歳代では70%近くにのぼり、50歳代で約60%、60歳代以上でも40~45%もいます(※1)。
ストレスを受け続けると、私たちの心とからだには、さまざまな症状があらわれます。初期には「肩がこる、頭痛がする、頭がすっきりしない、胃が重い、手足が冷える、眠りが浅く夢をよく見る」などの症状がみられます(※2)。ストレスがさらに継続すると、「イライラする、血圧が上がる、疲れがとれない、食欲が減退する、便秘や下痢を起こす、よく眠れない」などの症状がみられやすくなります。
こうした症状の原因には、自律神経の乱れが関係していることが少なくありません。

自律神経は、私たちの呼吸器・循環器・消化器から脳の活動にいたるまで、幅広い臓器の働きをコントロールしていて、よく知られているように交感神経と副交感神経から成り立っています。一般的には、交感神経は活動状態をつくり、副交感神経は抑制(弛緩)状態をつくるといわれます。たとえば、私たちが仕事や家事などの活動をするとき、交感神経が活性化され、呼吸が速くなり、血圧が上昇し、筋肉は緊張します。それに対して、休息に入ると、副交感神経の働きで呼吸は緩やかになり、血圧は低下し、筋肉もゆるみます。
ところが、交感神経と副交感神経が逆の作用をするものもあります。それは消化器系で、交感神経が活性化すると消化液の分泌が抑制され、消化不良などを起こしやすくなります。それに対して副交感神経は、消化液の分泌を促進し、胃や腸の働きを活発にするのです(※3)。
したがって自律神経からみると、さきほど紹介したストレス症状の多くは、交感神経が常に活性化された状態にあり、副交感神経がうまく働いていないことが原因ということができます。毎日の生活の中で意識的にリラックスタイムをつくり、副交感神経の働きを上手に引き出してやることが大切です。

(※1)内閣府「国民生活選好度調査(2008年)」による。

(※2)ここでいうストレスとは、日常的な仕事や家事、人間関係、経済状態などによるものです。事故や身内の死などの強いストレスを受けた場合とは異なります。

(※3)副交感神経が活性化されると、消化液だけでなく、インスリンなどの分泌も促進されることが知られています。

呼吸が浅くなっていませんか

あなたは今日、深呼吸をしましたか?
ストレスを受け続けていると、気づかないうちに呼吸が浅くなり、肺の呼吸量(換気量)が減少します。すると体内に供給される酸素量も減少するため、もっとも酸素を必要とする脳や筋肉などに影響を及ぼし、頭痛や頭重、疲労、肩こりなどを起こしやすくなります。
一般に私たちの呼吸量は、1回(1呼吸)で500ml程度です。しかし、座禅やヨガなどでおこなう深い呼吸では、呼吸量が3~4倍にも増えます(男女差、個人差はあります)。
深い呼吸をしばらく続けると、体内への酸素供給量が増えるだけではなく、気持ちが落ち着き、からだからも力が抜ける感じがします。それは副交感神経が活性化されることで、脳の興奮が鎮まり、心拍数や血圧も低下し、筋肉の緊張からも解放されるからです。

深呼吸のなかでも、とくに副交感神経を活性化する効果があるのが、腹式呼吸です。腹式呼吸は、立ち姿勢でもできますが、リラックスしやすく、また時間をかけてゆっくりできるように、椅子や床に座るか、仰向けに寝た姿勢でおこないましょう。

  1. からだの力を抜き、おへそのあたりに両手を軽く添える(手は、お腹のへこみやふくらみを感じるために添えるので、お腹を押す必要はありません)。
  2. ゆっくり口から息を吐きながら、お腹をへこませていく(最初に息を吐ききることで、深い呼吸をしやすくなります)。
  3. 苦しくならない程度まで息を吐ききったら、お腹がふくらむのを意識しながら鼻から息を吸います。
  4. 息を吐くことが副交感神経を活性化させるので、息を吐くのは8秒程度、吸うのは4秒程度と、吐く時間が2倍になるくらいを目安にしましょう。

