2004.10.08

vol.16 中高年の運動...スポーツ障害を防ぐために

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若い頃との違いを知る

Vol.16 中高年の運動...スポーツ障害を防ぐために 運動を始めるにはいい季節がやってきました。肥満の解消に、あるいは血圧や血糖値の改善のために、運動にチャレンジしようという方も多いのではないでしょうか(*1)。
しかし、いきなり運動を始めるとケガをしたり、体調をくずすなどの「スポーツ障害」を起こしかねません。中高年の運動では外傷に加えて、腰痛や膝痛などの慢性疾患、あるいは心筋梗塞などの突発的な病気にも十分に配慮しておく必要があります。
とくに注意したいのは、自分の体力をかえりみず無理をしてしまうケースです。若い頃と同じつもりで、つい頑張りすぎてしまうのです。楽しく安全に、かつ効果的に運動を続けるために、まず若い頃との違いを自覚しておきましょう。

<青年期と中高年期の主な相違点>

●筋力などの低下

筋肉量や骨量は20歳代をピークに低下し、体を支える力が全体的に弱くなっています。いきなり強い運動を始めると筋肉痛や腰痛、捻挫、骨折などを起こすことがあります。

●柔軟性の低下

関節やじん帯、腱など、体のクッションとなる部分が硬くなっています。強い力が加わったり、体をひねったときに対応できず、膝やアキレス腱などを傷めることがあります。

●心肺機能の低下

心臓や肺の働きが低下し、動悸や息切れを起こしやすくなっています(*2)。とくに動脈硬化がある場合には血管に大きな負担がかかり、心臓疾患などの原因ともなります。

そのほか、バランス感覚の低下、疲労回復の遅れなどもみられます。

(*1)高血圧や高脂血症、糖尿病などで治療を受けている方や、心臓病や脳卒中などの病歴がある方は、自己流で運動を始めると危険なことがあります。必ず医師の指導を受けてから始めてください。

(*2)長い間運動をしていないと、心臓が小さくなり送り出す血液流も少なくなっています。また、肺での酸素摂取量も減少しています。そのため運動時に必要とされる血液量や酸素量をうまく供給できず、動悸や息切れが起こりやすくなります。

ウォーミングアップとクーリングダウン

スポーツ障害を防ぐための基本は、ウォーミングアップ(準備運動)とクーリングダウン(整理運動)をきちんとすることです。
ウォーミングアップにはケガの予防だけでなく、血流を良くしたり呼吸量を増やしたりして、運動能力を高める効果があるため、それだけ運動時の体への急激な負担(ショック)を減らすことになります。
中高年になると体全体が硬くなっていることが多いため、とくにストレッチ(筋肉や腱などを引き伸ばす運動)をしっかり行いましょう。ラジオ体操でもいいので、体を伸ばすことを意識してゆっくり行うと、ストレッチ効果があります。
一方、運動が終わったあとには、クーリングダウンを必ずしておきます。運動をすると、筋肉には疲労物質(乳酸など)が蓄積します。そのままではなかなか疲れがとれず、翌日まで影響しかねません。クーリングダウンには、疲労回復を早める効果があります。この場合も、ラジオ体操程度の軽い運動で十分です。
運動の種類や強度によっては、ひじや膝などが炎症を起こすこともあります。その場合は早めに、炎症部分をアイシング(氷で冷やす)しておきましょう。
また、運動後はシャワーで汗を流すだけでなく、お湯につかるほうが疲労の回復は早まります。スポーツ施設でシャワーを済ませたときでも、帰宅後はお湯につかり、筋肉を軽くもみほぐしておくと疲労回復効果が高くなります。

