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2018.04.10

vol.178 食事と運動で防ごう! サルコペニア肥満

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Vol.178 食事と運動で防ごう! サルコペニア肥満

「立つ」「歩く」といった機能が低下する「ロコモティブシンドローム」に続き、加齢とともに筋肉量が低下する「サルコペニア(加齢性筋肉減弱現象)」という言葉が広く知られてきました。ロコモティブシンドロームとサルコペニアは、超高齢化社会の日本では、要介護状態に至る重要な要因と考えられています。
さらに、サルコペニアに肥満が合併した病態、筋肉量が低下し脂肪の量が多い状態のことを「サルコぺニア肥満」といい、身体的障害や生活習慣病リスクを高めると考えられ話題となっています。(※3)
サルコペニアだけでも、身体機能の低下、心血管リスク、代謝系への影響が示唆されていますが、複数の研究ではサルコペニア肥満はさらにそのリスクが高まると報告されています(※1)。
春は、寒い冬の間太り気味になった体をリセットして、サルコぺニア肥満を防ぎましょう。

サルコペニア肥満とは?

サルコペニアとは1989年にIrwin Rosenberg が、年齢に関係する筋肉量の低下の重要性を主張してつくり上げた造語で、ギリシャ語で筋肉を意味する「sarx」と喪失を意味する「penia」を合わせたといわれています。(※2) その名前のとおり、加齢に伴う筋肉量の低下をサルコペニアといいます。
一方、サルコペニア肥満とは、サルコペニアと肥満が合併した状態です。身体的障害や生活習慣病リスクを高めると考えられ、メタボリックシンドロームよりも死亡リスクが高いのでは、と研究が進められています。(※1)
2012年に行われた日本人の女性を対象にした研究では、メタボリックシンドロームより、サルコペニア肥満の方が生活習慣病のリスクが高いという結果が報告されています。(※4)

体組成計で骨格筋率を測る習慣を

サルコペニア肥満であるかどうかの診断は、医療機関で行うことをおすすめします。しかし現在のところ、サルコペニアと肥満のそれぞれには基準があるものの、サルコペニア肥満の評価基準はなく、研究課題となっています。(※3)
サルコペニアのみでは、2重エネルギーエックス線吸収法やバイオインピーダンス法を使用して定量化した四肢骨格筋量や筋肉機能(歩行速度や握力など)を組み込んで診断します。この他医療機関では、CTの測定結果も診断に用いられることもあります。
難しい測定法を覚える必要はありませんが、バイオインピーダンス法というのは、筋肉量評価でもっともよく利用されている方法で、体の中の電気抵抗を比較して筋肉量を測定します。家庭用の体組成計でも利用されている方法なので、骨格筋率を計ることを習慣化するのもセルフチェックの1つです。
また、以下のセルフチェックも行ってみましょう

  1. 横断歩道が青信号中に渡りきれない
  2. ペットボトルのキャップが開けられない
  3. 手すりにつかまらないと階段が上がれない(※6)

どれかあてはまったらサルコペニアを疑ってみましょう。
一方、肥満の評価はBMIが用いられています。BMIとは、体重(Kg)を身長(m)の2乗で割った数値のことで、日本肥満学会はBMIが25以上の場合を肥満と定めています。
メタボリックシンドロームや肥満を医師から指摘されて食事制限は行っているけれども、運動を全くしていないといった人は、サルコペニア肥満を疑ってみてもいいかもしれません。

サルコペニア肥満はレジスタンス運動とタンパク質摂取で防ぐ

一般的に50歳以降毎年1~2%筋肉は減少し、70代と20代を比較すると骨格筋面積は25~30%減少するといわれています。(※5)
筋肉量の低下を防ぐには、運動とタンパク質の摂取が重要で、運動はレジスタンス運動が効果的とされています。(※5)レジスタンス運動とは、筋肉トレーニングの別称で、筋肉に負荷をかける運動のこと。スクワット、腕立て伏せなどのことを示します。
予防のためには軽い運動あるいは中程度の運動でも効果は得られますが、「ややきつい」と感じる筋肉強化運動を継続的に行うことが有効です。高齢者は筋力だけでなく、全体運動も行った方が良いと考えられています。(※2)音楽などを使って、毎日気軽に運動を行う工夫も必要です。
食事はバランス良く摂ることが重要ですが、サルコペニア予防には、1日75g以上のタンパク質を摂ることが必要であるといわれています。(※8)体では合成することができない必須アミノ酸を、バランス良く含む食品をしっかり摂ることが重要と考えられています。
サルコペニア肥満の場合、全体的に食事量を少なくするダイエットを行うと筋量の減少につながりますので、タンパク質は減らさずに糖質や脂質を制限していきましょう。
運動をしないで食べてばかりいた冬を過ごした人は、サルコペニア肥満の予防を心がけていきましょう。

※1 小原克彦 日老医誌2014;51:99―108

※2 サルコペニア:定義と診断に関する欧州関連学会のコンセンサス―高齢者のサルコペニアに関する欧州ワーキンググループの報告―の監訳 厚生労働科学研究補助金(長寿科学総合研究事業)高齢者における加齢性筋肉減弱現象(サルコペニア)に関する予防対策確立のための包括的研究 研究班 日本老年医学会雑誌.
日老医誌2012;49:788―805

※3 真田樹義 体力科学 66 巻 (2017) 1号

※4 Sanada K, Iemitsu M, Murakami H, Gando Y, Kawano H, Kawakami R, Tabata I, Miyachi M. Eur J Clin Nutr. 2012 Oct;66(10):1093-8

※5 葛谷 雅文 日老医誌 104:2602~2607,2015

※6 NHK健康チャンネル

※7 国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター発行「健康長寿教室テキスト」

※8 厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2015版)策定検討会」報告書:2014

自身の「健康」についての考え方:ミュージシャン BEGIN 比嘉 栄昇さん

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