2005.01.07

vol.19 今年こそ禁煙...生活習慣病のリスクを減らすために

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タバコの煙とがん

Vol.19 今年こそ禁煙...生活習慣病のリスクを減らすために WHO(世界保健機関)を中心に、タバコの規制を厳しくしようという動きが世界的に広がっています。その背景には、最近の研究や疫学調査から、今までにも増してタバコと健康被害の関係が明確になってきたことがあげられます。
タバコを吸う人がかかりやすい病気といえば、まず肺がんを思い浮かべる人が多いはず。確かに肺がんは、タバコの害の象徴ともいえます。WHOは、タバコを吸う人は吸わない人に比べ、肺がんになるリスクが20~30倍も高いとしています(*1)。
厚生労働省の調査によるとそのリスクは日本では男性で4.5倍、女性で4.2倍と、WHOの報告よりは低めですが、それでも大きな影響があることがわかります。肺がんにはいくつかの種類があり、太い気管支部分にできる扁平上皮がんや小細胞がんでは、同じくそのリスクは男性で12.7倍、女性で17.5倍にもなります(*2)。
ところで肺よりももっとタバコの影響を受けやすい場所があるのを、ご存知ですか。それはのどの部分です。
肺がんのうち72%はタバコが原因とされますが、じつは喉頭がんでは96%にものぼります。喉頭はのどの奥にあたる場所ですが、実際に喉頭がんになった人の大半がタバコを吸っています。
また口腔・咽頭がんでも、タバコが原因とされる割合が61%にのぼります(*3)。これらのことから、タバコの煙が通る場所は、どこにでもがんが発生しやすいといえます。

(*1)WHOのデータは2003年に発表された「世界がん報告」。また、WHOの提唱する「タバコ規制枠組み条約」が2005年2月から発効となり、タバコのパッケージへの健康警告表示の強化などが世界的に推進されています。

(*2)厚生労働省研究班が実施した、40~69歳の男女9万人の追跡調査(1999年まで)によるものです。

(*3)国立がんセンターの発表資料。

タバコはすべてのがんの原因に

では、タバコの煙に接しない場所では、影響がないのでしょうか。
タバコの煙の成分には、ニコチン、タール、一酸化炭素などがあります。いずれも有害な物質ですが、とくにタールには、ベンツピレンなど数十種類の発がん性物質が含まれています。
そうしたタバコに由来する発がん性物質が、タバコの煙とは関係なさそうな場所、たとえば大腸の粘膜からも検出されるのです。それだけでなく、実際に大腸がんの一因ともなっています。
厚生労働省の調査によると、タバコを吸う人は吸わない人に比べて、大腸がんの発生率が1.4倍になることがわかっています。とくに男性にはタバコを吸う人が多いため、もしタバコをやめていれば男性の大腸がんの22%は予防できるとされています。
大腸がんの場合、アルコールとの相乗作用も問題です。アルコールが肝臓で分解されるとき、アセトアルデヒドという有害物質が発生します。アセトアルデヒドがさらに分解されるとき、活性酸素が発生し、それが細胞のDNAを傷つけます。その過程で、タバコから吸収された発がん性物質が活性化されるため、がんの発生率が高くなると考えられています。
もしアルコールとタバコの両方をやめると、大腸がんの46%、つまり半数近くは予防できる計算になります(*4)。
大腸がんの例を紹介しましたが、現在では食道がんや胃がん、肝臓がん、女性の乳がんなど、ほとんどすべてのがんの発生に、タバコが大きなリスクとなっていることがわかっています。

(*4)*1と同様の厚生労働省研究班による調査。

ミニコラム

タバコの成分のタールに含まれるベンツピレンは、紫外線を受けると刺激物質となり皮膚に炎症を起こし、シミやシワの原因ともなります。タバコを吸う人は肌が過敏になり、肌荒れを起こしやすくなりますが、そのことが原因のひとつです。

タバコとCOPDや脳卒中

がんのほかにも、タバコの影響が注目されている病気がいくつかあります。
そのひとつが、COPD(慢性閉塞性肺疾患)。タバコの煙によって肺に炎症が起き、酸素と二酸化炭素の交換がうまくできなくなる病気です。呼吸機能に異常が起こるので、階段を上ったあと息苦しくなったり、風邪でもないのに咳がなかなか止まらないといった症状がみられます。
運動不足や年齢のせいだと思い、治療を受けない人が多いのですが、潜在的なCOPDの患者はおよそ700万人もいると推定されています。COPDになると心臓にも負担がかかり、心臓病も起こしやすくなります。長年タバコを吸っていて、息切れしやすいといった症状がある人は注意が必要です。
タバコの影響でもうひとつ注目されるのは、脳卒中です。 脳卒中には、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血などがあります。いずれもタバコがリスクとなりますが、くも膜下出血では、タバコを吸っている人は吸わない人に比べ、男性で3.6倍、女性で2.7倍もリスクが高くなります(*5)。
その原因は、タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素です。ニコチンや一酸化炭素には、血管を傷つけて動脈硬化を促進する作用があるためです。

