2005.07.08

vol.25 コレステロールとの新しい付き合い方

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コレステロールは悪者?

Vol.25 コレステロールとの新しい付き合い方 私たちはコレステロールと聞いただけで、からだに良くないと思っていないでしょうか。卵はダメ、イカやエビは食べられない、揚げ物なんてとんでもない…コレステロールを減らそうと、そんな食生活をしている人がとても多くみられます。
コレステロールはこれまで動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などの原因とされてきました。ところが最近「コレステロール値を下げても、心筋梗塞などのリスクには関係しない」とか、「コレステロール値が低いほうが、がんになりやすい」「コレステロール値が高めのほうが長生きできる」といった、従来の常識をくつがえすデータが次々に発表されています。
コレステロールに対する見直しが始まる中で、私たちもコレステロールについてもっと知っておく必要があるのではないでしょうか。
コレステロールは脂質のひとつで、私たちのからだの中では細胞膜をつくったり、ホルモンの分泌にかかわったりと、非常に重要な役割をしています。細胞膜をつくるというのは、からだにあるすべての細胞を保護し、丈夫にする働きをしているということです。
コレステロールにはいくつかのタイプがあり、役割にも違いがあります。HDLコレステロールとLDLコレステロールの2つについては、ご存じの方も多いでしょう。HDLコレステロールは血液や血管壁にある余分なコレステロールを減らすので「善玉」、LDLコレステロールは反対にコレステロールを増やす働きをするため「悪玉」といわれています。
健康診断などで「コレステロール値が高い」というのは、ふつうはHDLとLDLなどを含めた総コレステロール値のことをいいます。一般的に、総コレステロール値が220mg/dl以上の場合を高コレステロール血症(高脂血症のひとつ)といいます(※1)。

(※1)日本動脈硬化学会の診断基準(2002年版)などがもととなっています。

総コレステロール値は高めがいい

ところが最近のいくつかの調査から、意外なことがわかってきました。総コレステロール値が少し高めの人のほうが、死亡率は低いのです。調査によって数値に違いはありますが、180~259mg/dlの範囲なら死亡率に大きな差はないものの、もっとも死亡率が低いのは従来なら治療が必要とされた240~259mg/dlの人なのです(※2)。
とくに更年期以降の女性や高齢の男性については、総コレステロール値がもっと高くても、心筋梗塞や脳卒中などのリスクは少ないこともわかってきました。
女性の場合、更年期になって女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下すると、一般にコレステロール値が上昇しやすい傾向があります。そのため更年期以降は高コレステロール血症と診断される人が急速に増えますが、実際には少し高めのほうが健康的であることがわかったのです(※3)。ただしこれは、ほかに高血圧や糖尿病などの疾患をもっていない人の場合です。
さらに注目されるのは、「総コレステロール値は低いほうがいい」という今までの常識もくつがえされたことです。低すぎると、がんや心筋梗塞などによる死亡率がかえって高まるという結果が出たのです(※4)。
低すぎると、なぜいけないのか。その理由については、まだはっきりわかってはいません。ただ前述のようにコレステロールには細胞膜を丈夫にし、機能を高める働きがあります。コレステロール値が低下すると、それだけ免疫細胞の働きも弱くなって免疫力が低下し、がんの発生を抑えられなくなる可能性があるのです。また血管壁の細胞も弱くなり、動脈硬化を起こしやすくなるのではないか、と推測されています。
 こうしたことから総コレステロール値については、少し高めでも心配はなく、むしろ低すぎる場合には注意が必要だといえます。

(※2)旧厚生省が1980年代から実施した「ニッポンデータ」、高コレステロール治療薬の市販後調査として1990年代に実施された「日本脂質介入試験」、大阪府守口市の市民保健センターが実施した1997年からの市民調査などによります。

(※3)ただし、280mg/dlを超えるような高数値になると、死亡率は高くなります。

(※4)どの程度低いとリスクが高くなるのかは調査によって異なりますが、180mg/dl未満とするデータが複数みられます。

小型LDLコレステロールとは

最近の研究などからもうひとつ注目されているのは、悪玉とされるLDLコレステロールの中でもとくに小さなタイプの小型LDLコレステロールの働きです。 小型LDLコレステロールは、小さいだけに血管壁に入り込みやすく、また酸化されやすいという厄介な性質をもっています。実は動脈硬化は、血管壁に入ったコレステロールが酸化されることで起こります。そのため小型LDLコレステロールは、動脈硬化の直接的な原因ともいえるので、「超悪玉コレステロール」とも呼ばれています。
ではどのような人が、小型LDLコレステロールを多くもっているのでしょうか。
一般に「中性脂肪値が高い人」「血糖値や血圧が高い人」「HDLコレステロール値が低い人」などは要注意です。とくに肥満、糖尿病、高血圧の人は気を付けたほうがいいでしょう。こうした場合には、脂質代謝になんらかの異常が生じ、LDLコレステロールが小型化しやすいことがわかっています。
「HDLコレステロール値が低い」というのは、善玉コレステロールが少ない状態です。日本動脈硬化学会の診断基準では、40mg/dl未満の場合に「低い」と診断されます。
最近の健康診断では総コレステロール値だけでなく、LDLやHDLコレステロール値まで調べることもあるので、数値を注意してみておくことが大切です。また、自分の小型LDLコレステロールについて正確に知りたい場合には、血液検査で調べることができます(※5)。

(※5)小型LDLコレステロール値を調べる血液検査には、健康保険が適用されます。

小型LDLをつくらないために

コレステロールの見直しが進む中で、食事や運動への注意にも変化がみられます。
例えば従来は、総コレステロール値が高いと、イカ、エビ、タコなどはあまり食べないようにと注意を受けました。ところがこれらには、コレステロール値を下げるタウリンという物質が多く含まれています。そのためコレステロールを気にする必要がないことがわかっています。
また卵(鶏卵)も、コレステロール値を高くするといわれる食べ物です。しかし、卵には有用成分が多く含まれているので、食べすぎない限り、あまり神経質になる必要はないとされています。ただし、心筋梗塞や脳卒中などを起こし、医師から食事指導を受けている場合には、自己判断せずに指示に従ってください。
小型LDLコレステロールが増える原因のひとつは、体内の中性脂肪が多くなることです。食べすぎや飲みすぎで余分なエネルギーを摂取すると、いわゆる体脂肪として蓄積されるのが中性脂肪です。男性の場合はアルコールの飲みすぎ、女性は果物やケーキなどのとりすぎが原因となりやすい傾向がみられます。超悪玉の小型LDLコレステロールをつくらないためには、アルコールを控えめにする、間食を控えるといった生活を心がけることが必要です。
また、中性脂肪はエネルギー源となるものなので、運動をすることで燃焼させ、減らすことができます。とくに有酸素運動(ウォーキング、軽めのジョギング、水泳、サイクリングなど)を継続的に行うと、中性脂肪を減らすと同時に善玉のHDLコレステロールを増やす効果もあります。
適度な運動を続けると同時に、日常生活でもできるだけ歩くなど、からだをよく動かし、中性脂肪を減らすことを心がけましょう。ただし、心筋梗塞や高血圧などの病気がある人は、運動を始める前に医師に相談してください。
もうひとつ忘れてならないことは、動脈硬化の原因となるコレステロールの酸化を防ぐことです。酸化の最大の原因とされるのがたばこ(喫煙)です。小型LDLコレステロールはとくに酸化されやすいので、たばこを控えること。さらに抗酸化力のあるビタミンCやEを多く含む食べ物(緑黄色野菜など)を、積極的にとるようにしましょう。
  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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