複式呼吸のコツの1つは、呼吸に意識を集中すること。そのためには静かな場所でやるのが原則ですが、人によっては少しBGMがあるほうが集中しやすいことも。その場合は、抑揚の少ないスローテンポの曲を、かすかに聴こえる程度に流します。
また、腹式呼吸中は目を閉じることが多いのですが、余分な考えが次々と頭に浮かび、集中できないこともあります。そうした場合は、目の前の壁に自分の好きな風景写真を貼り、その風景の中に自分がいることをイメージしながらおこなってみましょう。
時間は最低でも5分、できれば10分~15分程度は続けておこなうことが大切なので、仕事のある方は夜寝る前の時間帯に腹式呼吸のリラックスタイムをもつといいでしょう。

静的ストレッチで緊張をほぐす

ストレスを受け続けていると、私たちのからだは常に緊張状態を強いられ、気づかないうちに筋肉や関節もこわばっています。ストレッチでからだの緊張をほぐすのも、副交感神経の働きをよくする方法の1つです。
ストレッチには、運動前などにおこなう動的ストレッチと、運動後などにおこなう静的ストレッチとがあります。動的ストレッチは、反動を利用しながら筋肉や関節の伸縮をくり返す運動です。それに対して静的ストレッチは、筋肉や関節をゆっくり一定方向へ伸ばしたら、その状態を少しキープし、またゆっくり元に戻します。つまり、反動を使わないというところがポイントです。

静的ストレッチには心拍数を低下させ、筋肉の緊張を緩めるなど、副交感神経の働きをよくする効果があります。
静的ストレッチには、いろいろな運動がありますが、最大のコツは、動きも呼吸もできるだけゆっくりやること。分かりやすい1例(体幹の緊張をほぐす運動)をあげてみます。

  1. 足を肩幅程度に開いて立ち、両手を軽く、ゆったりした感じで前に出す(からだの力を抜く)。
  2. 息をゆっくり吐きながら、右手(あるいは左手)を横方向へゆっくり大きく回していく。顔は、回す手の指先を見ながら、同じ方向へ一緒にゆっくり回す。
  3. 無理をしない程度(肩や首に負荷がかからない程度)まで手を回したら、息を吸いながら、その位置を少し(3~4秒)キープする。
  4. 息をゆっくり吐きながら、手を下に回し、からだの横をとおって元の姿勢に戻る。
  5. 次に、反対の手をゆっくり横方向へ回しながら、さきほどと同じ動作をくり返す(同様に、手には力を入れない)。

両手を1セットとして、1回に5~10セットを目安にしましょう。からだの緊張を緩めることが目的なので、運動としては物足りないと思うかもしれませんが、その程度がちょうど良いといえます。

だれでもできるリラックス運動とポーズ

静的ストレッチに近いもので、だれでも簡単にできるリラックス運動もあります。それはラジオ体操(第1、第2)の最後にやる、深呼吸の動作です。第1体操の場合は、呼吸をしながら両手を前から上に上げ、円を描くようにして下ろす動作のくり返しです。第2体操では、第1体操の動きに、両手を横に広げる運動が加わります。
実際のラジオ体操の場合は、音楽に合わせ、比較的早いリズムで深呼吸しますが、それは運動後の呼吸を整えるためです。しかし、静的ストレッチの場合は、からだの緊張をほぐし、浅くなっている呼吸を改善することが目的なので、「動作はゆっくり、呼吸は深く」を心がけておこないましょう。10回くらいを目標に。

また、ヨガの動作の1つ「無空(なきがら)のポーズ」も、からだの緊張をほぐし、呼吸を深くする方法の1つです。

  1. 仰向けに寝て、両手を少し広げ(手のひらは上に向ける)、両足は肩幅より少し広めに広げる。
  2. 仰向けに寝たとき、腰がなんとなく安定しない人は、両足をそろえて胸のほうへ曲げ、両手で膝付近をかかえた姿勢で、2、3度軽く左右にゆすると、安定しやすくなります。それから1のポーズに。
  3. 1のポーズで、腰の位置が安定したら、ゆっくりと呼吸をしながら全身の力を少しずつ抜いていきます(気持ちは呼吸に集中する)。

5分程度は続けておこないましょう。
無空のポーズは、ヨガの最後にやることが多く、休息のポーズとか無為のポーズともいわれます。最初のうちは全身の力を抜くことが難しいかもしれませんが、深い呼吸に集中することで、自然に緊張がほぐれてきます。慣れてくると気持ちがよく、リラックスしてそのまま寝てしまうこともあります。冬はからだが冷えないように、暖かい部屋でおこなってください。

  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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