(*5)厚生労働省研究班による、40~59歳の男女を対象とした11年間に及ぶ調査結果(2004年発表)。

節煙より禁煙を

タバコのリスクを軽減するため、ニコチンやタールの少ない軽いタバコに替えたり、本数を減らす人もいます。こうした節煙は、ほとんど効果がないことも最近の研究から判明しています。
タバコを吸い続けている人の多くは、気付かないうちにニコチン依存状態になっています。そのためニコチンの量を減らした軽いタバコに替えたり、本数を減らしたりしても、無意識のうちに1本当たりの吸う回数が増えていたり、煙を深く吸い込む傾向がみられます。
これを「自己調節」といいます。からだがニコチンをほしがり、一定量を摂取するまで満足できないのです。
また、タールの量を減らしたタバコでも、そこに含まれる発がん性物質(たとえばニトロソアミン類のNNK)が減っているわけではありません。そのためWHOでは、単にニコチンやタールの量を減らしただけの表示はやめるように各国に勧告しています。
こうしたことから節煙には意味がなく、やはり禁煙をすることが大切だといえます。

自分の依存状態を知る

今年こそ禁煙したい…そう思っている人は多いのではないでしょうか。禁煙は始めてみると、意外に難しいものです。その理由は、「ニコチン依存」と「心理的依存」の2つの依存症にあります。

●ニコチン依存

ニコチンには、強い依存性があります。そのため禁煙して体内のニコチン量が急に減ると、イライラして我慢できなくなり、ニコチンを求めてつい吸ってしまう状態のことです。

●心理的依存

食事や入浴のあと、仕事の休憩時などにいつもタバコを吸っていると、習慣化してしまいます。禁煙すると口寂しくなって落ち着かず、ついタバコを吸ってしまう状態のことです。

過去に禁煙に失敗したことのある人は、こうした依存症になっている可能性が高いといえます。

・朝起きるとすぐにタバコを吸いたくなる
・タバコがきれるとすぐにイライラしたり、不安になる
といった症状がある人は、ニコチン依存状態といえます。

・タバコはストレス解消になると思う
・無意識にタバコをくわえていることがある
という人は、心理的依存状態になっている可能性があります。

上手に禁煙するために

ニコチン依存と心理的依存は、どちらも病気、もしくはそれに近い状態なので、自分の意志だけではどうにもなりません。
ニコチン依存から上手に脱出するには、ニコチンの量を少しずつ減らす方法(ニコチン代替療法)をとります。
もっとも簡単な方法は、ニコチンガムの利用です。タバコがほしくなったらニコチンガムを噛み、血液中のニコチン濃度を高め、イライラなどの症状を抑えます。少しずつニコチンの摂取量を減らし、依存状態から脱出します。
ニコチンガムは市販されていて、だれでも購入できます。ただし、使用法などに規則やコツがあるので、薬剤師の指導を受けながら使用することが大切です。
それでも禁煙できない場合は、病院を受診し、ニコチンパッチを使う方法もあります。ニコチンパッチは皮膚に貼る薬で、少量ずつニコチンを体内に取り入れて症状を緩和します。何度も禁煙に失敗した人に向いています。
こうした代替療法はニコチン依存だけでなく、心理的依存にも一定の効果があります。ただ心理的依存は生活習慣なので、すぐにやめられないことも少なくありません。
禁煙したときのイライラなどの軽い症状は、だいたい2~3分程度で治まります。その間、からだを動かす、深呼吸をする、好きな音楽を聞く、歯磨きをするといった方法で、上手に気分転換しましょう。アルコールが入るとつい気が緩むので、飲む場所にはしばらく近づかないことも大切です。
一人ではなかなか続かない場合は、友人や家族と一緒に禁煙するのもいい方法です。また、インターネットで「禁煙」を検索すると、禁煙をサポートするサイトがたくさんあります。自分に合ったサイトを利用し、アドバイスを受けたりしながら禁煙仲間と一緒にチャレンジしてみましょう。
  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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