運動の強さは脈拍数を目安に

運動に慣れてない人や遠ざかっていた人は、運動の強度やペースをうまくつかむことができないため、ついやりすぎてしまい、事故などにつながることがあります。
自分に適切な運動の強度やペースを知るには、脈拍数が目安になります。やりすぎを防ぐには、運動の途中でこまめに休みを入れ、そのつど脈拍数(心拍数)を測るようにします。最初のうちは1分間の脈拍数で、
「138-(年齢÷2)」 を上限の目安とします。50歳の人なら、138-(50÷2)=113を超えない程度ということです(*3)。
ただ脈拍数と運動強度の感じ方には個人差があります。数値だけでなく、「息切れしない程度、会話をしながら運動ができる程度、翌日に疲れが残らない程度」といった自分の感覚も目安にするようにします。
これは運動の種類でいうと、ウォーキングや体操などの強度です。人によっては物足りなく感じるかもしれません。しかし、健康維持のための運動ではまず安全性を重視し、この程度の運動によって動悸や息切れが起こらないかどうかを確認しておきます。
慣れてきたら少しずつ運動強度を高めていきます。この場合もいきなり本格的な運動を始めるのではなく、軽い運動から入るようにします。
たとえばジョギング程度の運動でも、日頃から運動不足の人には膝や足首、心臓などに大きな負担となります。ウォーミングアップのあとすぐに走り出すのでなく、「ジョグウォーク」といって、ウォーキングをしながら時々ジョギングを取り入れる程度の運動から始めてみましょう。
水中運動の場合でも、いきなり泳ぎだすのではなく、水中ウォーキングから始めて体を徐々に慣らしていきます。また泳ぎ方についても、腰や膝の悪い人は平泳ぎをすると負担がかかりやすいので、ゆっくりしたペースのクロールが適しています。

(*3)福岡大学の荒川規矩男教授が提唱する「ニコニコペース」の運動強度。運動をしながら会話もできるくらいの強度ですが、継続することにより高血圧の改善効果があるとされています。なお運動時の脈拍測定は、時計を見ながら手首のところで15 秒間の脈拍数を数え、4倍する方法が便利です。

運動中のストレスには気をつけて

運動の種類によっては、体に思いがけないストレスがかかるものもあります。その典型は、ゴルフとゲートボールです。
パットのときや、ゲートを狙って打つときに緊張から強いストレスがかかります。しかも息を詰めるため、そのとき血圧が上昇し、心臓や血管に大きな負担がかかることがわかっています。
またテニスや剣道のように、相手と勝敗を競い、またサーブや打ち込みのときに力む運動も、血圧が上昇しやすいので注意が必要です。
こうした運動を始める場合には、適切なインストラクターの指導の下で体調に留意することはもちろんですが、自分でも勝敗にはあまりこだわらず、プレーを楽しむことを心がけましょう。
運動のなかで、比較的ストレスがかかりにくいのは、一定のペースで続けられるものです。たとえばウォーキングや体操、軽いエアロビクス、サイクリング、水中ウォーキングなどです。
ただこうした運動でも、友人たちと一緒に行うようなケースでは、それぞれの体力やペースが違うため、気づかずに無理をしてストレスを受けてしまうことがあります。友人同士の交流が目的の場合は別として、肥満や血圧の改善など自分自身の健康目的がある場合には、集合と解散の場所を決めておき、あとは自分のペースで運動するといった工夫も必要です。

寒さや暑さへの対策もしっかりと

屋外で運動するときには、寒さと暑さへの対策もしっかり考えておく必要があります。
寒い季節はもともと血圧が高めです。そのうえ早朝の屋外では、寒冷刺激を受けてさらに血圧が上昇します。ウォーミングアップを入念にすることはもちろんですが、肥満気味の人や血圧が高めの人には早朝よりも、体の温まっている日中や夜間の運動のほうが向いています(※4)。
とくに寒さの厳しい日は無理をせず、屋内の運動に切り替えるといった柔軟性も大切です。
また運動中は、定期的に水分補給をする必要があります。熱中症になりやすい暑い季節はもちろんですが、冬でも汗をかいて軽い脱水状態になることがあります。水を飲んでも体内に行き渡るには15分程度かかるので、早めに水分補給をします。吸収の速いスポーツドリンクを用意しておくのもいい方法です。
また汗をかいたままでいると、次第に体が冷えて体調をくずす原因ともなります。下着を用意しておき、運動後は早めに着替えるようにします。
真夏には30℃を超すような炎天下はさけ、早朝や夜間の涼しい時間帯を選ぶこと。運動中はこまめに休憩をとり、木陰などで休むこと。疲れがとれない場合、翌日は無理をせずに休むといったペースにし、体調管理には十分に配慮することも大切です。

(*4)心筋梗塞や脳卒中などの疾患は、血圧の変動リズムなどの関係から「冬の朝」に多発することがわかっています。ふだんから血圧が高めの人は、危険な時間帯をさけるようにしましょう。

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